自分のことなら我慢できるけど、子どものことになると少し言い過ぎてしまうことはありませんか? でも、それって「モンペ※」と思われる? そこで、子育て中に遭遇した「むむむ」なシチュエーションでの「あなたならどうする?」をテーマに、本音で討論していきます。
※モンペ(モンスターペアレント):園や学校に対して理不尽で過度な要求をする保護者

専門家・ゲスト:
大豆生田啓友(3児のパパ/玉川大学 教授/乳幼児教育学)
あばれる君(2児のパパ/お笑いタレント)
藤本美貴(3児のママ/タレント)

園で動画サイトを見ている? なるべく見せないで欲しい…

3歳のわが子が、家では見せていない動画サイトで流行している歌を覚えて帰ってきました。保育園で動画サイトを見せてもらっているようです。でも、「なるべく見せないでほしい」とお願いしたいです。これってモンペでしょうか?
(ぺロスさん)

―― 園の方針などに関係する「むむむ」。園に意見してもいいのでしょうか。あなたならどうしますか?

鈴木あきえさん(MC)

動画に関しては、それぞれ家で向き合い方が違いますよね。

家での方針を伝えて「うちの子には見せないで」と低姿勢でお願いする

あばれる君さん

もし自分が家で見せないようにしているなら、意見するかもしれません。「うちでは見せてないので、うちの子だけは、ちょっとお願いします」と、家での方針を伝えながら、相手を尊重するような言い方をすると思います。

園長先生に動画を見せている理由を聞く

藤本美貴さん

自分の子どもだけ「あなたは見ちゃダメだから」と言われるのはかわいそうで、おそらく先生も言えないと思います。わが家では動画を見せることもありますが、保育ではよくないと考えているので、園長先生に「どういうことで、見せているんですか?」と理由を聞いて話し合いたいです。クレームより質問です。意図が理解できれば納得します。

先生との会話でアピールする

鈴木あきえさん(MC)

私は、直接言えないと思います。見学して自分が選んだ園で、先生にはいつもお世話になっていて、感謝することもいっぱいある。そう思うと「私が意見していいのかな?」と考えてしまいます。
だから、ちょっとした会話でアピールすると思います。例えば、「最近うちの子が、ちょっと目がシュパシュパしているみたいなんです… 何かありましたか?」と、間接的に伝えるわけです。

あばれる君さん

先生は、いろんな子どもを見ていると思うと、ちょっと言いづらいですね。

藤本美貴さん

「最近うちの子がケータイを見たがるんですけど、園で変わったことはありますか?」という聞き方でもいいかもしれませんね。

―― 大豆生田さん、みなさんの考えはいかがですか?

動画をツールとして使うことがある

大豆生田啓友さん

みなさんの発言は、思った以上に良心的で、園のことも考えてくれているんだと感じました。
動画については、園によって調べもので使ったり、音楽を聞かせたり、ツールとして使うことはあります。そのような使い方については問題ないでしょう。伝え方が簡単ではないと思いますが、意見を伝えることも大事だと思います。

メールボックスや意見箱などを利用して保護者の意見を伝える

大豆生田啓友さん

実は、意見を言えない親たちが多いといいます。一方で、園側は厳しいクレームに悩んでいる実態もあります。どういうふうに伝えたらいいのか難しい、伝えにくいこともありますよね。そんなときはメールボックスです。多くの園では親たちの声を聞く箱を置いています。それは、「言いにくい声も聞きますよ」という園からのメッセージなのです。そういったものを活用するのも1つの方法です。


園の節分行事、子どもが鬼を怖がるのでやめて欲しい…

保育園に慣れてきたわが子が、節分の鬼に号泣してしまいました。鬼が原因で、それから保育園に行くのをいやがります。本気で怖がらせる鬼の演出が必要なのか疑問で、次から鬼をなくしてほしいのが本音です。園に意見してやめてもらいたいけど、モンペになるのでしょうか?
(かりあげくんさん)

―― 園の行事での「むむむ」。あなたならどうしますか?

コミカルな鬼への変更をお願いする

あばれる君さん

これは言っていいと思いますね。例えば、「子どもが恐怖を感じてしまっているので、少しコミカルにしていただいたりできますか?」「黄色い鬼だと、かわいいかもしれません」といったことです。コミカルに変更をお願いするのはありだと思います。

節分の鬼の意味を家できちんと伝える

藤本美貴さん

日本の行事を教えることはすてきですよね。園に言うよりも、親として家でできることがあるのではないかと思います。子どもに、前もってどうして節分をするのかを話して、当日は「自分の中の悪いものを出しておいで」と元気に送り出す。帰ってきたら「すごい!鬼倒せたじゃん!」と言うのはどうでしょう。子どもも、悪いものに勝った気持ちになると思います。

鈴木あきえさん(MC)

