8月20日早朝。広島市を猛烈な雨が襲いました。
安佐北区三入では、午前4時半までの3時間に降った雨の量が、204ミリと気象台が統計を取り始めてから最も多く、平年の8月1か月分を上回る雨量でした。この雨の影響で、広島市で大規模な土砂災害が発生し、多くの死者、行方不明者がでました。
広島で発生した土砂災害の原因を探るとともに、いざという時に備える対策を香川県防災士会会長の久保雅和さんに伺います。
なぜ広島市では土砂災害によって、これだけ多くの被害がでてしまったのでしょうか?
一つは、広島の地形です。平野がすくなく山際まで谷筋に沿って住宅地が造成されています。そのため土砂災害が発生し、大きな被害が発生してしまいました。それからもう一つは、地質です。広島では、花崗岩が風化したまさ土と呼ばれる土が広がっています。このまさ土が被害を拡大させる要因となりました。
『まさ土』最近ニュースで聞くようになりましたが、花崗岩が風化してできたもので、粘着力が弱く、水をしみこみやすいため、崩れやすい特徴があり、土砂災害を発生させる原因になります。
香川県も広島県と同じように花崗岩が風化してできた『まさ土』で形成されているので、大雨が降ったら警戒が必要です。
過去にも小豆島で、大規模な土砂災害が発生しており、香川県でも広島と同じような被害がどこで起こってもおかしくありません。
今後、秋雨前線や台風による大雨が心配ですね。
どのくらいの雨が降ったら、土砂災害に警戒しないといけないのでしょうか?
一つの目安として、ラジオやテレビの音が、窓を閉めた状態で聞こえないくらいの雨音になったら、注意が必要です。
どのくらいの雨が降るとラジオやテレビの音が聞こえなくなるのでしょうか?
一般的に1時間に30ミリ以上と言われています。これぐらいの雨になると、大雨警報が発表されています。大雨警報とは、土砂にどれだけ雨が貯まっているかで判断されるので、大雨警報が出たときには土砂災害への警戒が必要です。
土砂災害や土石流が発生する前には、前兆があるんでしょうか?
土砂災害前には、例えば石ころが落ちてきたり、普段水が流れているところが止まっていたり、もしくは普段水が流れていないところに水が流れている、また土の臭いがつよかったら発生する危険性があります。
ろこのような現象は起こるんでしょうか?
このような現象が起こったら、もう土砂災害は間近にせまっているので、隣近所にも声をかけてすぐに避難して下さい。
具体的にどのような場所が香川県内では危ないのでしょうか?
特に、山沿いや川沿いにお住まいの方は注意が必要です。
危険性を示す目印になるものは、あるんでしょうか?
各地区では土石流が発生する危険性があるものを示す『土石流危険渓流区域』の看板があります。香川県では、ホームページを使って、どの場所が土砂災害の危険性があるかを示していますので是非確認して下さい。
いざという時に備えて、どのような防災グッズを準備すればいいのでしょうか?
地震とあまり変わりません。ただ地震と比べると被害は局所的なため、食料や水は2〜3日分準備すれば十分です。杖などの棒があるといいと思います。
大雨が降ると、足下が見えなくなり、マンホールや溝に落ちて亡くなることもあります。避難するときのために、1メートルほどの棒を用意し、つつきながら避難するといいと思います。
この広島での災害をきっかけに、土砂災害が発生した時の避難場所を事前に確認してみましょう。
地震と土砂災害では、避難する場所が違うことがあります。ぜひ家庭、地域でどこが安全か、危険かを確認してみましょう。
そして決まっていない場合は、家族やご近所と相談して決めておくのもいいかもしれません。