2018年7月

2018年07月17日 (火)

テレビの中のシネマ

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考えてみれば、これだけメディア端末が身近になっているにもかかわらず、時には2時間以上にもなる“動画”を見るために大勢の人が時間をかけて一箇所に集まり、じっとその“動画”を見る、その最中誰もスマホをいじったりしない、ってすごいことですよね。そう、映画のことです。

 今週は、人気若手俳優の池松壮亮さんと、フランスの映画監督、フランソワ・オゾンさんの「SWITCHインタビュー達人達」。たっぷりと「映画」を語り尽くします。オゾン監督は横浜で開催された「フランス映画祭2018」のために来日。限られた滞在期間の中で収録に臨んでいただきました。一方の池松さんも今いろんな映画に引っ張りだこで大変多忙なところ、オファーを受けて下さいました。そんなお二人ですが、対談が始まると、そこにはゆったりした時間が流れ、とっても“映画的”。

 後半の収録は、まず渋谷のとある映画館で。オゾン監督の到着を待つ間、池松さんはロビーで映画のポスターを見たり、映画館の方と談笑したりして過ごしていました。映画の「中」に出てくる池松さんですが、映画館もとてもよく似合います。そして監督と2人で無人の客席へ。スクリーンを前に話し、歩く2人の光景は、古いフランス映画の1シーンのようでした。

 対談では監督、俳優それぞれの立場から語りあいます。お二人の「映画との距離の取り方」には微妙な違いがあってそこが面白いのですが、共通していたのは、たっぷり映画のことを語っているにも関わらず、「映画のことを安易に語ったりしないぞ」という覚悟のような思いが伝わってくることでした。

今回の放送を見ると、映画が見たくなります、きっと。その映画を見るという作業まで含めて、フランソワ・オゾン監督と池松壮亮さんの「SWITCHインタビュー達人達」ということなのかもしれません。

投稿者:スタッフ | 投稿時間:09:22 | カテゴリ: | 固定リンク


2018年07月09日 (月)

Direct & Deep!

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今回の『SWITCH』に登場するのは、不思議な“縁”でつながったお2人。まずは歌舞伎俳優・市川猿之助さん。「歌舞伎初心者にも楽しんでもらえるものを」と、人気マンガを原作にスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』の主演・演出をつとめるなど、八面六臂(ぴ)の活躍を続けています。そんな猿之助さんが去年10月、公演中に大けがを負いリハビリ生活を余儀なくされていた時に知ったのが今回のトークのお相手、製硯師(せいけんし)・青栁貴史さんでした。中国のいにしえの様式から現代的な作品まで、あらゆる時代・形式の硯(すずり)を彫り上げる硯作りの第一人者です。書画骨董にも造詣(ぞうけい)の深い猿之助さん、青栁さんの活動を知るや早速お店を訪れ「家宝になる硯を作ってほしい」と依頼したのだとか。それから4か月、硯の完成が見えてきたころ、このトークも実現したのです。

 対談はまず『ワンピース』を上演中の劇場を青栁さんが訪ねるところからスタート。ミュージカル風ダンスシーンあり、プロジェクションマッピングあり、と現代的な要素がいっぱい詰まった作品ですが、青栁さんの感想は「“あ、しっかり歌舞伎だ”と思った」というもの。ではその「歌舞伎らしさ」とは?そしてそもそも一体、歌舞伎とは何か?今回のトークはいきなり、こんな直球のテーマから始まったのでした。歌舞伎について、そして自らの大ケガについて、率直な語り口で見事に答えていく猿之助さん。まさに快刀乱麻を断つごとし!そしてそんな猿之助さんに物怖じすることなく質問をぶつけていく青栁さん。それ自体がまるで舞台での丁々発止を観ているかのような、お2人のトークにご注目下さい!

 番組後半は東京・浅草にある青栁さんの書道用具店の製作工房で、ついに完成した硯を見ながらのトーク。自ら「硯に関しては危ない方だと思う」と語る青栁さんの“偏愛トーク”は、「硯1つでここまで話が広がるのか!」と驚くこと請け合いのディープさ。さすがの猿之助さんもタジタジでした。そして最後には歌舞伎・硯、それぞれの伝統の継承についてトーク。今、小学校では書道の時間でもプラスチックの硯と墨汁が使われ、子供たちが石の硯で墨をするという経験をしなくなっているのだとか。伝統を継ぐ者同士、その責任について語る・・・のかと思いきや、話は意外な方向へ。最後まで目が離せません!

直球にして、深くえぐるような今回のトーク、是非ご覧下さい。

投稿者:スタッフ | 投稿時間:17:28 | カテゴリ: | 固定リンク


2018年07月02日 (月)

ことばにならないもの

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子どものころのこんな記憶は無いでしょうか。「ふと気づいたら知らない所に来ていた」、「田舎のおばあちゃんの家に行って夏祭りに圧倒された」、「夕焼けに見とれていたら辺りが暗くなっていた」・・・そんなときに心の中にうっすらと芽生えた“あの感情”。「どきどき」「怖さ」「不安」「興奮」「好奇心」、いろいろな要素が混じり合った、一言では言い切れない感じ、わかっていただけますよね?

 今回ご出演のライムスター・宇多丸さんと民俗学者・畑中章宏さんは、そんな感情を「よく覚えて」いて、それについて「語る」ことが出来るお二人でした。ことばにできない感情を言葉で語る達人、ということでしょうか。

最初の舞台はライムスターが主催のフェス会場。豪雨の中で、いろいろなアーティストがパフォーマンスします。ラッパーからはそれこそ言葉が機関銃の弾のように発射される訳ですが、宇多丸さんはその言葉の「聞こえ方」「聞かせ方」について畑中さんに語ります。

後半の舞台は一転して岩手県遠野市。古い伝承が残る、言うまでもなく日本民俗学に欠かせない地域です。市内を移動するバスの中で、宇多丸さんは黙って車窓を眺め、遠野を「感じようと」していました。そんな宇多丸さんに、畑中さんは「腑に落ちないもの、ことばにできないものの中にこそ真実がある」と語ります。

 今回の「SWITCHインタビュー達人達」の59分は、こんな風に、ことばにならないものを見据えて、2人の異才が言葉を交わしています。ことばにならないものを言葉にする怖さ、ことばにならないものを言葉で語ることの勇気。正直に告白すると「ちょっと難しい」のですが、放送を見終わった後には、ことばに出来ない興奮があることをお約束します。

投稿者:スタッフ | 投稿時間:08:45 | カテゴリ: | 固定リンク


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