まずは自宅でケアできることがないか考えるわけですね。

藤本美貴さん

そうですね。もし、「鬼が怖い、園に行きたくない」と言ってきたら、「鬼は退治されて絶対いないよ。行っといで」と送り出して、帰ってきたら「いなかったでしょ? 退治したもん」と言いますね。

あばれる君さん

第一に子どもに伝えるわけですね。「鬼が怖くても、豆を投げれば逃げていくよ。しっかり投げてきて」と伝えておくのはいいですね。

鬼はやめて欲しい

鈴木あきえさん(MC)

実は、一時期、子どもを言い聞かせるときに「鬼」を使ったことがあり、反省しています。子どもがとても怖がってしまって。やっぱり鬼が本気で脅すのはやめてほしいと思います。だから、何となく「うちの子がほんとに泣いちゃって、園に行くのがヤダって言ってるんですよ」「やさしい鬼にできますか?つくるのを手伝いますよ」といったことを言うと思います。

―― 大豆生田さん、みなさんの考えはいかがですか?

子どもによってタイプが違うので、遠慮せずに伝える

大豆生田啓友さん

これは、よく現場で議論になる話です。極端に怖いと感じる子がいるなど、子どものタイプによって大きく違います。だからこそ、親は子どもの姿を遠慮せずに伝えて、園に配慮してもらったほうがいいでしょう。園側も、そのことを考える姿勢だと思います。園との対話が重要です。園に相談すれば、園側も丁寧に関わってくれるでしょう。

古坂大魔王さん(MC)

まさに対話なんですね。なかなか時間がとれないと思いますが、メールボックスで伝えたり、少し早くお迎えに行って話をしたりするのもいいですね。


園のスナップ写真、もっと上手に撮ってほしいとお願いしたい…

園で、先生がスナップ写真を撮ってくれるのですが、もっと上手に撮ってほしいと思っています。先日、ハロウィーンで子どもたちが「おすし」の仮装をしたようで、その様子を写真で見せてもらえました。

でも、子どもが柔道着を着ているみたいな写真でした。実は、背中側を見ると「にぎりずし」だとわかる仮装だったようです。もっと伝わる写真を撮ってほしかったと思っています。それを言うのはモンペでしょうか?
(スペさん)

―― 園のスナップ写真に「むむむ」。あなたならどうしますか?

鈴木あきえさん(MC)

保護者が参加しないイベントは、どうしても園の写真が頼りになりますよね。

古坂大魔王さん(MC)

そうですよね。そこでうちの子だけ目を閉じていても、先生に「うちのお姉ちゃんずっと半目だったんでよ」と言って、笑い話にしていました。

卒園のときにカメラをプレゼントした

藤本美貴さん

先生が気持ちで撮っていただいたものなので、文句は言いません。通っていた園の写真は、画質が低かったのですが、卒園するときにカメラをプレゼントしたんです。コンパクトで使いやすいものです。先生に「写真がすごいうれしかったんです。みんな楽しみにしていたので、よかったらこのカメラを使ってください。画質もよくなるし、ブレにくいみたいですよ」と言って渡しました。

鈴木あきえさん(MC)

すごいですね。そういう協力のしかたもあるんですね。

古坂大魔王さん(MC)

みんなができることではありませんが、自分で買って渡せばいいというのはすごいですね。

サービスというものをどう捉えるかによる

古坂大魔王さん(MC)

サービスというものを、どう捉えるかによると思います。安全に健康に育ってくれればいいという考えもあります。スナップ写真の質は園に求めることなのか、考えてみるのもいいですね。

写真はありがたい。意見せず我慢

鈴木あきえさん(MC)

たしかに、顔が半分入っていなかったり、1枚も笑ってなかったりすることもありますね。でも、園での様子がわかるだけでも、本当にありがたいツールだと思うので、絶対言えないと思います。意見せず我慢しますね。

あばれる君さん

実は、園でビデオ係をやっているんですよ。例えば、遠足に同行して撮るんです。それで、保護者の方から意見されることがあるんですね。頑張って撮っているので、やっぱり言われたほうはショックなんですよ。

写真や撮影してくれる人を褒める

古坂大魔王さん(MC)

私は、「いつも写真見てますよ、とてもいいですね」と伝えているんです。「逆光の雰囲気が最高でしたね」「別の写真もあったら見たいな」と言っていると、先生の「期待されてる」とモチベーションも上がって、より写真を意識してくれると思います。

―― 大豆生田さん、みなさんの考えはいかがですか?

