2014年8月20日、広島市で発生した大規模な土砂災害。
短時間の集中豪雨で
山から流れ出した土砂が住宅地を襲い、死者は75人にのぼりました。この広島の土砂災害から
8月20日で1年を迎えました。
香川県での土砂災害の危険性について地質工学が専門の香川大学工学部の長谷川修一教授にお話しを伺いました。
広島県の土砂災害から1年となりました。土砂災害の危険性を感じたという方も多かったと思います。改めて土砂災害とはどんな災害なのでしょうか?
土砂災害は大きく分けて3つあります。
「急傾斜地の崩壊・がけ崩れ」
急な傾斜が崩れることです。
一般的には30度以上の斜面が崩れると言われていますが、傾斜が30度未満でも崩れることがあります。
「土石流」
山で崩れた土砂が谷に落ちて来て、谷底にある土砂や岩石を巻き込み、そして急速に谷をかけ下る現象です。谷の出口を襲う非常に怖い災害で、広島の土砂災害は主に土石流でした。
「地すべり」
斜面がゆっくり移動するので、人的な被害は少ないのですが、建物や道路が被害を受けたりすることがあります。
香川県ではこうした土砂災害は起きやすいのでしょうか?
全国的に起きやすいということはないのですが、香川県も一定のある程度の雨が降ると土砂災害が発生しますので、土砂災害と無縁ではありません。
香川県で土砂災害危険個所に指定されている箇所は多いのでしょうか。
「急傾斜地崩壊」が3,953か所、「土石流の危険のある渓流」これが2,902か所、「地滑り」が134か所指定されていますので、件数・箇所数だとそれほど多くはないですが、単位面積あたりの密度というと全国で6番目ということになります。
今回、長谷川教授とともに向かったのは土砂災害危険個所の一つ観音寺市豊浜町の和田地区です。
平成16年、台風が相次いで四国を通過し各地で土砂災害が発生。
9月下旬の台風21号で大規模な土石流に襲われたのが、この観音寺市豊浜町の和田地区でした。
土砂が流れてきたのは、(画像の)中央くらいからですか?
山があって木が茂っています。その間の少し低いところ、
ガードレールの向こうのところに、
グレーで灰色で砂防堰堤(白矢印の部分)が並んでいます。
そこから土石流が流れたんですね。
雨がある一定以上降ると、ほとんどの谷からも土石流が出ます。
この状況は広島と全く同じ状況です。
この辺りが実際に被害が大きかった場所ですね。
まさにこの辺りが、土石流が流れてきた所です。災害時には、ここをえぐるように流れて、下に土石流が流れて行きました。
砂防堰堤が果たす役割としてはどんな役割がありますか?
もし上の山から、山崩れが起きて土石流が来た時にここで捕捉する、あるいは勢いを弱くするという役割があります。
自分が住んでいる家の近くの山に砂防堰堤がないということもありますよね。
周りの山と比べて少し谷沿いになっていて、普段は水がちょろちょろと、あるいはほとんど流れないような谷筋があると、土石流が流れる道筋になりますので、こういうところが危ないのです。
逆に同じような土石流の扇状地でも、(標高が)高いところは土石流が来ないので、もし出口にいて、すぐ土石流が発生しそうな時は、高い所に避難をしましょう。
いずれにしてもやはり水の流れを見る、
谷がどこなのかを知るというのが大事なんですね。
土地の地形、土地の成り立ちを知ることが大事かと思います。
今回は観音寺市豊浜町の被災地を見てきましたが、香川県ではこうした箇所はたくさんあります。
改めて土砂災害にはどう備えていけば良いのでしょうか?
自分の住んでいる家、あるいは職場などが土砂災害の危険があるかを確認しておくことが大事です。
土砂災害危険箇所は香川県のホームページ等で紹介されているので、まずはハザードマップ等で確認しておきましょう。
そして早めの情報収集というのが必要となってきますよね。
もし住んでいるところが危険個所に指定されていますと、防災気象情報を早めに取得して、早めに避難することが大事です。
土砂災害には前兆現象があると言われていますが、どう対応していけば良いのでしょうか。
腐った臭いがするとか、泥水が出てくるとかいろいろありますが、前兆現象が起きてから避難すると遅れる場合があります。
早めに避難し、雨がやんで帰った時に前兆現象があれば改めて早く避難する心掛けが大事です。
住んでいる場所の危険の把握、早めの情報収集と早めの避難が大事なんですね。