子どもが病気! 家でのケアは?

すくすく子育て
2019年11月16日 放送

子どもが熱を出したとき、病院に連れて行くタイミングに迷うことはありませんか?
家での看病のしかたについても世代や家庭によって違うことが多く、迷ってしまう人も多いようです。
子どもが熱を出したり病気になったりしたとき、家でのケアはどうしたらいいのでしょうか?

専門家:
福井聖子(大阪府小児救急電話相談事務所長/小児科専門医)
白石裕子(東京工科大学 医療保健学部看護学科 准教授)

子どもの発熱、すぐに受診したほうがいいのはどんな状態?

2か月ほど前、息子が高熱を出しました。いつもより体温が高いと思って熱を測ったら38度。元気だし、金曜の夜だったので、夜間や救急にかかるほどでもないと思い、夫と相談して様子を見ることにしました。熱は一向に下がらず38.5~39度を行ったり来たり。熱の高さは心配でしたが、本人はいたって元気。熱は3日続き、月曜日の朝かかりつけ医を受診すると、突発性発疹と診断されました。夜間や休日、すぐに病院に行くべきかどうかは、どう判断すればよいのでしょうか。
(10か月 男の子のママ)

発熱はウイルスなどと戦うための体の免疫反応。

回答:福井聖子さん

熱が出る場合の多くは感染症によるものです。ウイルスやばい菌と戦うために体が免疫反応を起こすことで熱が出ます。基本的には、自分の免疫力で乗り越えられる病気が多いのですが、「病気に負けて」いるようなら医療の支えがいると考えてください。
自分の体力や免疫力で戦って、負けていない状態なら、お家のほうがゆっくり過ごせますから、熱が高いというだけで、夜間に慌てて受診しなくてもいいでしょう。
病気に負けていてすぐに受診が必要なのは、以下のような場合です。

【生後4か月未満】おっぱいやミルクを飲まなくなる,泣き声が弱々しい,ぐったりして反応がない,顔色や手足の色が悪い,呼吸が苦しそう,どこか変 【4か月以上】異様にぐずる,眠れない、すぐ起きる,ぐったりして全く遊ばない,顔色が悪い,呼吸が苦しそう,いつになく頭を痛がる

4か月以上の場合、遊ぶことができる、普通に食べられる、おう吐・下痢などがないというときは、負けていないと考えられます。
4か月未満の場合は機嫌が見分けにくいので、おっぱいやミルクの飲み方や泣き声にも注意してください。泣き声が弱々しいときも心配です。また、「どこか変」という項目は、いつもと違って何かがおかしい、というママやパパの直感です。これはとても大事なポイントです。
熱の高さではなく、食べられるか、寝られるか、遊べるか、おしっこが出ているか、という全身状態が判断のポイントになります。


高熱が出ると、脳に影響が残らないか心配です。

3歳の娘と7か月の息子がいます。下の子の出産で里帰り中、上の子が40度の高熱を出しました。実家の両親に「高熱が出ると脳に障害が残る」と言われて、慌てて夜間救急を受診しましたが、先生には「普通の風邪だから寝ていれば治る」と言われました。高熱で脳に影響が残ることはないのでしょうか?
(3歳 女の子、7か月 男の子のママ)

脳に影響を及ぼす 高熱を伴う病気

解説:白石裕子さん

風邪などで免疫反応として起きる高熱が、脳に障害を起こすことはまずないと言われています。

脳に影響を及ぼす病気には髄膜炎や脳症などがありますが、これらの病気が高熱を伴うため、「高熱イコール脳へのダメージ」と誤解されることが多かったようです。

中でも、容体が急変する子どもの脳の病気として恐れられてきたのは、ヒブや肺炎球菌などを主な原因とする「細菌性髄膜炎」ですが、現在は、これら2つの菌に対してワクチンが定期接種となり、激減しています。

熱の高さよりも、本人の状態を見極めることが大事です。

回答:福井聖子さん

昔は、赤ちゃんに高熱が出ると、比較的元気でも急変することがありました。その場合、髄膜炎が隠れていることが多く、絶対に早めに受診したほうがいいと言われていました。今は、予防接種でかなり少なくなっています。そうした病気がゼロになったわけではありませんが、そのような場合には機嫌にもはっきりと表れますので、むしろ、熱の高さより本人の状態を見極めることが大事です。


赤ちゃんが熱を出したとき、冷やすの? あたためるの?

お祭りに連れて行った後、初めて39度の高熱を出しました。いきなりの発熱でびっくりして、とりあえず冷やしたほうがいいと思い、保冷剤をタオルに巻いて、首に当てて寝かせました。そのときは気持ちよさそうに寝て、翌日には熱も下がりましたが、本当にそれでよかったのか今でも分かりません。大人はあたたかくしてたくさん汗をかいて熱を下げるのがいいと聞くけれど、本当はどうなのでしょうか。
ママ友は「薄着にして寝かせるといい」「がんがん冷やしていい」と言いますが、おばあちゃん世代は、「あたたかくさせなきゃダメよ」と言います。赤ちゃんの発熱、冷やす? あたためる? どちらがいいのでしょうか。
(8か月 女の子のママ)

冷やすかあたためるかは、子どもが快適な状態になるように考えて。

回答:福井聖子さん

赤ちゃんは涼しくしてあげるほうがいいですね。3歳以下のお子さんは、体温調節能力がまだ弱いので、たくさん布団など掛けてあたためてしまうと、熱が籠もって体温が高くなり、よりつらくなってしまうこともあります。
ただ、発熱には経過があるので、それに合わせて対応を分けることがポイントです。熱が上がりかけのときは寒気がするのであたため、熱が上がり切ったら涼しくして体を冷やします。一番大切なのは子どもが快適な状態にすることです。

子どもの状態を判断するためには、日頃から、手足を触ったときの感覚を確認しておきたいですね。手足が冷たいか温かいかなどは非常に微妙なものですから、肌感覚で知っておくとよいですね。
また、解熱剤は熱が上がり切るまで待ってから使うといいと思います。

ぬれタオルで気持ちのいい場所を冷やし、あおいであげるといいでしょう。

回答:白石裕子さん

熱が上がりきったら、布団や衣服などを調節して涼しくしてあげてください。
ぬれタオルなどで、大人も熱がある時に冷やすと気持ちがいいところ、おでこや首筋、胸の辺りを少しぬらし、状況によっては少しあおいであげても大丈夫です。熱中症などの熱ではない限り、そんなに冷やす必要はありません。手足が冷たくなってきたら少し冷やしすぎかもしれません。お子さんが、気持ちよさそうにしていることがベストな状態です。


発熱時、お風呂はどうすればいいの?

同居している母からは、「熱があるときはお風呂に入れないほうがいい」と言われます。汗もかいているし、元気はあるし、お風呂に入れてもいいのでは、と思うのですが実際にはどうすればいいのでしょうか。
(6か月 女の子のママ)

医学的観点からは「お風呂はダメ」ということはありません。

回答:福井聖子さん

医学的観点からは「発熱時のお風呂はダメ」ということはありません。どこかに腫れがあるときなどは温めると腫れがひどくなることもありますが、それ以外には、ぬるめのシャワーでサッと流すといいと思います。
世代によって熱が出たときの対応が異なるのは、住宅構造の変化も影響していると思います。
1、2世代前までは多くが木造建築で、冷え込み方が今と全く異なっていたので、お風呂上がりの湯冷めも心配だったのではないでしょうか。熱いお湯に入って、寒い思いをして湯冷めしてしまうと病気にはよくないから、「お風呂はやめたほうがいい」と言っていたのではないかと思います。


子ども医療電話相談#8000

みなさんは「#8000」を知っていますか?
「子ども医療電話相談」と言って、夜間や休日、子どもの病気やケガで困ったときの相談窓口です。

「#8000」でママ・パパなどから相談を受けるのは、看護師や小児科医。
一体、どんな点を大切に、相談を聞くようにしているのでしょうか?

今回、「#8000」の相談員向けの研修会で「電話相談トレーニング」の様子を見せていただきました。

<模擬電話相談の様子>

(相談員)はい、小児救急電話相談です。
(親)すみません、子どもが昨日から熱が出て⋯⋯。39度あるのですが、解熱用の座薬を使ってよいのでしょうか⋯⋯。
(相談員)今回は、座薬の使用についてのご相談ということでよろしいですか?
(親)えっとー、あ、はい。

口ごもる様子に、相談員がひとこと。

(相談員)お母さん、ほかに何か気になっていることがあるんですか?
(親)夫がとても心配していて、病院に連れて行ったほうがいいんじゃないかって言ってるんです。
(相談員)お父さんが心配されているんですね。お子さまの様子をもう少し教えてもらってもいいですか?

相談員は、親が本当に聞きたいことを探りながら、必ず、子どもの全身状態を確認します。

(相談員)今お子さまはどんな様子ですか?
(親)熱はあるんですけど、夕飯に少しおかゆも食べられましたし、今はよく寝ています。
(相談員)熱があっても、機嫌が悪くなくて、眠れているのでしたら、ちょっと安心ですね。
(親)今、病院に連れて行かなくてもいいですよね?
(相談員)そうですね。お熱で夜中でもすぐに病院に連れて行ったほうがいい状況を今からお伝えしますね。
(親)はい。
(相談員)起きたときにボーっとしていて視線が合わない、あるいは寝ていても顔色が悪いようでしたら、受診したほうがいいと思います。
(親)はい、わかりました。

このように、緊急性の高いケースの見極め方を伝え、相手が納得するまで対応していました。


「#8000」で電話を受ける相談員が大切にしているキーワードは、お子さんの「食べる、寝る、遊ぶ、出す」といった全身状態だといいます。つまり、食べられるか、寝られるか、遊べるか、おしっこが出ているか。これらが病気の重症度、緊急度に大きく関わるため、親から必ず聞くようにしているそうです。

聞きたいことをメモしてから電話するといいですね。

コメント:白石裕子さん

電話だと緊張しますし、後からあれも聞いておけばよかったと思うようなこともありますので、気になることや、これだけは聞いておきたいことなどは、電話の前にちょっとメモしておくといいと思います。


食欲がないときの水分補給や食事はどうすればいいの?

1歳の娘が、少し前に手足口病になりました。39度の熱が出て、下がった後は、手足だけでなく、口の中にびらんができてしまい何も食べなくなりました。お茶も一口飲むとワーッと泣き出して、ご飯のときも機嫌が悪く、いつもより母乳を欲しがる回数が多くなりました。母乳以外にも何か口にできないかといろいろ試してみましたが、いつもは大好きなバナナやイチゴ、オレンジジュースなども一切、受け付けませんでした。少し回復してからは、ヨーグルトや寒天、茶わん蒸しなどを、少しずつ食べるようになりました。そろそろ卒乳を考えていますが、卒乳後、食欲がないときはどうしたらいいのでしょうか。
(1歳6か月 女の子のママ)

発熱だけなら乳幼児用のイオン飲料を与えてあげてください。

回答:福井聖子さん

発熱だけなら、乳幼児用のイオン飲料がいいと思います。大人向けは成分が違うので必ず乳幼児用のイオン飲料を飲ませてあげてください。手足口病や、口内炎ができていたり、喉が痛かったりすると、しみてしまうので、イオン飲料、かんきつ系のジュース、果物なども嫌がると思います。飲みやすいものを与えてください。
また、卒乳して半年後、1年後となると、子どもが成長してもう少しいろいろなものを受け入れることができるようになりますし、これはダメ、これは食べるということがはっきりと分かりやすくなります。成長段階が変わっていくので、あまり先のことを心配されなくてもいいかと思います。

味覚が変わるのでいろいろと試して。一時的に食べられなくてもそんなに心配はありません。

回答:白石裕子さん

具合が悪くなったときは大人でも味覚が変わりますので、その時に何を好むかは、トライ&エラーでいろいろ試してみることがいいと思います。離乳食なら1つ前の段階に戻すといいと思います。
親の心境としては、やはり子どもが飲んでくれない、食べてくれないということは本当につらいので、焦ってしまうと思いますが、ふだん元気にしているお子さんでしたら、ちょっと具合が悪くなって食べられない時期があったとしても、回復すれば体がまた受け付けるようになりますので、一時的に食べられなくてもそんなに心配しなくて大丈夫です。


専門家から
これだけは言っておきたいメッセージ

ふだん子どもを見ている親の「何か変」という違和感は貴重な情報。受診時にも伝えてほしい。

白石裕子さん

お子さんのことをふだんからよく見ているお母さんやお父さんの『何か変』という違和感は、本当に貴重な情報になります。そうしたところを受診時に一緒に伝えていただけたらと思います。

子どもな病気にかかることで免疫力がつく。病気を乗り越えることが大事。

福井聖子さん

病気にはなってほしくないのですが、病気にかかることによって免疫力をつけていくので、病気にかかることが悪いことではなくて、それを乗り越えることが大事なんですね。一生懸命看て、いろいろと考えてあげてみてください。そういうやりとりが、親子の歴史、子育ての過程になっていくと思います。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです