20年前の1月に発生した阪神淡路大震災や69年前の12月の昭和南海地震。
いずれも「冬」に発生しました。
南海トラフ巨大地震で最大の被害が発生すると県が位置づけるのもこの冬です。
厳しい寒さや火災など大きなリスクが潜む「冬の防災」を考えます。
「冬の防災」について県防災センターの生島茂樹センター長に伺いました。
いよいよ冬が本格化。四季の防災を考える上で、冬はどんな季節なんでしょうか。
被害が最大となる最悪のケースが、国の中央防災会議や県の地震津波被害想定では、
季節は「冬」、時間帯は、「夕方」や「深夜」を被害が最大となるケースとして挙げております。冬は被害が最も大きくなる季節だと認識しておかなければならないということです。
冬の被害が大きくなる要因は?
冬場は寒さの対応のために避難の遅れが出ることや、火を取り扱う機会も多いことから、同時に多くの火災が発生すると、被害が大きくなると考えられます。
香川県が公表している地震津波被害想定では、南海トラフで最大クラスの地震が冬の深夜に起きた場合、最大で死者6200人、負傷者は1万9000人、避難者は、約20万人と想定しております。
そうしたことを踏まえて被害を減らすためにはどんなことに気をつけるべきでしょうか?
冬の防災対策として
「寒さへの対応」と「火災を防ぐ」の2点を特に考えていただきたいと思います。
冬の防災対策は「寒さへの対応」と「火災を防ぐ」具体的な備えと対策について伺っていきます。
まずは「寒さへの対応」についてですが、どんなことを意識すれば良いのでしょうか?
寒さへの対応を生活する上においての"衣・食・住"から考えてみますと地震津波からの被害は逃れられても、避難生活が長期化することもあります。過去の大震災をみても、せっかく助かった命がなくなるという震災関連死は、
寒さが起因するものも多いといわれています。
衣食住の「衣」では、どんなことに注意が必要ですか?
防寒具は、災害用の特別なものも売られていますが、特別に何かをそろえる必要はないかと思います。
手袋や使い捨てカイロ、ジャンパー、厚手の靴下、
トレーナーなどの上着、防寒用の帽子など、「日常で普段使っているものが災害時にも役に立つ」という防災意識を持つことが大切なことです。
シャツや靴下は着替えの分も3日分、できれば1週間分用意しておくと良いでしょう。
衣食住の「食」では、どんなことを意識すればいいですか?
食べるものでも「体が温まるもの」を食べるということを最優先に考えて見ますとカセットコンロなどのボンベは冬の間は、通常よりも多めに買いこんでおくと良いでしょう。
温まることを第一に多めに準備しておくことが大事なんですね。
衣食住の「住」では、どんなことを意識すればいいですか?
住むところに関しても、電気やガスなどのライフラインが断たれた場合でも、寒さをしのげるスペースを考えておく必要があります。一時的に車に避難するかもしれないので、車の中にも衣類や毛布などを備えておくと良いでしょう。
車の燃料も早めに給油しておくことも防災対策の一つです。
続いては「火災を防ぐ」についてです。こちらはどんなことに注意が必要ですか?
大地震が発生すると、家屋の倒壊や津波をまず考えてしまいがちですが、過去に発生した関東大震災・阪神淡路大震災・東日本大震災と三つの大震災で共通している被害は「火災」です。
特に冬季に発生する地震では暖房器具の利用や乾燥した気候、強風により、一旦火災が発生すると延焼拡大などで火災のリスクも高くなります。日常の火災予防のための対策だけでなく、地震火災を防ぐためにも火の元の確認や消火器の設置など、火災から身を守ることを考えておくことが、冬の防災対策において重要な点と言えます。
これから冬が本格化しますが、改めて、どんなことを心掛けて冬に入れば良いですか?
これから向かえる冬の季節が最悪の被害が発生する時期であるということを念頭に置いておけば、あとの季節はラクに対応できると思います。
香川県防災センターでは、安全で安心な暮らしを築くための防災体験施設として、訓練用消火器を使った消火体験、風速30mの暴風体験、煙が充満する通路の中を安全に避難する煙避難体験、最大震度7や阪神淡路大震災の揺れを再現した地震体験映像を見ながら備えについて学ぶ映像体験コーナー、救急救護体験コーナーでは、AEDを使った心肺蘇生法や119番通報のしかたなどを体験することができます。
身をもって体験することによって、生活行動範囲のあらゆる場面において、命を守る行動について考え、事前の備えを行い被害を最小限にとどめることができます。
地域で暮らす一人ひとりが防災意識を高め、地域の組織力を強化し、地域防災力の向上を目指して、安全で安心して暮らせる地域をつくっていただきたいです。
高い防災意識と備えで冬を乗り切りましょう。