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研究内容紹介

立体映像

概要

 将来の放送サービスを見据えて、特別なめがねを用いず自然な立体像を楽しむことができる立体テレビの実現に向けて、インテグラル方式に関する撮像・表示技術、符号化技術やシステムパラメータの研究、立体表示用デバイスの研究を総合的に進めた。同時に、2020年の東京オリンピック・パラリンピックへの活用を目指し、各種スポーツ中継番組へ応用可能な実空間センシングによる多次元映像表現技術の研究開発を推進した。
 インテグラル立体表示技術の研究では、多画素化と広視域化に向けた要素技術の開発に取り組んでいる。2016年度は、4台のHD液晶パネルと新規光学系を用いて画面合成する直視型表示装置を開発し、表示画像のノイズ低減や解像度の向上を図った。また、5台の高精細プロジェクターを用いた試作機により、解像度および視域角(水平・垂直方向)をそれぞれ約11万4千画素および約40度に性能改善した。さらに、高密度な13.3インチ8K-OLEDディスプレー(664 ppi)を用いた直視型表示装置を試作した。
 立体映像の新しい符号化技術の標準化を目的として2013年に開始された、MPEG-FTV(Free-viewpoint Television)アドホックグループの活動に、2016年度も継続して参加した。またインテグラル立体動画像を圧縮するために、要素画像を多視点画像に変換後、既存の多視点符号化方式である3D-HEVC(High-Efficiency Video Coding)を適用する符号化実験を行った。
 インテグラル立体撮像技術の研究では、高品質な立体像の生成に向け、複数のカメラやレンズアレーを用いた空間情報取得技術の研究に取り組んでいる。2016年度は、複数のロボットカメラで取得された多視点映像から3次元モデルを生成した後、要素画像に変換するインテグラル立体モデルベース撮像技術を開発した。本技術では、正六角状に配置された7台のロボットカメラで、実写での3次元点群モデル生成および要素画像変換の基本動作を検証した。
 2015年度より開始したインテグラル立体システムパラメータに関する研究では、表示パラメータと画質(奥行き再現範囲、解像度、視域)の関係をシミュレータおよび主観評価により検討を進めている。2016年度は、人間の奥行き知覚特性を利用して不自然さを感じさせずに奥行きを圧縮して表示する「非線形奥行き圧縮表現技術」を開発した。本技術により、100mを超える3次元空間を1mの奥行き範囲に収まるように圧縮しても不自然さが許容されることが主観評価より示された。
 立体表示用デバイスの研究では、電子ホログラフィー用デバイスとインテグラル用光偏向デバイスの研究に取り組んでいる。電子ホログラフィーでは、スピン注入磁化反転を利用した空間光変調器(スピンSLM: Spatial Light Modulator)の研究を進めた。2016年度は、2 μm狭画素ピッチ、100×100画素のトンネル磁気抵抗光変調素子を用いたアクティブマトリクス駆動スピンSLMを試作し、2次元画像表示に成功した。光偏向デバイスの研究では、レンズアレー不要のインテグラル立体表示を目指して、電気光学ポリマーを用いた光フェーズドアレーを検討した。2016年度は、複数チャンネルからなる光フェーズドアレーを設計・試作し、1次元の偏向動作を実証した。
 実空間センシングによる多次元映像表現技術の研究では、近赤外線カメラを用いた高速被写体追跡システム、サッカー選手の顔向き推定手法、CG共演用スタジオロボットなどの「実空間センシングによる新映像表現手法」、多視点ロボットカメラ、被写体追跡技術および3次元情報解析技術を組み合わせた「スポーツシーンの4次元空間解析と映像表現手法」、時系列の映像表現技術である「2.5次元マルチモーション表現手法」、およびゴルフボール軌道をリアルタイムに生成する「自然な飛翔体強調表現手法」などの技術開発を進めている。2016年度は、各基本システムの試作およびフィールド実験により、その有効性を確認するとともに、実用化に向けた課題を抽出した。