今回のゲストは香川大学工学部教授、白木渡さんです。
白木さんは、現在シミュレーターを使い、地震防災に役立てる研究をしています。
今までの防災訓練は、あらかじめストーリーが決められていましたが、
2011年の東日本大震災では、数々の想定外が起こってしまいました。
いつ発生するか分からない南海地震に備えて、想定外のことへの「対応能力」を身につける訓練を実施するために、シミュレーターを使った防災訓練を行っているそうです。
白木さんは、学校の防災に力を入れていて、先生たちがどういう指示を出せばいいのかを考えてもらうソフトの研究に力を入れています。東日本大震災の石巻市立大川小学校の犠牲には大きな衝撃を受け、同じ学校関係者として、少しでも学校の減災につながればと思い開発したそうです。
先日宮崎アナウンサーが、香川大学工学部でシミュレーターを使った防災訓練を体験してきました。
研究室に入ると、大きなテレビ画面には、バーチャルな教室を写し出しています。そして先生用の机も用意されています。
装置の名前は、「防災教育訓練シミュレーター」。
災害時に想定外の事態が発生したときの対応方法を学べます。
240インチのテレビ画面には、教壇側からみた教室内の映像が流れます。
その映像をオペレーターが操作し、地震の時の教室を再現。
一方ナレーターは、的確なアドバイスを送り訓練をサポートします。
宮崎アナウンサーは先生役として教壇に立ち、いよいよ訓練スタートです。
宮崎アナ「それでは、国語の授業を今から始めたいと思います。テキストを開いて下さい。黒板をご覧下さい。」
(緊急地震速報の音:緊急地震速報です。緊急地震速報です)
宮崎アナ「緊急地震速報が出ましたので、机の下に避難して下さい。
」
教室の子供達は、宮崎アナウンサーの指示で、一斉に机の下へ避難しました。
宮崎アナ「強い揺れです。強い揺れですよ。皆さん机の下から絶対に出ないで下さいね。」
しかし先生の頭には落下物が!
ナレーター「今生徒のことを注意して下さったんですが、
ご自身が机の下に隠れることを忘れていたかと思います。」
宮崎アナウンサーは自分の避難を忘れていました。
ナレーター「先生自身の身の安全も確保して下さい。」
宮崎アナウンサーも机の下へと避難。
宮崎アナ「強い揺れに警戒して下さい。」
さらにつづく余震。
子どもの頭が机の下からはみ出しています。
宮崎アナ「頭出しちゃ。あー
…」
子どもの頭に落下物が落ちてしまいました。
ナレーター「この生徒は、机の脚を持たずに机から頭が出ていました。ですから上からの落下物にあたってしまったことになります。」
アドバイスを受けながら、子供達を校庭に避難させて訓練は終了です。
1回の訓練ではなかなか言葉が出てこないため、的確な避難誘導がでませんでした。
しかし、1回では難しくても2回3回繰り返していくうちに、だんだんと言葉が出てくるようになってくるそうです。
記録用のカメラも自分たちで見返して見て、反省して次に生かしていくことも大切です。
今年の1月には、中南米で防災行政に携わっている人たちも体験しました。
日頃から意識が高いためか、みなさんシミュレーターに対して大変に興味を持っていたそうです。
他には、自主防災会の方や埼玉県の議員なども体験しています。
今まで参加した皆さんは緊張すると想像以上に難しいという声を聞きました。想定外なことが起こるとなかなか声を出すのが難しいようです。
さらには、AEDを使うことも考えた訓練を実施しようとしているそうです。バーチャルな世界だけでなく、リアルなものと融合することで、より現実に近い訓練が出来ると考えているそうです。
白木さんたちは、これから本格的に香川県内の先生たち向けにシミュレーターを使って防災訓練を実施しようとしています。
教育委員会とも連携して夏休みなどに先生方に参加してもらい本格的に訓練していきたいと考えているそうです。
他には学校以外にも町の中でも避難できるシュミレーターを考えているそうです。
液状化や土砂崩れのシーンも再現可能で、二次避難訓練で活用する予定です。また図上訓練やトリアージ(傷病者の治療優先順位を設定する作業)を扱った訓練もシミュレーターを使って出来ればいいと考えています。