No.158 2016年8月発行

技研公開2016 講演・研究発表 特集号

※PDFで公開しています。

はじめに

  • NHK放送技術研究所長 黒田 徹 PDF

  • 技研公開2016より PDF

講演

  • 映像×メディア×技術の進展による放送への期待
    東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授 相澤 清晴
    PDF ↓概要

    概要
    放送の最大の使命は,社会にとって重要なコンテンツを制作し,視聴者に届けることであると思う。動画コンテンツを広く視聴者に届ける放送の機能は,メディア技術とメディア環境の展開から見て,分岐点にあるように感じられる。放送技術は,これまで,高精細で臨場感の高い映像を実現する方向に進展してきた。約34万画素の標準的な画像から,約200万画素のハイビジョンへ進化し,さらには約3,300万画素のスーパーハイビジョンまで実用化を迎えつつある。放送システムは,一旦出来上がると,放送局から視聴者まで安定して映像を届けることができる。その一方で,メディア技術とメディア環境は変化が激しい。現在の状況を見ると,モバイル端末(スマートフォン)の普及は,情報の出入り口として最も大きなインパクトがあった。一般ユーザーにとって,スマートフォンは,テレビやパソコンよりも身近な情報ツールとなり,画像や動画を撮影するととともに,ネット上の動画コンテンツを視聴するディスプレーともなっている。Facebook,Twitter,Instagram等のソーシャルメディアでは,1~2年前から動画も扱うようになった。Facebookでは,1日当たりのビデオの再生回数が80億回以上(2015年11月時点)とも言われる。共感されシェアされることの伝搬効果の大きさが明白である。さらには,これらのソーシャルメディアをコンテンツプラットフォームとするような分散型メディアまで誕生している。メディア技術が大きく変化する中で,放送はどのように進化していくのだろう。撮像・伝送・ディスプレーといった放送の基幹分野において,元来放送とは無縁に成長してきたものが存在感を増している。例えば,少し先のことで言えば,広く普及する可能性のあるVR(Virtual Reality)は新しいディスプレーになりうるかもしれない。本講演では,放送が最も重視すべきものは何か,激変する環境の中で,放送はどのように展開していくのがよいかについて考えてみたい。

特別発表

  • テレビとネット動画,人々はどう使い分けているか ~動画利用の実態と今後~
    NHK放送文化研究所 世論調査部 部長(現 岐阜放送局長) 重森 万紀
    PDF ↓概要

    概要
    「動画コンテンツ」-いまや,若年層にとって,それが放送経由なのかインターネット経由で提供されるのかは関係ない。気分に合った動画を,自由にそして上手に探して楽しむ。こうした行動が生まれた背景には,インターネットの伝送容量や番組録画ハードディスクドライブ容量の増加といった「動画コンテンツ視聴環境の進化」と,「動画配信市場の拡大」がある。特にインターネットの世界では,映画やテレビ番組などプロが制作したものからUGC(User Generated Content)と言われる一般人が制作したものまで,あらゆるジャンルや長さの動画コンテンツがあふれている。有料配信の分野においては,NetflixやAmazonなど海外のOTT(Over The Top)事業者が続々と日本市場に参入し,オリジナルコンテンツの本数も増えてきている。また,国内でも放送事業者を含め,多種の事業者が新規配信事業に取り組み始め,リアルタイム配信とVOD(Video On Demand)の両方の環境を整えようとしている。このような状況のなかで,NHK放送文化研究所(文研)が行った「日本人とテレビ・2015」調査からは,視聴時間のみならず人々の意識の中でも「テレビ離れ」が進行していることが明らかになった。では,日本の人々は,どのように「動画コンテンツ」を享受しているのか。文研では,テレビや視聴者に関する世論調査を定期的に実施している。本発表では,これらの調査から,人々がふだん,テレビとインターネット動画をどの程度視聴しているのか,テレビやテレビ番組に対する意識がどう変わってきたのかなど,実態や意識の変化を時系列で捉える。また,動画の利用については,ウェブ調査の結果から,どのような場面で動画を視聴するのか,などの詳細な内容も紹介する。このほか,質的調査から,テレビとインターネットをどのように使い分けているのかなど,若年層がどのようにインターネット動画と接しているのかを紹介し,今後の動画視聴動向を探る手がかりを提示する。

