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研究内容紹介

立体映像

概要

 将来の放送サービスを見据えて、特別なめがねを用いず、自然な立体映像を楽しむことができる空間像再生型立体テレビの実現に向け、インテグラル方式とホログラフィー方式の研究開発を行っている。撮像・表示技術、符号化技術をはじめ、システムパラメーターや表示デバイスの研究を総合的に進めた。同時に、各種スポーツ中継をはじめ魅力あるライブ型番組を実現するために、センサー情報などを活用した多次元映像表現技術の研究開発を推進した。
 インテグラル立体表示技術の研究では、複数の表示装置を用いて表示映像を高品質化する要素技術の開発に取り組んでいる。2017年度は、新規の画面合成光学系と高密度8K-OLEDディスプレー(1,000ppi以上)を用いた直視型表示装置を開発し、画素数および視域角をそれぞれ5万4千画素および約20度に性能改善した。また、8K-OLEDとレンズアレーを3式用いた光学合成システムを試作し、直視型表示装置で発生する色モアレを低減した。さらに、立体映像の光線数を自在に拡張できる表示装置として、複数台の高精細プロジェクターを高密度に配列可能な並列投射システムの開発を進めた。6台の小型高精細プロジェクターを用いた試作装置により、解像度特性の改善効果を検証した。
 立体映像の新しい符号化技術の標準化を目的としてMPEG-I Visualアドホックグループの活動に、2017年度も継続して参加した。また、インテグラル立体画像を圧縮するために、要素画像を多視点画像に変換後、既存の多視点符号化方式である3D-HEVC(High-Efficiency Video Coding)を適用した主観評価実験を行った。
 インテグラル立体撮像技術の研究では、高品質な立体映像の生成に向け、複数のカメラやレンズアレーを用いた空間情報取得技術の研究に取り組んでいる。2017年度は、154台のカメラを2次元配列したカメラアレーシステムを開発し、多視点映像からインテグラル用要素画像を生成する基本技術を構築した。本システムにより、10万画素の立体動画像表示の検証実験を実施した。さらに、多視点4Kロボットカメラで取得された映像から3次元モデルを生成し、要素画像に変換する撮像技術を構築した。本技術では、非線形奥行き圧縮表現技術を適用した新たな3次元モデル生成技術を開発した。
 2015年度より開始したインテグラル立体用システムパラメーターに関する研究では、表示パラメーターと画質(奥行き再現範囲、解像度、視域)の関係について、シミュレーターおよび主観評価により検討を進めている。2017年度は、両眼視差、運動視差、空間周波数特性を再現する二眼立体表示装置を用いて、非線形奥行き圧縮画像を表示した場合の画質を評価した。同様に、非線形奥行き圧縮技術を適用したインテグラル立体表示シミュレーターでの主観評価実験を実施した。
 表示デバイスの研究では、電子ホログラフィー用デバイスとインテグラル用光偏向デバイスの研究に取り組んでいる。電子ホログラフィーでは、スピン注入磁化反転を利用した空間光変調器(スピンSLM:Spatial Light Modulator)の研究を進めた。2017年度は、2µm狭画素ピッチ、1K×1K画素のトンネル磁気抵抗光変調素子を用いたアクティブマトリクス駆動スピンSLMを試作し、2次元画像表示に成功した。さらに、SLMの性能向上を目指して、低電流動作が可能な磁壁移動型光変調素子と電圧制御磁気異方性効果デバイスを提案・試作し、その基本動作を実証した。光偏向デバイスの研究では、レンズアレー不要のインテグラル立体表示を目指して、電気光学ポリマーを用いた光導路構造の光フェーズドアレーを検討した。2017年度は、8チャンネル、10µmピッチからなる1次元光フェーズドアレーを設計・試作し、±3.2度の光偏向動作を得た。
 多次元映像表現技術の研究では、近赤外線カメラを用いた高速被写体追跡システムであるソードトレーサー、サッカー選手の顔向き推定手法、クレーンカメラでのCG合成を可能とするスポーツバーチャル、CG共演用スタジオロボットなどの「実空間センシングによる新映像表現手法」、多視点映像とCGを融合した「Sports 4D Motion」、時系列で映像表現する「2.5次元マルチモーション表現手法」、およびゴルフボール軌道をリアルタイムに生成する「自然な飛翔体強調表現手法」の研究開発を進めている。2017年度は、各基本システムの試作、フィールド実験、および番組応用により、その有効性を検証するとともに、実用化に向けた課題を抽出した。