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研究内容紹介

1.1 映像システム

ハイダイナミックレンジテレビ

 ハイダイナミックレンジテレビ(HDR-TV:High Dynamic Range Television)番組制作の運用方法の検討を番組制作技術者と連携して進めた。HLG(Hybrid Log-Gamma)方式における基準レベルとして、反射率100%の被写体や文字・図形の白をHLG信号レベル75%で表現することが適当と判断した。この基準レベルに基づき、HDR番組の中でSDR(Standard Dynamic Range)素材を扱うために、0~100%のSDR信号を0~75%のHLG信号に割り当てる方法を提案した。また、HDR-TV番組を快適に視聴できる輝度レベルを検討し、映像の平均輝度レベルがディスプレーの最大輝度の25%を超えると眩しく感じ始めることを主観評価実験結果から導いた。これらの内容を、国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)のレポートBT. 2390(1)およびBT. 2408(2)に反映させるとともに、(一社)電波産業会(ARIB)技術資料TR-B43にまとめた(3)。さらに、HDR-TV番組制作用に提案したカラーバーがITU-R勧告BT. 2110(4)およびARIB標準規格STD-B72(5)に規定された。ディスプレーの黒レベル調整用のテスト信号(PLUGE信号)について、HDR-TV用ディスプレーの調整に適した信号レベルを検討した結果がITU-R勧告BT. 814改訂版(6)に反映された。
 HDR/広色域ディスプレーの色体積(Color volume)の計算基準の検討を進めた。複雑な3次元の体積計算を色空間で行う必要はなく、従来の測色法に基づくxy色度図上での色域(面積)とディスプレーのピーク輝度の組み合わせで色体積を予測できることを示した(7)


フルスペック8K制作システム

 フルスペック8K映像制作を実現するために、フレーム周波数120Hzに対応する制作機器および制作システムの研究開発を進めている。技研公開2017で、これまでに開発したカメラ、プロダクションスイッチャ、記録装置、ディスプレー、タイムコード装置、文字スーパー装置等を接続して制作実験を実施し、フルスペック8Kによるライブ制作が可能であることを実証した(図1-1)(8)
 フルスペック8K制作機器として、新たに非圧縮映像と汎用IPデータを伝送可能な波長多重伝送装置を開発するとともに、8K 120Hz映像・音声のリアルタイム出力が可能な編集装置の開発を進めた。



図1-1 ライブ制作実験と制作システム

 

〔参考文献〕
(1) Report ITU-R BT. 2390-3, “High dynamic range television for production and international programme exchange,”(2017)
(2) Report ITU-R BT. 2408-0, “Operational practices in HDR television production”(2017)
(3) (一社)電波産業会:“高ダイナミックレンジ映像を用いた番組制作の運用ガイドライン(1.0版),” ARIB TR-B43(2018)
(4) Rec. ITU-R BT. 2110-0, “Specification of colour bar test pattern for high dynamic television system,”(2017)
(5) (一社)電波産業会:“Colour Bar Test pattern for the Hybrid Log-Gamma(HLG)High Dynamic Range Television(HDR-TV)System(1.0版),” ARIB STD-B72(2018)
(6) Rec. ITU-R BT. 814-3, “Specifications of PLUGE test signals and alignment procedures for setting of brightness and contrast of displays,”(2017)
(7) K. Masaoka:“Rec. 2020 System Colorimetry and Display Gamut Metrology,” Proc. IDW/AD’ 17(2017)
(8) 小出,米内,原,荒井,松原,中村,冨岡,林田,瀧口,島本:“フルスペック8K制作システム―ライブ制作実証実験―,” 映情学技報,Vol. 41, No. 23, BCT2017-68(2017)