研究発表

  • 次世代地上放送の実現に向けた研究開発
    中村 円香
    PDF ↓概要

    概要
    「衛星放送によるスーパーハイビジョンの試験放送・本放送がスケジュール化され,具体的な準備が進められている中,新たな地上放送への取り組みが注目されている。当所では,地上波でもスーパーハイビジョン放送を実現するために,大容量伝送技術の研究開発を進め,これまでに多値変調技術や偏波MIMO技術によるスーパーハイビジョン映像伝送実験を成功させてきた。本研究発表では,現行の地上放送方式であるISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting - Terrestrial)を基本に,新たな技術を取り入れた次世代地上放送の検討状況を紹介する。開発中の技術として,周波数利用効率を高め,ニーズに合わせて伝送容量を選択できるよう高度化した信号構造や,復調特性の優れた誤り訂正技術,超多値変調でも安定した単一周波数ネットワークを実現できる技術を説明する。また,次世代地上放送の実現に向けた今後の予定を紹介する。
  • インターネットを活用した新しいテレビ体験の実現を目指して
    山村 千草
    PDF ↓概要

    概要
    インターネットの発展やスマートフォンの急速な普及に伴い,人々を取り巻くメディア環境や生活スタイルは大きく変化している。情報メディアが多様化する中,今後もテレビが身近で信頼されるメディアとして期待に応えていくには,ネット・モバイル時代におけるテレビの在り方を改めてデザインしていく必要があると考える。当所では,これまで研究開発に取り組んできた放送通信連携システム“ハイブリッドキャスト”をベースにしながら,モバイル端末を活用し,テレビ受信機の前だけでなく,屋外も含めたさまざまな生活シーンの中でテレビ視聴とつながった体験を広げていくことを目指している。本研究発表では,番組で提供された話題や情報が,日常の行動と連動して生活の中に新たな気付きや価値をもたらす“新しいテレビ体験”のコンセプトについて,これまでに検討したサービス例を交えながら説明する。また,それを支える技術として,伝送路や視聴環境を意識せずに最適な動画視聴を自動的に選択する「メディア統合技術」と,番組で提供された話題や情報を日常の行動と連動させて提供する「行動連携技術」を紹介する。
  • インテグラル立体テレビの研究開発
    三浦 雅人
    PDF ↓概要

    概要
    当所では,スーパーハイビジョンの次の放送メディアを目指し,インテグラル立体テレビの研究開発を進めている。インテグラル立体テレビは,多数の微小レンズが配置されたレンズアレーを撮像と表示の双方に用いることで,被写体(3次元物体)からの光線群を取得し,光学像として再現する。再現された光学像は水平・垂直視差を有するため,特殊なメガネを必要とせず,一定の範囲内において,視点位置に応じた立体像を自由な姿勢で見ることができる。インテグラル立体テレビでは,上下左右すべての方向からの被写体の見え方を再現するため,必要となる情報量は2次元映像よりも格段に多くなる。この膨大な情報を扱うために,多画素のカメラとディスプレーや,複数のカメラとディスプレーを用いた立体映像システムの研究開発に取り組んできた。本研究発表では,これまでに開発した立体映像システムの試作機について説明する。また,多様な立体映像コンテンツの制作に向けて,多視点映像から3次元モデルを生成する技術や,3次元モデルからインテグラル立体映像に変換する技術の研究開発にも取り組んできたので紹介する。

研究所の動き

  • 物体の形や大きさを手に伝える触覚提示技術 PDF

発明と考案

  • 2016年3月~2016年4月 PDF

論文紹介

  • 論文紹介 PDF

  • 研究会・年次大会等発表一覧 PDF