No.144 2014年3月発行

3次元映像技術 特集号

※PDFで公開しています。

巻頭言

  • 究極の3次元映像ディスプレーを目指して
    山口雅浩
    東京工業大学学術国際情報センター教授
    PDF ↓概要

    概要
    「ホログラフィーの定義には2種類ある。第1の定義はリースとウパトニークスそしてガボールの定義,すなわち干渉と回折による波面再生である。2つ目の定義は,将来の究極の3次元映像メディア,といったようなものである。我々は柔軟な考えを持つ必要があり,それが本当のホログラフィーでないからといってその可能性を排除するべきではない。」1992年6月29日,葉山マリーナにて開催されたイベント“Electro-holography in Japan”(主催:電子情報通信学会動画ホログラフィ時限研究専門委員会)のパネルディスカッションでのS. A. Benton氏(故人,当時マサチューセッツ工科大学メディアラボ教授)の言葉である。1990年に同氏のグループよりAOM(Acoustic Optical Modulator:音響光学変調素子)*1を用いたホログラフィックビデオの発表があってから2年後のことである。

解説

  • 3次元映像技術の概要
    岩舘祐一
    PDF ↓概要

    概要
    デジタル放送受信機の多くの機種に3D(Three Dimensions)の機能が実装され,家庭でも立体映像を気軽に楽しめる環境が整った。映画をはじめ多くの3Dコンテンツも供給され,大きなブームとなった。ここで言う3Dはメガネ式の2眼立体方式である。将来は,特殊なメガネが不要で,疲労が少なく,見る位置に応じた立体像を見ることができる立体テレビの実現が期待される。当所では,このような立体テレビの実現に向けて,インテグラル方式やホログラフィー方式,あるいは多視点映像など3次元映像に関わる研究を進めている。本稿では,3次元映像技術を概観し,研究の現状と今後の研究課題について述べる。
  • インテグラル方式の概要
    三科智之
    PDF ↓概要

    概要
    当所では,インテグラル方式を将来の立体テレビへ適用する可能性について検討している。インテグラル方式は,インテグラルフォトグラフィーという立体写真技術を基本としている。本稿では,インテグラルフォトグラフィーの原理,およびこの立体写真技術をテレビに応用するための技術などを説明するとともに,これまで当所で試作してきたインテグラル立体テレビについて紹介する。
  • 多視点映像技術の概要
    久富健介
    PDF ↓概要

    概要
    複数のカメラで撮影した多視点映像から,実空間の3次元モデルを生成することができる。このような3次元モデルは,仮想空間内で高い自由度で扱うことができることから,立体像制作への応用が期待されている。本稿では,多視点映像から3次元モデルを生成する手法を,多眼視とステレオ視に分類して紹介する。また,生成した3次元モデルから,光線追跡法に基づいて,インテグラル方式の立体像を生成する技術について解説する。

報告

  • 走査線8,000本級映像システムを用いたインテグラル立体テレビ
    洗井淳 / 河北真宏 / 山下誉行 / 三浦雅人 / 日浦人誌
    PDF ↓概要

    概要
    インテグラル立体テレビでは,2次元映像のテレビと異なり,観視位置に対応した立体像が表示される。解像度の高い立体像を表示するには,非常に高精細な映像システムを用いる必要がある。走査線4,000本級のフル解像度スーパーハイビジョンはテレビジョンシステムとして現時点で最も高い解像度を有するが,これに画素ずらしを適用した走査線8,000本級映像システムによるインテグラル立体テレビを試作した。解像度特性を測定した結果,画素ずらしを適用することが,立体像の画質向上に有効であることを確認した。
  • 水平視域角を拡大したインテグラル立体像
    三浦雅人 / 洗井淳 / 三科智之 / 岩舘祐一
    PDF ↓概要

    概要
    インテグラル方式において,水平方向と垂直方向の視域角の比率を制御することができれば,より柔軟な立体テレビの設計が可能となる。本稿で提案する手法においては,視域角を広げる方向に要素レンズのピッチよりも大きい要素画像を配置する。このとき,要素画像同士が重なり合わないようにするために,レンズアレーを傾けて配置する。本手法を適用して水平視域
  • 多視点映像からのインテグラル立体像の生成
    池谷健佑 / 久富健介 / 片山美和 / 岩舘祐一
    PDF ↓概要

    概要
    本稿で報告する技術は,メガネなし立体映像技術の1つであるインテグラル方式の立体テレビの実現を目指し,日常のテレビ番組で目にするスポーツシーンを,番組の制作現場で適用可能な撮影手法で撮影し,インテグラル立体コンテンツを制作することを目的とする。そのために,被写体をさまざまな視点から撮影した映像である多視点映像を撮影し,各視点の映像においてカメラからの奥行き距離を推定することで3次元モデルを生成し,それらを統合してインテグラル立体像へ変換する手法を提案する。提案手法では,インテグラル立体像における距離推定エラーの影響を抑制するために,距離推定結果の信頼度を評価し,各視点の3次元モデルのうち信頼度が高く,エラーが生じていない可能性が高い領域のみを抽出し,統合することでインテグラル立体像を生成する。実験では,実際に放送した相撲番組の取組を被写体としたスポーツシーンのインテグラル立体コンテンツを制作し,提案手法の有効性を確認した。

研究所の動き

  • タイムザッピングサービスに向けた研究 PDF ↓概要

    概要
    放送番組を視聴するスタイルが多様化し,ハードディスクレコーダーやVOD(ビデオオンデマンド)サービスを利用して,視聴者が好きな時間に番組を視聴するタイムシフト視聴が浸透している。当所では,放送によるリアルタイム視聴と通信による過去の番組のタイムシフト視聴をつなぐ新しい放送サービスとして,時間方向にザッピングしながら番組を視聴する「タイムザッピングサービス」の研究を進めている。このサービスでは,リモコン操作に応じて,現在視聴しているチャンネルの「10分前」,「1時間前」など指定した時間だけシフトした番組シーンを提供し,視聴者は過去のさまざまな番組のそれぞれの番組シーンをザッピングしながら視聴することができる。
  • カメラの高感度化に向けた低電圧増倍膜の研究開発 PDF ↓概要

    概要
    近年,カメラの多画素化,高フレームレート化が進んだ結果,より鮮明で動きの滑らかな映像が撮影できるようになった。しかし一方で,多画素化のために画素の大きさが小さくなり,高フレームレート化に伴ってセンサーの各画素に光が入射する時間が短くなるために,光から生成される電荷(電気信号)の量が減少し,撮像デバイスの感度が低下してしまうという問題が生じている。当所では,この問題を抜本的に解決するために,光から生成された電荷を,低い電圧を与えるだけで何倍にも増倍できる光電変換膜(低電圧増倍膜)を用いた高感度撮像デバイスの研究を進めている。

発明と考案

  • 2013年11月~12月 PDF

論文紹介

  • 論文紹介 PDF

  • 究会・年次大会等発表一覧 PDF