第2回(1997年)
「台北ソリチュード」 (台湾=NHK)
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「満月の日の死」 (スリランカ=NHK)
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「I WISH...」 (ウズベキスタン=NHK)
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「闘牛師」 (マレーシア=NHK)
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台北ソリチュード
Sweet Degenerarition
1997年/台湾=NHK/カラー/118分
●ベルリン国際映画祭コンペ部門正式出品
●トロント国際映画祭出品
●ロンドン映画祭出品 他
●98年4月より東京、大阪、神戸で劇場公開
【解説】
1959年生まれのリン監督は16歳で故郷の農村を飛び出して台北でパン職人となった経歴を持つ。1993年の長編デビュー作『浮草人生』は東京国際映画祭ヤングシネマ部門シルバー賞受賞。第2作『青春のつぶやき』はカンヌ国際映画祭の監督週間に出品。本作が3作目になる。
婚礼衣裳のデザイナーとして働くアフンは結婚生活が破綻し孤独な生活を送っている。彼女にとって唯一の心の支えは弟のチュンシェンの存在だった。兵役を除隊したばかりのチュンシェンはといえば、心の中では姉を慕いながらも、なかなか姉に近づかず、細々と暮らす父の金を盗んで娼婦と遊ぶ日々を送っている。そんなある日、2人の前にマイリーという美しい娼婦が現れる。この自由奔放な少女によって姉と弟の微妙な関係が少しずつ崩れ始める。
【監督・脚本】
リン・チェンシェン
【キャスト】
アフン:チェン・シアンチー
チュンシェン:リー・カンシェン
父:チェン・シーホアン
満月の日の死
Death on a Full Moon Day
1997年/スリランカ=NHK/カラー/75分
●アミアン国際映画祭グランプリ
●フリブール国際映画祭、FIPRESCI賞受賞
●シンガポール国際映画祭最優秀男優賞受賞 他
【解説】
1962年生まれのヴィターナゲー監督は1992年の長編デビュー作『シシラ・ギニ・ガニ』で国内の映画賞を独占。続く1995年の『心の闇』は釜山国際映画祭審査員特別賞を受賞したほか、数多くの国際映画祭で上映された。
スリランカ北東部で分離独立を掲げるタミル人と政府軍との戦闘。古都アヌラダプラのはずれの村に暮らす盲目の老人ワンニハーミは、息子が政府軍兵士として参戦している間、末娘のスナンダーと家を守っている。スナンダーの恋人ソーメーはレンガ職人だが、仕事のない村を捨てて兵隊に行くべきか迷っている。ある日、ワンニハーミのもとに息子の棺が届き、政府は1万ルピーの賠償金を支給するという。ソーメーは金を受け取るようスナンダーに働きかけるが、ワンニハーミは息子の戦死さえも信じようとしなかった……。
【監督・脚本・原案】
プラサンナ・ヴィターナゲー
【キャスト】
ワンニハーミ:ジョー・アベーウィックラマ
ヤムナー(長女):ナヤナ・ヘッティアーラッチ
スナンダー(末娘):プリヤンカ・サマラウェレーラ
I WISH...
I WISH...
1997年/ウズベキスタン=NHK/カラー/108分
●ロッテルダム国際映画祭出品
●オーストラリア国際映画祭出品
●ファジル映画祭 他
【解説】
1958年生まれのムサーコフ監督はタシケント演劇大学演出学部卒業後、モスクワ映画大学付属映画監督上級コース終了。1989年の『兵士のおとぎ話』でモスクワ国際映画祭新人部門グランプリ受賞、1991年の『UFO少年アブドラジャン』でウズベキスタンの最優秀映画人賞受賞。
サディクは10歳の誕生日に父親から時計を贈られる。ネジを毎朝忘れずに巻けばいつか願いがすべてかなうと父は言う。中年になったサディクはそのことを思い出し、自分に奇跡を起こす力があることを知る。まずは親しい友人たちのためにその力を使ってみる。だが、サディクと友人たちは、奇跡を起こす力によって思わぬ窮地に追い込まれることになる。信頼、希望、愛、友情……これらの永遠の価値について、この映画は問いかけるのだ。
【監督・脚本・原案】
ズリフィカール・ムサーコフ
【キャスト】
サディク:ルスターム・サグドゥラーエフ
アリシェール:バフティヤール・ザキーロフ
ブリバイ:ナズィム・トゥリャホジャーエフ
闘牛師
Jogho
1997年/マレーシア=NHK/カラー/94分
●アジア・パシフィック映画祭(台北) 最優秀男優賞
●モントリオール世界映画祭
●マレーシア映画祭 作品賞、監督賞、最優秀男優賞
【解説】
1954年生まれのハジサアリ監督は1993年の長編デビュー作『女と妻と売春婦』でマレーシア国内の映画賞を独占。翌年の『放火犯』ではマレーシア人として初めてカンヌ国際映画祭に招待され、ブリュッセル映画祭最優秀国際映画賞受賞。多民族社会マレーシアで苦悩を抱えながらもアイデンティティを模索する人々の姿を一貫して描いている。
1950年代、マレーシアが独立運動を行っていた時代、ママットはマレー固有の闘牛のトレーナーであり、独立闘争の勇士でもあったが、独立後、政府は厳しいイスラム原理主義を敷き、闘牛を違法化した。ママットはタイに移住する。闘牛師として名声を得たが、異郷の暮らしは楽ではなかった。ある日、敗北を恨んだ対戦相手に親友と雄牛を射殺されてしまう。復讐に立ち上がるママットだが……。
【監督・脚本】
ウ・ウェイ・ビン・ハジサアリ
【キャスト】
ママット:カリッド・サレー
ミナ:ノルマ・ダマンフリ
ジャリ:サブリ・ユヌス