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研究内容紹介

8Kスーパーハイビジョン

概要

 2018年12月1日の新4K8K衛星放送の開始と、今後の8Kスーパーハイビジョン(SHV)のフルスペック化、地上放送への展開などに向け、映像、音響、伝送関連の分野において多岐にわたる研究を進めている。
 映像の方式に関しては、HDR(High Dynamic Range)番組制作に関してテスト信号の標準化および眩しさに関する検討を進めるとともに、8K 120Hz HDRライブ制作機器の開発と実証実験を行った。カメラ・記録関連では、光学サイズ1.25インチ、3,300万画素、フレーム周波数240Hz(最大480Hz)の高速度撮像にも対応した8Kイメージセンサーを開発した。また、単板カラー方式による8K 240Hz撮像装置、および240Hzで記録し60Hzで同時再生可能なスロー再生装置を試作した。さらに、圧縮記録装置の動画圧縮(ProRes)への対応、小型メモリパックの高速化、8K ProResファイルのPCでのリアルタイムプレビュー装置の開発を行った。ディスプレーの開発としては、薄板ガラスを用いた4K有機ELパネルを4枚組み合わせた8Kシート型ディスプレーを高輝度化し120Hzフレーム表示に対応させた。また、高輝度HDR対応8K液晶ディスプレーを開発し、ピーク輝度を従来の3倍以上である3,500 cd/m2 に高めた。プロジェクターは、色むら補正回路による高画質化と信号処理装置の小型化による運用性改善を進めた。映像の符号化に関しては、HEVC方式による8K 120Hzコーデックの開発を進め、試作機のリアルタイム動作を実現した。併せて、より高効率な次世代の映像符号化技術の開発を進め、一部を国際標準化会議に提案した。さらに、機械学習や超解像技術の映像符号化への応用の研究を進めた。
 音響関連では、番組音声の一体化制作を目的に、22.2ch音声信号から2ch音声信号、5.1ch音声信号を高品質に生成する、適応ダウンミックス手法の性能向上を進めた。また、次世代の地上放送での音声符号化方式検討を目的に、MPEG-H 3D Audio LCプロファイルを用いた22.2ch音響リアルタイム符号化・復号装置を開発した。再生技術では、トランスオーラル再生法のロバスト性能を高める研究を進めるとともに、圧電性の電気音響変換フィルムを用いた薄型スピーカーを開発した。
 伝送技術については、メディアトランスポート技術であるMMT(MPEG Media Transport)技術を次世代地上放送の多重伝送方式として適用するための検討や、4K・8KコンテンツのIP配信技術の実証、複数端末における同期提示技術の開発など、MMTによるIPマルチキャスト配信技術の研究を進めた。衛星によるSHV放送の本格普及に向けては、12GHz帯での伝送性能向上や受信環境整備に取り組んだ。また、さらなる大容量伝送のために21GHz帯などの次世代衛星放送の検討を行い、新たな伝送方式や12/21GHz帯偏波共用アンテナ、衛星システムなどの研究を進めた。地上波によるSHV放送の実現に向けて、次世代地上放送の暫定的な仕様の詳細設計や性能改善を進め、暫定仕様を検証する大規模実験に向け、東京および名古屋地区で親局規模の実験試験局の環境を整備した。さらに、SFN(Single Frequency Network)を構成するエリアにおいて複数の送信局から電波が到来することに起因する伝送特性の劣化を低減する目的で、時空間符号化技術を適用したSFN技術の研究を進めた。番組素材伝送技術については、SHVによる緊急報道やスポーツ中継などのライブ放送を目指し、マイクロ波帯FPU(Field Pick-Up Unit)の研究開発と標準化活動を行った。加えて、ロードレース中継などのSHV移動中継の実現に向け、1.2/2.3GHz帯FPUでは、伝送路応答の変動に応じて誤り訂正符号の符号化率を適応的に制御するレートマッチング方式の研究を進め、8K映像の移動伝送を野外実験で確認した。有線伝送技術については、IP技術を用いた番組制作・素材伝送に必要な8K IP伝送装置の開発や、異なる伝送フォーマット・制御方式のIP機器間における相互接続のための技術を検討した。また、ケーブルテレビでの4K・8K再放送方式の実用化対応とともに、将来の大容量伝送技術であるベースバンド伝送方式の開発に向けた棟内伝送方式の検討も進めた。