写真には保育の質を向上させる目的がある

大豆生田啓友さん

今、保育の世界では、毎日の日誌のような記録を写真で撮るようにしています。それを「ドキュメンテーション」と言います。子どもの活動を写真や動画・音声・文字などで記録して、保育を「見える化」し、保育の質を向上させる手法です。文字だけで書くより、写真には圧倒的に意味がある。写真にはそのような目的があります。それを、保護者にも発信することもあるのです。

保育中にいい写真は撮れない

大豆生田啓友さん

園の先生は子どもたちの近くにいて、子どもたちがいちばんいいときは子どもたちと関わっています。そのため、保育中にいい写真は撮れないわけです。園側の立場で考えると、よい写真を求めるのは違うように思います。むしろ、先生たちは子どもの育ちや、子どもの様子を、写真だけではなく言葉で伝えようとしているので、そこを見てほしいと思います。先生たちは子どもたちの育ちと命を守ることに精いっぱいなのです。
一方で、先生たちは写真を見てほしい気持ちから、できるだけ発信しようとしているので、その点を見てほしいと思います。
先生とは別に、プロのカメラマンが撮っているような場合は、要望を出してもいいかもしれません。

鈴木あきえさん(MC)

以前、保育士の方が子どもたちの写真を撮っている場面を見たことがあります。やっぱり子どもたちをみるのが第一で、カメラの画面なんて見ていないですよね。子どもを見てるからこそ、ブレた写真になるんだと納得しました。


支援センターで、子どもを注意する態度を改善してほしい…

子育て支援センターで、子どもたちが紙芝居を聞いていたときのことです。ある子どもが大きなリアクションをとると、強い口調で子どもを静止するスタッフがいました。ただ、その子は、紙芝居が聞こえないほど暴れていたわけではありません。楽しんではしゃいでいる子をおさえつけるような行動で、心苦く感じました。意見しようか迷いましたが、これってモンペでしょうか?
(昆虫博士さん)

―― 施設での「むむむ」。あなたならどうしますか?

質問スタイルでルールを確認する

藤本美貴さん

たとえ子どもが喜んでいても、騒いでいる度合いにもよると思います。注意する大人のほうも、「こっちにきて一緒に見よう」など、やさしい言い方があると思いますが、人によって得手不得手があるのでしょうね。
私は、 「むむむ」と感じたら常に質問スタイルなので、「子どもが注意されていましたが、どういうことなんですか?」と聞きます。もしかすると、「座って見る」というルールがあったのかもしれません。わからないことは全部聞くわけです。質問するときは、常に「あっ、そうなんですね、すみません」と引ける気持ちで聞いています。言い争うためではなく、本当に聞きたい気持ちなんです。

必ず行く場所ではないので意見せずに身を引く

鈴木あきえさん(MC)

この施設は必ず行かないといけない場所ではないので、意見せずに身を引くと思います。言うためのエネルギーを使うより、別の施設に行くことを考えますね。

古坂大魔王さん(MC)

私も同じかもしれません。参加は自由で、私たちも選べるわけですから。園とは違うと思います。

一緒に良い注意のしかたについて話し合う

あばれる君さん

私の場合は、強い口調を聞いたら、「ちょっとすみません、もう少し言い方がありますよね」と言うと思います。「もうすこしやわらかい言い方はどうですか? お互い気持ちよく過ごせるように考えましょう」と、一緒に良い注意のしかたについて話し合いたいです。もっといい言い方があると気づいてほしいですね。

―― 大豆生田さん、みなさんの考えはいかがですか?

子育て支援センターなどでは遠慮せずにスタッフに伝える

大豆生田啓友さん

子育て支援センターは親子がほっとできる居場所です。例えば、家で走り回ったり、スーパーで怒られたり、そういった子どもたちの居場所であり、親もそこでほっとできる。そこで怒られると行きにくくなります。できれば、怒らないで対応してほしいですね。その意味では、遠慮せずにスタッフに要望を伝えていいと思います。

古坂大魔王さん(MC)

施設のみなさんは、子どものためにしていることで、たまたまボタンのかけ違いがあったのかもしれません。親子でほっとしてほしくて開いているわけですよね。

大豆生田啓友さん

そうですね。支援センターのみなさんもわかっていると思います。不特定多数のいろんな子がいるので、想定外のことが起こることもあります。悩ましいこともあると思います。おそらくその声を受けて、施設側もいろいろと工夫していくと思います。

藤本美貴さん

親側も、子どもに「静かにしようね」「ちょっと座んなさい」と言うなど、親としてできることをしたほうがいいと思いますね。

古坂大魔王さん(MC)

施設に対する「ありがとうございます」という感謝の気持ちも大事ですね。


最後に

―― 今回は、いろんな話題について話し合ってきましたが、いかがでしたか?

藤本美貴さん

私は、気になることがあると「どうしてですか?」と聞けるタイプですが、言えない方もいますよね。でも、「言ってやる!」ではなく、本当に園とお互いに質問しあう気持ちなんです。園に限らず、いろいろな場所で、話し合えることが増えるといいですね。

あばれる君さん

勉強になりました。今回話したようなことは、今後も増えていくと思います。学校に上がれば、学校でそのような場面もありますよね。やわらかく質問したり、相手を尊重したり、いろんな関わり方があると思いました。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです