No.175 2019年5月発行

ユニバーサルサービス 特集号

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巻頭言

  • 感電するユニバーサルサービス
    東京大学名誉教授,北海道大学名誉教授 伊福部 達
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解説

  • 音声でテレビを楽しむ
    今井 篤
    PDF ↓概要

    概要
    視覚に障害を持つ方にもテレビ番組を十分に楽しんでいただくために,放送局では,画面に映っている内容を言葉で説明する解説放送を実施している。しかし,その制作には多くの人手と時間を要するため,カバー率はNHK総合の平成29年度実績で,総放送時間の15%程度にとどまっている。特にスポーツ中継のような生放送番組については,アナウンサーでも付与が難しいとされており,放送事業者にとっての課題となっている。そこで当所では,リアルタイムに入手が可能な,番組に関連したデータを用いて,自動で音声による説明を付与する「新しい考え方の解説放送サービス」の研究開発を進めている。本稿では,解説放送の現状と課題について述べるとともに,NHKでの新たな取り組みについて解説する。
  • 触覚への情報提示技術~情報保障から体験の共有へ~
    近藤 悟
    PDF ↓概要

    概要
    当所では,これまでに,視覚で情報を得ることに障害を感じる人,特に盲人/盲ろう者がテレビ映像のような2次元の情報を獲得するための支援技術として,人間の触覚を利用する方法の研究を進めてきた。一方,近年では画像認識,音声合成などの技術が大幅に進歩してきたため,2次元の情報であっても機械に画像として認識させ,それを言語で表現し,合成音声で発話させることにより伝えられるようになってきた。しかし,これらの技術を使っても,認識できない情報や,言語化しにくい情報は,まだたくさん残っている。その例としては,人間が視覚的に認知できる情報だけに限らず,人や物の動きから予想される結果や,その結果が起きるタイミングなどである。当所では,ラジオ・テレビが扱う生活に必要な情報を盲人/盲ろう者に伝えることを目的に,触覚を使った情報補償技術の研究を進めてきた。また,その技術を発展させ,感覚的な「楽しさ」を触覚へ伝えることにより,家族や友人と共通の価値として話題にできるような技術の研究にも取り組んできた。本稿では,触覚を使った情報補償技術の研究と,感覚的な「楽しさ」を触覚へ伝えるための研究への取り組みについて紹介する。

報告

  • 高齢者にも聞き取りやすい音声提示技術
    ~空間的なマスキング解除を利用した音響再生方法の検討~
    小森智康  都木 徹
    PDF ↓概要

    要約
    高齢者は,聴力レベルの低下などの原因により,番組の背景音のためにナレーションやセリフなどのダイアログ(対話)が聞き取りにくくなることがある。背景音を小さくすることで,ダイアログは聞き取りやすくなるが,その場合,若年者には番組演出の効果が小さくなる。そこで,ダイアログと背景音の再生方向を変えた場合に生じる空間的なマスキング解除を用いた再生手法について,聞き取りの正答率を調査した。その結果,背景音がある場合に,その再生レベルを維持したままで,高齢者にも聞き取りやすい音響提示ができるという知見を得たので報告する。
  • 空間に仮想物体の3次元形状と硬さの情報を提示する触覚デバイスの開発
    半田拓也
    PDF ↓概要

    要約
    本研究は,物体の硬さや手触りなどの,映像と音声だけでは伝わりにくい情報を伝えるサービスの実現を目指している。その一環として,仮想物体の3次元形状と硬さの情報を提示する触覚デバイスを開発した。このデバイスを用いて,円柱,六角柱,四角柱の各形状の仮想物体を提示したところ,被験者は各形状の側面の違いを識別できることが確認できた。また,ある範囲内のバネ定数を持つ実物のバネを標準刺激とし,本デバイスを用いて硬さを提示したところ,被験者は硬さの相対的な違いを識別できることが分かった。この実験結果から,硬さを提示するデバイスの設計指針として,仮想物体の部分ごとの相対的な硬さの違いを表現する方式が有効である可能性が示された。本稿では,開発したデバイスの詳細と評価実験の結果について報告する。また,評価実験の結果を踏まえて,デバイスの設計指針について考察する。
  • 気象情報の手話CGシステムの開発と評価
    加藤直人  宮﨑太郎  井上誠喜  金子浩之  比留間伸行
    PDF ↓概要

    要約
    手話サービスの拡充を目指し,日本語テキストを手話CG(Computer Graphics)アニメーションに機械翻訳(手話CG翻訳)する技術の研究を進めている。その第一歩として,気象情報を対象にした手話CG翻訳システムを開発した。このシステムは,言語翻訳とCG生成から構成されている。言語翻訳では,当所で構築している大規模手話コーパスを用いて機械学習した翻訳モデルに基づいて,日本語から手話のテキストに翻訳している。また,CG生成では,当所で開発した大語彙の手話CG辞書により,手話のテキストを手話のCG動作データに変換している。本稿では,開発した手話CG翻訳システムの概要を説明するとともに,評価実験の結果について報告する。

研究所の動き

  • カメラアレーで高解像度化を実現 3次元撮像技術 PDF

  • ダイナミックレンジの異なる番組を同時に制作 HDR/SDR変換技術 PDF

論文紹介

  • 論文紹介 PDF

発明と考案

  • 2019年1月〜2019年2月 PDF

研究会・年次大会等発表一覧

  • 2018年12月~ 2019年2月 PDF