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ディレクター'sメモ

2014年8月22日放送時に寄稿されたものです

第8回ディレクター'sメモ

今回取材をさせてもらった宗岡第二中学校との出会いは、番組に寄せられた一通の手紙でした。

「新学期が始まってしばらく経ち、クラスへの慣れと同時に“いじり”が広まっているのが気になっています。そこで先日、『いじめをノックアウト』の“いじりが暴走するとき”を授業で視聴しました。生徒たちが真剣に感想を書いてくれたので、いじめを減らす一助になればと、お送りさせて頂きます」

同封されていた40枚近い感想文は、どれも一面に文字がびっしり。読んでみると「いじりも危険なことがわかった。でも、いまクラスにあるいじりが全てダメなものなのか、正直まだわからない」、「自分もいじられて嫌なことがある。やめて欲しいけれど、友達が離れていくのが怖くて言い出せない」など、番組を見てもなお解決できなかった悩みが、いくつもいくつも書かれていました。そこで何か一緒に考えることはできないかと、学校を訪ねることにしたのです。

実際に3年1組におじゃまするまでは「もしかしたらちょっと嫌な雰囲気が漂っているのかな…」なんて心配していましたが、実際は番組で紹介した通り。みんな仲が良く、授業中も次々に発言が飛び交う活気のあるクラスでした。でもだからこそ、ノリが過ぎてしまったり、場の空気を気にしすぎてしまう部分もあるのだろうと、問題の難しさを実感しました。

今回授業をするにあたって担任の飯塚先生が常に気遣っていたのは、「授業をすることで、状況を悪化させてはいけない」ということでした。“いじり”で嫌な思いをしている生徒がさらに傷つくことがないようにと、授業の前に普段いじられる事の多い生徒数人と個別に話し、「こんな授業をしたいと思っているけど、どう思う?」「こんな具体例を出してみるのはどうかな?」「みんなが真剣に考えるために、勇気を出して本音を話して欲しいと思うんだけど、できそうかな?」など、相談しながら授業の内容を決めていきました。先生と話す生徒を見ていると、「それはみんなの前では話してほしくない」ということも含めて、「飯塚先生ならどんな声も受け止めてくれる」という信頼感が見て取れました。

実際に授業を進めるにあたっては、「いじりはダメだ!」と押し付けるのではなく、「みんなの考えを聞かせてほしい」という姿勢で問いかけ続けました。もちろん先生の中には「いじりなんてしなくてもコミュニケーションが取れるようになって欲しい」という思いがありましたが、あえてそれを全面に出すことはしませんでした。みんなが本音で話せることを第一にと、「楽しいいじりもある」という生徒の主張も受け入れながら考えていったことが、結果として「それでも全てが許されるわけではない」という結論を素直に受け入れることに繋がったのではないかと思います。

最後に、番組では紹介していない、たかみなさんのこんな言葉を…。

「いじりは人を使って笑いを取るということ。でも本当に楽しい笑いは、自分で取りに行くものなんじゃないかな」

確かに「いじりがないとつまらない」というのも一理あるかもしれません。でもそれは、本当に“いじり”でないと味わえない楽しさなのか。私たち大人も気軽に“いじり”をしてしまういま、違う楽しさに目を向けられるようにする、というのも一つ大きな解決策ではないかなと思いました。

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