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研究内容紹介

次世代放送用デバイス・材料

概要

 8Kスーパーハイビジョン(SHV)や将来の立体テレビなどの放送サービスを支える次世代の撮像・記録・表示技術に関わるデバイスや材料の研究開発を進めた。
 撮像技術の研究では、超多画素と高フレームレートを両立できる3次元構造撮像デバイス、8Kカメラの高感度化に向けた増倍膜積層型固体撮像デバイス、超小型で高画質な単板式8Kカメラを実現するための有機光電変換膜の開発をそれぞれ進めた。3次元構造撮像デバイスでは、画素サイズ約50µm、画素数320×240のデバイスを試作し、画素並列信号処理が可能であるという特長を生かすことにより、広いダイナミックレンジ特性が実現できることを実証した。増倍膜積層型固体撮像デバイスでは、増倍膜を構成する結晶セレンの結晶性向上により、暗電流を低減するとともに、積層した増倍膜から信号を読み出すための8K CMOS回路の試作を進めた。また、有機光電変換膜では、新規材料の適用などによる量子効率の改善に取り組み、青色用および赤色用光透過型セルの高効率化を実現した。
 記録技術の研究では、SHV映像の記録に必要な超大容量と高転送速度の実現に向けたホログラム記録技術と、磁性細線中の微小磁区移動を利用した可動部のない記録デバイスの研究を進めた。ホログラム記録では、高速大容量を実現する多値記録技術の開発を進めた。その要素技術として、機械学習に基づく再生データの復号技術と、誤り訂正符号技術の開発を進めるとともに、多値数4に適した変調方式として、振幅変調による多値記録再生技術を開発した。微小磁区記録デバイスでは、駆動速度の高速化に向けた磁性細線材料の探索やシミュレーションによる磁区形成・駆動の解析、記録再生評価系の広帯域化などを進め、高速駆動の妨げとなる磁化を低減するコバルト(Co)/テルビウム(Tb)多層膜人工格子構造と白金(Pt)に起因するスピンホール効果により、従来の10倍以上となる15m/s以上での磁区駆動を確認した。
 表示技術の研究では、家庭用の大画面SHVディスプレーの実現に向けた、有機ELデバイス(有機材料を用いた発光ダイオードであるため、Organic Light-Emitting Diode(OLED)と称される)の長寿命化・高色純度化技術、ディスプレーの高画質・低消費電力駆動技術、ならびに将来の超大画面フレキシブルディスプレー実現に向けた塗布型デバイスの要素技術の開発を進めた。長寿命化技術では、輝度半減寿命が1万時間以上の実用的な逆構造OLEDを低温プロセスで実現するとともに、長寿命化に適した発光層ホスト材料の探索を進めた。また、材料の化学構造に着目してデバイスを改良することにより、色純度の高い緑色OLEDを実現した。高画質・低消費電力化技術では、酸化物TFTの短チャネル化技術の開発を進めるとともに、HDR映像表示時の駆動電力・表示輝度の制御手法を提案し、シミュレーションによる省電力化の検証を進めた。塗布型デバイスでは、光反応を使った酸化物半導体のパターニング製法や硫化亜鉛―硫化銀インジウム固溶体による高効率な量子ドット電界発光素子を開発した。