子どもの「食」の悩み ~幼児食~

すくすく子育て
2019年9月7日 放送

4月放送の「全国のパパママに聞きました! 子育ての悩みは何ですか?」で行なったアンケートの結果、1位は「食」の悩みでした。
前編「子どもの「食」の悩み ~離乳食~」に続き、
後編は、離乳食卒業後の幼児食。
「好き嫌いや偏食がひどくて困っている」
「食事中の態度、どうすればよくなるの?」
子どもの自我も芽生え、さまざまな種類の悩みが出てくる「幼児食」について考えます。

専門家:
太田百合子(東洋大学 非常勤講師/管理栄養士)
外山紀子(早稲田大学 教授/発達心理学)

幼児食は、大人の食事とは違うのですか?

まだ歯が生えそろっておらず、かむ力も弱い。内臓機能も未熟です。

回答:太田百合子さん

幼児食では、そろそろ大人と同じようなものが食べられそうだととらえている方も多いのですが、奥歯が生えそろうのは3歳ぐらいです。また、かむ力も弱いので、食材によってはうまくかめないこともあります。内臓機能も未熟ですから、衛生管理にも引き続き注意してあげてください。

自分で食べるようになる時期。自己主張として好き嫌いも出てきます。

回答:外山紀子さん

大人に食べさせてもらっていた子どもも、自分で食べるようになる時期です。食事のマナーを身につけていく時期にもなりますが、自己抑制の力はゆっくりと時間をかけて発達していくため、離乳食を卒業してしばらくは、「これはイヤ」「あれが欲しい」など、自己主張がとても激しくなります。


野菜などの好き嫌い、どうすれば食べてくれますか?

2歳6か月の息子は緑の野菜を食べません。一度は口に入れるのですが、すぐに出してしまいます。ドレッシングをかけると食べることもありますが、ほとんど食べてくれません。
(2歳6か月 男の子のママ)

苦味やえぐみは本能的に拒絶する味。初めてのものも苦手です。

回答:太田百合子さん

2~3歳の子どもにとって、野菜は食べにくいと思います。幼児期は、野菜嫌いが一番多い。野菜は、苦みやえぐみ、独特の味があります。子どもには苦いものを拒絶しようとするはたらきが備わっています。
そして、初めて見たものに恐怖を感じる「新奇性恐怖」という性質もあります。子どもたちの記憶力は幼児期くらいからついてくるといわれますが、赤ちゃんのころに食べていたものでも、それを具体的に思い出すことができず、「これは初めて見たぞ、何だろう」となることがあります。偏食や食わず嫌いになりやすいのもこのことからだと考えられています。
また、奥歯がないので生野菜は食べづらいと思います。ドレッシングや調味料を少々つけても、大した塩分ではありません。ドレッシングと和えてしばらく置いておくと、野菜がしんなりとして食感が変わり、食べやすくなるかもしれません。

まだ食べられるだけ十分に成長していない、食べさせられ方が嫌いな可能性もあります。

回答:外山紀子さん

幼児期に好き嫌いがあるのは、その食べ物が嫌いということよりも、まだ十分に食べられるだけ成長していないということだと思います。もしくは、その食べ物が嫌いなのではなく、食べさせられ方が嫌いだということもあります。自分はこうやって食べたいのに、お母さんは別のやり方で食べさせようとするから、それが嫌いという可能性もあります。
子どもは気まぐれで、ある時、急に食べるようになることもありますので、嫌いだからもうずっと食べないと決めてしまわず、嫌いなものも食事の場には出しておくといいと思います。そして、お母さんやお父さんが楽しそうに食べていると、つられて食べてしまうということもあります。


野菜を食べやすくする工夫

素材そのままでは食べにくい野菜は、食べやすくする工夫をしてみましょう。

とろみをつけると舌触りがよくなり、肉などのたんぱく質を足すと、うまみが出ておいしくなります。

きゅうりは、薄切りにして塩でもんで、水で洗いしぼるとしんなりします。あえものや、ポテトサラダなどに。

ブロッコリーはゆでて小さく切り、チーズやひき肉とあわせたり、シチューに入れたりすると食べやすくなります。


食べるものが限定的。かなりの偏食です。どうすればいいのでしょうか?

