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研究内容紹介

6.2.2 ホログラムメモリー

 スーパーハイビジョン映像を記録、保存するためには、超大容量・高転送速度の記録システムが求められる。この要求に応える記録技術として、高速高密度ホログラムメモリーの研究開発を進めている(1)。2014年度は、ホログラムからデータを再生する際のデータ転送速度を向上させる技術開発に取り組んだ。
 これまでのホログラムメモリーにおけるデータ再生では、1種類の偏光の参照光で、単一ページデータを順次再生していた。今回、より高速なデータ再生を実現するため、2種類の偏光の参照光を同時にホログラムに照射し、2つのページデータを同時に再生するデュアルページ再生技術を考案した(図1)。ホログラムに照射する参照光をp偏光とs偏光の2種類の偏光に分岐し、それぞれのホログラムに対する入射角度を制御する偏光分岐角度制御光学系と、ホログラムから再生されたp偏光とs偏光の再生光を分離してそれぞれの再生データを検出する偏光分離光学系をホログラムメモリーの光学系内に実装した。この光学系を用いてホログラムの角度多重記録を行い、デュアルページ再生の原理検証を行った。その結果、p偏光による再生、s偏光による再生ともに、再生データの誤り率は実用上許容される3.0×10?3以下の値が得られ、考案したデュアルページ再生技術が有効であることを実証した。



図1 ホログラムメモリーのデュアルページ再生の原理


〔参考文献〕
(1) 木下,室井,石井,上條,菊池,清水:“高精細映像再生に向けたホログラムメモリー信号処理アルゴリズム,” 映情学誌,Vol. 68, No. 8, pp. J348-J357(2014)