No.145 2014年5月発行

シート型ディスプレー 特集号

※PDFで公開しています。

巻頭言

  • シート型有機ELディスプレーで世界をリードするために
    安達千波矢
    九州大学大学院工学研究院主幹教授
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    概要
    日本のエレクトロニクス産業においてLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレー)を中心としたフラットパネルディスプレーは,次世代産業の中心として最先端の研究開発が進められ,最高性能の品質を武器に世界展開が図られた。しかし,近年,ディスプレー製造から販売まで,日本の世界シェアは低下してしまっている。そして,それに伴う日本経済・雇用への影響は大きく,ビジネスでの利益の喪失とともに研究開発力を低下させてしまった。一方で,一部の企業による独自のアプリケーションプラットフォームの流入に伴い,情報家電製品の上流からの制御が急速に普及し,あらゆる情報ビジネスの世界の二分化が急速に進んでいる。現在,情報ビジネスのイノベーションはシリコンバレーに集約が進んでいるが,一方,日本の先端材料・デバイス技術はアプリケーションに利用されるサプライヤー側に回ってしまい,ハードの開発に強みを有する日本企業がビジネスで先導を取ることができない状態となっている。このような状況を打破していくポイントは二点に集約できる。第一点目はこれまで世界をリードしてきた日本の素材産業において,簡単には追いつけない新材料のプラットフォーム化を進めることである。第二点目はハードとソフトの開発を一体化して新しいアプリケーションプラットフォームを創出することである。

解説

  • フレキシブルディスプレーの研究・開発動向
    栗田泰市郎
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    概要
    次世代のディスプレーとして,薄くて軽く,柔軟で丸めることもできるフレキシブル有機EL(Electroluminescence:電界発光)ディスプレーが注目されている。当所では,スーパーハイビジョン(Super Hi-Vision:SHV)にふさわしいディスプレーとして,丸めて家庭に搬入可能な,フレキシブルで大画面のシート型有機ELディスプレーの実現を目指して研究開発を進めている。本稿では,その技術概要と研究開発動向について紹介する。
  • 有機ELの研究動向
    清水貴央
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    概要
    有機EL(Electroluminescence:電界発光)は,高画質を得ることができる表示技術であり,次世代のディスプレー技術として期待されている。この分野では,これまでに,日本国内で世界を牽引する技術が多く生み出され,1997年に世界で初めてパッシブ型有機ELディスプレーが日本企業から販売された。以降,多くの企業が参入と撤退を繰り返し,ようやく現在は,多くの大型有機ELディスプレーが展示会に出展されるようになってきた。また,50型以上の有機ELディスプレーも販売されるに至ったが,本格的普及のためには,まだ多くの課題を抱えている。本稿では,普及に向けた有機ELの課題とそれらを解決するための新技術について解説する。
  • フレキシブルディスプレー用薄膜トランジスターの研究動向
    山本敏裕
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    概要
    フレキシブルディスプレーは薄く軽いといった特徴があり,スマートフォン等の携帯端末や大画面のシート型ディスプレーへの応用を目指して,研究開発が盛んに進められている。フレキシブルディスプレーは柔軟な基板を用いた薄型ディスプレーであり,発光素子として液晶や有機EL(Electroluminescence:電界発光)を用いるアクティブマトリクス(AM:Active-Matrix)型のディスプレーである。画素内には薄膜トランジスター(TFT:Thin Film Transistor)が設けられており,TFTの特性がディスプレーの表示特性に大きな影響を与える。フレキシブルディスプレー用のTFTに用いられている半導体にはいくつかの種類があり,それぞれの半導体について,特性向上を目指して研究開発が進められている。本稿では,TFTの概要,TFTを用いたフレキシブルディスプレーの動向,TFTの画素のばらつきに起因する有機ELディスプレーの画質劣化を補償する駆動方法の動向について概説する。

報告

  • 酸化物TFT駆動8インチフレキシブル有機ELディスプレーの試作
    本村玄一/中嶋宜樹/武井達也/藤崎好英/深川弘彦/辻博史/中田充/清水貴央/山本敏裕
    PDF ↓概要

    概要
    酸化物TFT駆動8インチフレキシブル有機ELディスプレーを,プラスチックフィルム上に200°C以下の低温プロセスで試作した。赤色発光層のゲスト材料として白金錯体,ホスト材料としてベリリウム錯体を用いた有機ELは,低消費電力で長寿命な特性を示した。酸化物TFTアレーの性能や面内均一性を向上させた結果,TFT特性を反映した面内均一性の高い明瞭な動画表示を確認することができた。
  • 大気安定な逆構造有機ELデバイスの開発
    深川弘彦/清水貴央
    PDF ↓概要

    概要
    フレキシブルディスプレーを実現するためには,フレキシブルなプラスチック等の基板上で安定に発光する有機ELデバイスが必要である。自発光型のデバイスでありフレキシブルディスプレーに適しているとされる有機ELデバイスでは,電子を注入する陰極部に用いる材料が酸素や水分に弱く,フレキシブル基板上ではデバイスが劣化してしまう。そこで,酸素や水分に強い有機ELデバイスの開発を行った。通常の有機ELデバイスとは電極構造を逆にした逆構造有機ELデバイスに適した大気安定な電子注入材料を開発した。開発した電子注入材料の優れた電子注入性により,逆構造有機ELデバイスは通常構造の有機ELデバイスと同等の高い発光効率が得られた。また,プラスチックを用いて大気安定性の評価を行った結果,開発した逆構造有機ELデバイスは高い大気安定性を示した。
  • セルフアライメント作製技術を用いた酸化物TFTの高性能化
    中田充/辻博史/藤崎好英/佐藤弘人/中嶋宜樹/武井達哉/山本敏裕/栗田泰市郎
    PDF ↓概要

    概要
    エキシマレーザーを用いて,寄生容量が小さいセルフアラインInGaZnO(IGZO)薄膜トランジスター(TFT:Thin Film Transistor)の作製方法を開発した。基板の裏面からエキシマレーザーを照射することによって,ゲート電極をマスクにしてIGZOを選択的に低抵抗化し,その低抵抗化した領域をボトムゲート型IGZO-TFTのソースおよびドレインとした。本方法は照射強度に対して広いプロセスマージンを有しており,大面積プロセスへの応用が可能である。
  • 塗布型有機半導体を用いた高移動度有機TFTアレーの作製
    藤崎好英/中嶋宜樹/辻博史/中田充/山本敏裕
    PDF ↓概要

    概要
    柔軟な構造を有し低温プロセスで作製可能な有機薄膜トランジスター(TFT:Thin FilmTransistor)は,将来の超柔軟なフレキシブルディスプレーの駆動素子として有望である。今回,塗布型半導体を用いた高移動度のTFTアレーの作製・評価を行った。ポリマーゲート絶縁膜の表面塗れ性を局所的に制御することで,半導体溶液の自己組織的なパターニング形成を行った。更に,少量の液滴から結晶性の高い有機半導体膜を形成する塗布プロセスを組み合わせることで,チャネル長5μmの微細なTFTアレーにおいて移動度1.3cm2/Vsを得た。

研究所の動き

  • 安全・安心を提供する放送局取材IPネットワーク PDF ↓概要

    概要
    全国各地で取材した映像を集め,ニュースとして放送するために,各放送局は専用の映像伝送回線で結ばれている。この伝送回線をIP(Internet Protocol)ネットワークで構成することにより,専用回線や公衆回線の区別なく複数の回線を相互に接続し,これまで手動で行ってきた回線間の接続を自動的に行うことができる。IPネットワーク化により,回線運用の統合的な管理が可能となり,災害などの緊急時にも迅速かつ確実に情報を伝える強固な取材網を構成できると考えられる。
  • ローカル番組への字幕付与技術 PDF ↓概要

    概要
    より多くの番組に効率良く字幕を付与するために,音声認識技術の研究開発を進めている。現在,地域の拠点となる放送局の一部において,この技術を応用して番組音声を自動的に文字に変換し,音声認識の誤りを人手で修正して,番組に字幕を付与している。一方,地域の放送局においては,認識誤りを人手で修正する作業を軽減することのできる字幕付与技術が必要とされている。

発明と考案

  • 2014年1月~2014年2月 PDF

論文紹介

  • 論文紹介 PDF

  • 研究会・年次大会等発表一覧 PDF

  • 学会発表論文一覧 PDF