白いご飯は食べるのですが、それ以外のおかずをほとんど食べてくれません。今食べてくれるのは、ご飯、のり、みそ汁の汁、フライドポテト、ほうれん草としらす干しを混ぜたおにぎりだけです。保育園でも食べません。基本的にお菓子もあげていません。間食に少しパンを食べることもあるのですが、果物も食べず、ジュースも飲みません。どうすればいいのでしょうか。
(2歳2か月 男の子のママ)

どんな栄養がとれているかを考え、あとは長い目で見守って。

回答:太田百合子さん

子どもの栄養相談を受けていると、かなり頑固に決まったものしか食べない、という子もいます。お子さんの場合は、炭水化物、たんぱく質、ビタミン・ミネラル分などの栄養素は今食べられるものから一応とれていると思います。小学校以降も、なかなか食べられなくて食が進まない子どももいますが、成長期には食べられるものが増えてくることもあるので、あまり無理強いすることはないと思います。

食べられなくて叱られることが続くと、「食」に対して悪いイメージが。

回答:外山紀子さん

舌の感覚などが敏感な子どももいるので、なめらかな舌触りのものなど、その子の好みのものを出してみるなどの工夫は必要だと思います。食べられないことで叱られることが続くと、その食べ物を見るだけで悪いイメージが思い起こされるようになる場合があるので注意しましょう。

子どもの生活をトータルで見ると、子どもの食の悩みは軽くなります。

回答:太田百合子さん

いくつかのポイントをおさえれば、子どもの食の悩みは軽くなることが多いものです。

まず、生活リズムを整えます。おなかをすかせて食事の時間を迎えることが大事です。「流れ」とは、食事の前にエプロンを着けるなど、いつものパターンを作ること。そして、大人も一緒に食べ、楽しい声かけもあるといいですね。
また、手伝いで野菜を洗うなど、子どもが素材に直接触れることも大切です。自分で触れると、興味がわいて食べてみたいという気持ちになることもあります。
子どもが食べないとき、食事に直接関係することばかり気になりがちですが、食事を含めて子どもの生活をトータルで見ることが大事です。


「おやつ」はどんなものを食べればいいの?

幼児の生活の中で、「おやつ」はとても大事です。
保育園ではどんなおやつを出しているのか、おやつの時間を見せていただきました。

今日のおやつは、じゃがいものみそだれと牛乳。

甘いお菓子ではありませんが、みんな、もりもり食べています。おかわりする子もたくさんいます。

メニューを考え、作っている栄養士に、おやつについてうかがいました。

「おやつは4回目の食事ととらえていますので、ごはんやいも、うどんなどのときもあります。今日はじゃがいものみそだれでした。おやつは、食事や軽食だととらえると、メニューを考えやすいと思います」

幼児は胃が小さく消化機能が未熟なため、3回の食事だけでは1日に必要なエネルギーや栄養素をとることができません。そのため、おやつや間食は栄養を補うための大切な機会なのです。

他の日のメニューを見てみると、ごはんやいも類などをベースに、味の変化をつけているようです。

蒸しパン、ようかんなどもありますが、軽食、4番目の食事という意味がよくわかります。
おやつの量の目安は、1~5歳の場合、1日のエネルギーの10~20%。2歳だと100~150キロカロリー程度です。

例えば、おにぎりは子ども用の茶わんの3分の1くらいの大きさにして、まずひとつ。
おかわりを欲しがったらもう一つあげるくらいが適量です。大きいものをひとつ食べるよりも、小さくしておかわりするほうが子どもの満足感が大きくなります。

おやつを食べるタイミングは、食事に影響しないよう、2~3時間空けます。できるだけ時間と量を決めて規則的に。だらだらと時間をかけて食べないようにしましょう。
食事とは違う楽しさを味わうことができるのも、おやつのよさです。ポイントをおさえつつ、工夫してみてください。


食生活を改善したい。どこから取り組んでいけばいいの?

2歳10か月の娘の食事に悩んでいます。デザートから食べ始めたり、好きなものしか食べません。食事中は落ち着きがなく、立ち歩きます。だらだらと食べるので終わりがいつなのかよくわからず、1時間ぐらいかかることもあります。片付けるとお腹がすいたと大泣きされることもあります。中途半端な時間にお腹がすいてしまい、食べたいと言い出したら、泣き叫んで押し通します。おやつを食べると食事が食べられなくなることもあります。食生活の改善、どこから取り組んでいけば良いのでしょうか。
(2歳10か月・1歳8か月 女の子のママ)

食事の時間は20~30分。集中できるように食事環境を見直してみましょう。

回答:外山紀子さん

これくらいの子どもの場合、食事の時間はおよそ20~30分ぐらいです。保育園でもそれくらいの時間内に食べ終わるケースが多いですね。食事に集中しやすいように子どもの興味をひくものを遠ざけるなど、環境面でのサポートが大事になります。

現状ではワンプレートでデザートやフルーツも一緒に出しているようですが、果物や甘いものなどは別の器に入れて、最初は出さないようにしましょう。甘いものを先に食べてしまうと血糖値が上がり、満腹になるのが早くなるので、飽きやすくなります。

これまではフォークやスプーンなどを子どもに選ばせていたようですが、子どものようすを見ながら大人が選んだほうがいいでしょう。

スプーンをまだうまく使いこなせないこの時期には、すくいやすい食器を使うと食べることに集中できます。ある程度重さがあり、ふちが直角に立ち上がっているものがすくいやすいですね。

スプーンやフォークは、お箸や鉛筆を持つときの鉛筆持ちに発展させていくために、ある程度の重さがあり、長すぎず、握りやすいものを選びます。

テーブルが高すぎるので、子どもはひざ立ちにならないと器の中が見えません。テーブルは、座った状態でひじが置けるくらいの高さだと子どもの上半身が自由になり、食べるときに集中できます。

いすの高さは、足がぶらぶらせず、踏ん張れることが大事。踏ん張ることでかむ力が身につき、上半身を支えることができます。腰も固定したほうが、ぐらつかず安定します。上半身をしっかりと支えられるように工夫して、足が届く高さの台を置いてみましょう。

食事に集中できない時には、定期的に足台や背もたれなどを微調整しましょう。

回答:太田百合子さん

子どもはどんどん身長が伸びるので、微調整することが大事です。保育園でも牛乳パックで足台を作ったり、マット状のもので微調整したりしています。子ども用のいすの場合でも、背中が背もたれにつかないと落ち着かないので、定期的にチェックしてクッションや座布団などで調整してあげるといいと思います。

おやつなど、欲しいものをもらえないと泣きやまない場合はどうすればいい?

ルールを決めて少しずつ守るように工夫しましょう。外遊びなども取り入れて。

回答:外山紀子さん

泣けばお菓子がもらえる。そして、次の食事がまた食べられなくなって、また怒られる。そのような悪循環に陥ってしまうので、ある程度のルールをしっかりと決めることが大事だと思います。ただ、これまでおやつを与えていたものを、いきなり今日から全くなしにするのはハードルが高すぎるので、例えば量を半分にするとか、それでもまだ泣き続けるようなら、ちょっと外に遊びに行って気を紛らわせるなどしてみましょう。外遊びをすれば、おなかもすきます。そういった対処が必要かなと思います。

保育園では一人で座って食べるのに、家ではママのひざの上でしか食べません。

保育園と食べ方が異なるのはよくあること。甘える時間を作ってあげてみては?

回答:外山紀子さん

食事は、食べ物、周りにいる人、周りの環境(物理的な環境と社会的な環境)で総合的に作られています。保育園と家庭で食べ方が異なるというのは、とてもよくあることです。
家だと全く食べないのに、保育園だと周りの友達につられて食べるということもあります。ですから、本当は一人でできるのに甘えているということではなく、本当は甘えん坊なんだけれど、保育園ですごく頑張っているという見方もできますよね。ひざに座って甘えたいという気持ちは、食事の場ではなく、例えば「ご飯の後におひざの上で絵本を読もうね」と提案するなど、食事の時間以外で甘える時間を作って気持ちを満たしてあげることも試してみるといいと思います。


専門家から
これだけは言っておきたいメッセージ

食べるときの子どもの気持ちを子ども目線で考える。

太田百合子さん

「こういう言葉かけをしたら楽しくなるかな」とか、「ちょっと嫌になっちゃうかな」など、子ども目線で考えてあげることも大事だと思います。

子どもの食べる力を引き出す働きかけをする。

外山紀子さん

最近、「食べてもらう」や「食べてくれた」などの言葉を聞くことが多いように思います。しかし、「食べる」「栄養をとる」ことは、言うまでもなく生命にとって必要なことです。子どもが本来持っている「食べる力」を引き出すような働きかけがこれから大事になってくると思います。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです