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研究内容紹介

8Kスーパーハイビジョン

概要

 2016年に8Kスーパーハイビジョン(SHV)による試験放送、2018年に実用放送の開始を目指し、SHVに関わる映像方式や撮像、表示、記録、符号化、音響、伝送等の各技術の研究を進めている。
 映像方式については、高ダイナミックレンジ(HDR:High Dynamic Range)の効果やディスプレー輝度に関する様々な評価実験を行い、その結果を踏まえ、従来のダイナミックレンジ (SDR :Standard Dynamic Range)との互換性が高いHybrid Log-Gamma(HLG)方式をBBCと共同で開発した。本方式を国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)に共同提案し、新勧告案が合意された。広色域表色系については、4K・8K制作におけるLED照明の演色性推奨基準の指針を得た。インターフェースについては、4K・8K信号用インターフェース(U-SDI: Ultrahigh-definition Signal/Data Interface)がITU-Rで勧告化された。
 カメラについては、1億3,300万画素の単板カラー撮像素子を用い、小型でSHVフル解像度を実現するフル解像度単板カラー撮像装置を開発した。フレーム周波数120Hzで動作するフルスペックSHVイメージセンサーについては、残像特性とストリーキング特性を改善し、HDR撮像を実現した。また、評価用素子として、画素数3,300万、フレーム周波数240Hzで動作する裏面照射型撮像素子を試作した。
 ディスプレーについては、高効率なバックライトシステムや映像に応じて領域ごとに輝度を制御する駆動技術を用いて、高コントラスト比を実現したHDR対応85インチSHV液晶ディスプレーを開発した。また、SHV番組制作における映像調整・監視用として、対角17.3インチ、対角9.6インチの小型液晶モニターを開発した。さらに、大画面シート型ディスプレーの実現に向けて、高効率と長寿命を兼ね備える有機ELデバイスや高速駆動に有効な酸化物薄膜トランジスターなどの要素技術開発を進めた。
 記録については、圧縮信号処理回路やメモリーパックの高速化などを進め、色間引きなしの4:4:4、フレーム周波数120Hzで記録可能なフルスペックSHV圧縮記録装置を開発した。
 音響については、22.2ch音響のラウドネス測定の算出に用いる係数を提案・検証し、ITU-Rの勧告改訂と(一社)電波産業会(ARIB)のラウドネス運用規定改定に寄与した。また、2chまたは5.1chの音素材をアップミックス処理して22.2chの音素材を生成するプリプロセッサーを開発した。SHV符号化・復号装置の音声部としてMPEG-4 AACを用いた22.2ch音声符号化・復号装置を開発するとともに、復号装置にはダウンミックス機能およびダイアログ制御機能を実装し、8K衛星放送実験を実施した。さらに、HDR対応85インチSHV液晶ディスプレーに装着できるバイノーラル処理内蔵型の枠型スピーカーを開発した。
 映像符号化については、MPEG-H HEVC(High Efficiency Video Coding)/H.265方式の符号化装置を利用した世界初の8K衛星伝送実験を実施するとともに、SHV国内放送規格に対応した映像復号LSIを開発した。また、HDRやフレーム周波数120Hzの映像の符号化実験を行い性能を検証した。将来の地上放送などでの応用を目指して、超解像技術を利用した次世代の映像符号化方式の開発にも着手した。
 メディアトランスポート技術については、MPEG Media Transport (MMT)対応の多重化装置等を開発し放送衛星での伝送実験を行ったほか、ネットワークで伝送したコンテンツとの同期提示や切り替え提示など放送通信連携サービスの検証を行った。また、MMTによる放送システムについて、ITU-Rの新勧告やISO/IECのMMT実装ガイドラインが発行されるなど国際標準化にも寄与した。
 コンテンツの権利保護とアクセス制御については、第2世代の新CAS(Conditional Access System)の検討を進め、ARIB標準規格への限定受信方式の追加など標準化に寄与した。また、技研公開での8K衛星放送実験にて、ARIB STD-B61準拠のMMT対応スクランブル装置を用い、MMTストリームをリアルタイムで処理できることを確認した。
 衛星伝送技術については、2016年のSHV試験放送に向けて、実際の放送衛星を使用した8K衛星放送実験を行い、SHV放送の安定伝送や伝送性能を確認した。また、12GHz帯衛星放送の右旋・左旋偏波共用受信アンテナの開発やQAM (Quadrature Amplitude Modulation)符号化変調などの研究に取り組んだ。将来の衛星放送の更なる大容量化に向けては、アレー給電鏡面修整反射鏡アンテナなど21GHz帯衛星放送システムにおける衛星搭載機器の研究を進めた。
 地上伝送技術については、次世代地上放送の伝送方式を検討するために、暫定仕様の詳細設計を進めるとともに、マルチパスの影響が大きい都市部での受信実験、熊本県人吉市に設置した実験試験局を用いた符号化SFN(Single Frequency Network)の実験、移動体向け伝送技術の検討などを進めた。
 番組素材伝送については、ミリ波帯(42GHz帯)FPU (Field Pick-up Unit)およびマイクロ波帯(6/7GHz帯)超多値OFDM-FPUの野外伝送実験を行うとともに変復調器の開発を進めた。また、移動伝送用1.2GHz/2.3GHz帯FPUについて、双方向で適応制御を行うMIMO伝送方式の研究を進めた。
 有線伝送技術については、非圧縮SHV番組素材伝送用に、ARIB標準規格STD-B58準拠の機器間光インターフェース信号を100ギガビットイーサネット信号に多重して伝送する装置を開発した。ケーブルテレビについては、SHV伝送用に開発した複数搬送波伝送方式の国内・国際標準化を達成するとともに、将来の大容量伝送実現に向けてベースバンド方式の検討を進めた。
 4K・8Kに対応した超高精細度テレビジョン衛星放送方式の国内標準化については、(一社)次世代放送推進フォーラムにおける運用規定の策定と連携して、ARIB標準規格への追加や明確化などの改定作業に寄与した。