No.152 2015年8月発行

技研公開2015 講演・研究発表 特集号

※PDFで公開しています。

はじめに

  • はじめにNHK放送技術研究 所長 黒田 徹 PDF

  • 技研公開2015より PDF ↓概要

    概要
    ~究極のテレビへ,カウントダウン!~
    NHK放送技術研究所(技研)は,5月28日(木)から31日(日)の4日間,最新の研究成果を展示する「技研公開2015」を開催しました。「究極のテレビへ,カウントダウン!」をテーマに,2016年の試験放送開始を目指す8Kスーパーハイビジョンの衛星放送実験を,世界で初めて公開するとともに,インターネットを活用した新たな放送技術,さらにその先の立体テレビを実現する技術など,26項目を展示しました。

基調講演

  • 「NHK技研3か年計画2015-2017年度」および8K衛星放送実験
    日本放送協会 技術研究所 所長 黒田 徹
    PDF ↓概要

    概要
    メディア環境や国際環境などの変化に対応し,2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ向けた取り組みを着実に進めていくために,NHK は2015年度から2017年度までの新たな経営計画を公表した。この経営計画では,最新技術を生かして,2020年に向けて世界最高水準の放送・サービスの実現を目標にし,そのための挑戦と改革を進める3か年の重点方針5つを明記している。その1つが新たな可能性を開く放送・サービスの創造である。当所では,この経営計画を着実に実現するために,2020年はもとより,今から20年後を想定し,「NHK技研3か年計画2015 -2017年度」を取りまとめた。この3か年計画では,「8Kスーパーハイビジョン(8K)」の着実な実用化と高度化のための研究開発,自然な立体映像を実現するための「立体テレビ」,ハイブリッドキャストをはじめとする「インターネット活用技術」の3つを重点項目とし,「高度番組制作技術」と「人にやさしい放送」の2つの研究項目で全体を支えながら,この3か年を,その次の放送サービスにつながる研究を加速するフェーズと位置づけている。一方,4K・8K の取り組みもオールジャパンの体制で加速している。総務省が昨年公表した8K放送の「ロードマップ」では,放送衛星による試験放送を2016年に開始し,2018年までに本放送を開始することが示された。NHKもこのロードマップに従って準備を進めており,その一端として,今年の技研公開では,実際の放送衛星を経由した8K衛星放送実験を実施する。この実験では,カメラ,記録装置などの番組制作装置から,HEVC(High Efficiency Video Coding)やMMT(MPEG Media Transport)などの符号化・多重化,高度広帯域衛星を用いた伝送装置,さらにはディスプレー,音響まで,8K放送を放送局からご家庭までお届けするための技術を,一貫したシステムとして展示する。本講演では,3か年計画に基づく今後の技研の研究方針,および8K への取り組みと今後の課題について紹介する。
  • 次世代放送と社会イノベーション
    東京大学大学院情報学環 教授 一般社団法人 次世代放送推進フォーラム 理事長 須藤 修
    PDF ↓概要

    概要
    いま日本は急速に少子高齢化社会への道を進んでいる。人口減少や都市と地域の格差といった課題にどのように向き合いながら,活力ある,より豊かで文化的な暮らしや地域社会を実現していくか。そして,多様化と分断化が進む国際社会の中で,地球環境や多元的な社会の融和,食糧,エネルギーなどのグローバルな課題にどのような解決策を見いだしていくか。このような時代的課題群に向かい合うためにも,マスメディアとしての「放送」が最先端の技術を活用して高度化し,ジャーナリズムや文化の創造という機能がさらに深化していく意義はより大きくなっている。そして,ほぼすべての家庭にあり,簡単に操作できる情報端末としての「テレビ」の機能がさらに進化して,より便利になっていくことは,誰もが安心して高度な情報を享受するユニバーサル・サービスを実現していくという観点からも,とても重要なことである。日本では,2014年に世界に先駆けて4Kの試験放送が始まり,来年2016年には8Kの試験放送,そして2018年までにはその本放送が行われようとしている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの際には,4Kや8Kの臨場感あふれる映像で,さまざまな競技の模様を家庭やパブリックビューイングで楽しめるようになるだろう。このような計画が,国の提起した「ロードマップ」で示されている。しかし,2020年は通過点にすぎない。また4Kや8Kの放送を実現すること自体が目的ではない。8Kという日本が誇る世界最先端の技術やサービスを,映像文化の中核を担ってきた放送事業者を中心に,エレクトロニクスメーカーや最先端のネットサービス事業者,技術ベンダーなどが,ジャーナリズムやエンターテインメントの高度化はもちろんだが,福祉・医療,教育,行政サービスの発展,芸術文化の発展,高品質な製品の製造や安心安全なサービスの実現など,あらゆる分野に生かしていくことが求められている。日本が世界の映像文化・映像関連産業をリードし,より豊かな社会の実現や諸課題の解決に重要な役割を果たしていくために英知を結集していくことの大切さを,皆さんとともに考えたいと思う。

講演

  • 2016年試験放送に向けた8Kスーパーハイビジョン設備整備
    NHK技術局スーパーハイビジョン開発部 部長 三谷 公二
    PDF ↓概要

    概要
    NHKでは,スーパーハイビジョン(4K・8K)放送の早期普及に向けて策定された「ロードマップ」を踏まえ,2016年の試験放送開始を目指し,コンテンツ制作から送出・送信装置,受信装置に至る8K スーパーハイビジョン(8K)設備の開発・整備を進めている。4K・8K 放送を実現する高度BS(Broadcasting Satellite)デジタル放送方式では,大容量映像を効率よく伝送する新しい映像圧縮符号化方式HEVC(High EfficiencyVideo Coding)や,放送と通信が連携した多彩なサービスを可能とする多重化方式MMT(MPEG Media Transport)などの最新技術が採用されている。現在,これらの新しい技術を用いた8K送信・送出装置,および受信装置の開発を進めている。また,制作設備の整備に関しては,8Kの特徴を生かした魅力的なコンテンツを制作できるように,機動性の向上や効率的な制作環境の構築に重点を置いている。具体的には,3,300万画素単板式小型8Kカメラや,高速・大容量メモリーを採用した小型圧縮録再機を新規に開発した。また,現在,8K編集室や音声編集室などの局内設備に加え,最大10 台のカメラを搭載できる8K中継車や,22.2ch音響だけでなく,ステレオや5.1ch音響の制作にも対応した音声中継車の整備も進めている。本講演では, 2016年の試験放送に向けたこれらの取り組みを中心に,現在の8K設備の開発・整備状況を紹介する。
  • 8Kスーパーハイビジョンの番組制作 ~8K制作の現場から~
    NHK放送技術局SHV技術推進 専任局長 中江 公平
    PDF ↓概要

    概要
    NHK本部の技術部門は大きく3つに分かれている。“研究部門”の「放送技術研究所」,“計画/開発部門”の「技術局」,そして番組制作や送出を担う“現場部門”の「放送技術局」である。8Kスーパーハイビジョン(8K)は,この3つの部門が有機的に連携して推進してきた。研究し,開発し,現場でテストする中で,常にフィードバックが行われ,開発と改善が繰り返し進められている。研究から実用までのループを円滑に回すことで初めて8Kが大きく進歩する。放送技術研究所は,このループで放送現場と密接につながることにより,基礎研究を一気に応用まで展開することができ,放送技術の発展に大きく貢献してきた。「2次元映像として究極のシステム」の研究を放送技術研究所で開始したのは,今から20年前の1995年である。その7年後に8Kカメラのプロトタイプ1号機が開発されて,技研と現場の本格的なコラボレーションが始まった。第2世代カメラを経て,実用的な第3世代カメラが完成したのが2010年であり,そこから「研究・開発・現場」のループは勢いを付けて回り始めている。2012年のロンドンオリンピックは8K初の大規模国際オペレーションとなり,その後も2014年のソチ冬季オリンピックや2014 FIFA ワールドカップ ブラジル,国内ではゴルフ中継や大相撲中継,テニス中継,野球中継などで8K制作とパブリックビューイングを行ってきた。各種のスポーツ中継では,複雑なマルチカメラ・オペレーションとライブ伝送を実現し,ドラマ制作やドキュメンタリー制作では撮影,収録,編集,CG(Computer Graphics)/ VFX(Visual Effects),MA(Multi Audio)の一貫したシステムを構築して8K制作を進めている。本講演では,研究・開発・現場が一体となって8Kの実用化に向けて進めてきた挑戦的な取り組みについて紹介する。

研究発表

  • フルスペック8Kスーパーハイビジョン制作に向けた研究開発
    池田 哲臣
    PDF ↓概要

    概要
    2018年までの8Kスーパーハイビジョン(以下,8K)の本放送開始に向けてオールジャパンでの取り組みが進む中で,当所では,その先を見据えた「フルスペック8K」を実現するための研究開発を進めている。フルスペック8Kの映像信号のデータレートは144Gbpsに及び,さらに,被写体の高輝度部をより忠実に再現するために,ダイナミックレンジを拡大することも視野に入れている。本研究発表では,フルスペック8Kの内容を説明し,高データレートへの対応や,ダイナミックレンジの拡大と広色域化のための課題,さらに実用性を向上させるための課題などに触れた後,これらの課題の克服に向けた各要素技術の研究開発状況について述べる。
  • 8Kスーパーハイビジョンの伝送技術
    斉藤 知弘
    PDF ↓概要

    概要
    8Kスーパーハイビジョン(以下,8K)放送を実現するためには,番組を放送局(送信所)からご家庭にお届けする「放送」と,映像・音声素材を局外の番組制作現場から放送局に送る「素材伝送」のシステムが不可欠である。本研究発表では,この「放送」と「素材伝送」の無線・有線の伝送システムについて,当所が研究開発を進めてきた技術を紹介する。
  • 8Kスーパーハイビジョン家庭再生機器の研究開発状況
    林 直人
    PDF ↓概要

    概要
    8Kスーパーハイビジョン(以下,8K)は,高い臨場感と実物感が得られるように,視聴覚などの人間科学的な研究に基づいて設計された映像音響システムである。8Kの理想的な視聴環境は,大画面の超高精細映像用ディスプレーと,空間的に配置された24個のスピーカーから成る22.2マルチチャンネル音響(以下,22.2ch音響)システムで構成される1)。8Kの特長は大画面の映像用ディスプレーで一番発揮されるが,例えば100型以上の平面状のディスプレーを家庭に導入するのは容易ではない。このサイズになると,かなり重くなることに加えて,通路や玄関の寸法の制限から,家庭への搬入が困難である。一方,従来の薄型平面ディスプレーのようにガラスを用いたディスプレーではなく,フィルム状のプラスチックを用いたフレキシブル有機EL(Electroluminescence:電界発光)ディスプレーが世界中で研究開発されている2)。このディスプレーであれば,薄くて軽く,また丸めることもできるので,家庭に導入しやすい大画面ディスプレーの実現も可能である。また,8Kのもう1つの特長である22.2ch音響については,一般家庭で24個のスピーカーを設置することは困難であり,いかに少ないスピーカー数で22.2ch音響を再生可能とするかが鍵となる。当所では,8Kにふさわしい家庭用の映像音響システムとして,大画面シート型ディスプレーと,少ないスピーカー数で音場を再現できるトランスオーラル再生技術を用いた3次元音響システムの実現を目指して研究開発を進めている。本研究発表では,これまでに開発した8Kディスプレーと,ディスプレー一体型枠型スピーカーの技術概要について述べた後,大画面シート型ディスプレーの実現に向けた当所のアプローチについて紹介する。

研究所の動き

  • 番組興味内容推定のための顔表情認識技術 PDF

発明と考案

  • 2015年3月~2015年4月 PDF

論文紹介

  • 論文紹介 PDF

  • 研究会・年次大会等発表一覧 PDF