No.143 2014年1月発行

番組素材伝送技術 特集号

※PDFで公開しています。

巻頭言

  • FPUと周波数資源
    高田潤一
    東京工業大学大学院理工学研究科国際開発工学専攻教授
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    概要
    本号で特集する700MHz帯(770-806MHz)FPU(Field Pickup Unit)の周波数移行に係る技術であるが,背景には移動通信に適した周波数帯の逼迫がある。現在使用している700MHz帯FPUは,2012年4月に改正された周波数割当計画により,2019年3月31日までに1.2GHz帯または2.3GHz帯へ移行することが求められている。周波数が低いほど回折による見通し外領域への回り込みの効果が大きく電界強度を確保しやすい一方,同じ性能を実現するアンテナは大きくなる。その意味で,700-900MHzの帯域は両者のバランスがとれた周波数帯であり,FPUや携帯電話を始め,パーソナル無線,MCA(Multi-Channel Access)*2,RFID(Radio Frequency Identification)*3など,さまざまな移動通信業務に割り当てられてきた。今回の移行の背景には携帯電話網の周波数の逼迫があるものの,より広い帯域幅を求めての移行と積極的に捉えるべきものと考えている。帯域は1,240-1,300MHzおよび2,330-2,370MHzとなり,700MHz帯より広い帯域幅が確保されている。

解説

  • FPUの最新動向
    池田哲臣
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    概要
    700MHz帯(770-806MHz)の電波は,伝搬特性が良好であることから,古くはFM変調を用いたアナログFPU(Field Pickup Unit)の時代からロードレース中継等の移動中継に用いられてきた。しかし,近年の携帯電話等における通信事業の急激なトラフィックの増加に伴い,700MHz帯の周波数を携帯電話等に割り当て,FPUの周波数を新たに1.2GHz帯と2.3GHz帯に割り当てる周波数再編方針が総務省から示された。このため,FPUが使用する周波数は現行の700MHz帯よりも高い周波数へと移行することとなり,従来よりも厳しい伝搬条件のもとで移動中継システムを構築する必要が生じた。当所では,平成18年度から移動伝送の高容量化と高信頼化を目的としてMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)伝送システムの研究開発に取り組んでいる。本稿では,時空間トレリス符号化を用いたMIMO伝送システム,および周波数移行の実証に向けて試作した伝送装置について紹介する。
  • ラジオマイクの最新動向
    濱住啓之
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    概要
    音楽番組やコンサートなどの業務用として利用されている700MHz帯の特定ラジオマイクは,1.2 GHz帯および地上デジタルテレビジョン放送のホワイトスペースへ周波数移行することが求められている。当所では,特定ラジオマイクの円滑な周波数移行に貢献するために,低遅延型デジタル特定ラジオマイクの研究開発を推進してきた。アナログ方式からデジタル方式,そして低遅延型のデジタル方式へと進化しているラジオマイクを取り巻く最新動向を解説する。

報告

  • 時空間トレリス符号化MIMO伝送システム
    中川孝之
    PDF ↓概要

    概要
    ロードレース中継の見通し内および見通し外の移動伝搬環境で,AVC(Advanced Video Coding)/H.264の所要ビットレートを安定的に伝送することが可能な時空間トレリス符号化MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)伝送方式の特徴を説明し,FPU(Field Pickup Unit)の移行先の周波数帯で行った伝送シミュレーションおよび野外伝送実験の結果について報告する。
  • 電磁界解析による移動中継用FPU の電磁波曝露の評価
    小郷直人 / 居相直彦 / 池田哲臣
    PDF ↓概要

    概要
    移動中継用の700 MHz帯FPU(Field Pickup Unit)は,マラソンや駅伝の中継で映像,音声を伝送するために用いられているが,総務省の周波数再編アクションプランにより,周波数を1.2GHz帯および2.3GHz帯へ移行することが検討されている。移行先の周波数は現行の周波数より高くなることから,伝搬損失を補償するために送信出力を大きくすることが検討されている。送ばくろ信出力を大きくした場合,送信アンテナの近傍にいるアナウンサーやドライバーへの電磁波曝露の影響が懸念される。そこで,中継車に乗っているアナウンサーとドライバーを対象に,700MHz帯,1.2GHz帯,2.3GHz帯のFPUの運用を考慮して送信アンテナをモデル化し,数値人体モデルを用いて電磁界解析を行うことにより,人体の比吸収率を解析した。その結果,比吸収率の値は,電波防護指針の一般環境における指針値よりも十分に小さな値となることが分かった。
  • マクロダイバーシティー受信システム
    光山和彦 / 池田哲臣
    PDF ↓概要

    概要
    ロードレース中継などで利用されるOFDM-FPU(Orthogonal Frequency Division Multiplexing-Field Pickup Unit)は,現行では700MHz帯の周波数が利用されているが,周波数移行後は現行より高い1.2GHz帯あるいは2.3GHz帯の利用が予定されている。一般に高い周波数帯ほど伝搬損失が増大するため,高い回線信頼性を実現できる新たな中継システムの構築が求められる。本報告では,地理的に離れた複数の基地局の受信信号から,基地局の区別無しに,最適な信号を選択して合成できるマクロダイバーシティー受信システムを提案する。また,システムの実現に向けた課題となるブランチ間の遅延時間差について述べ,それを解決する実用的な遅延補正方式を提案する。提案方式を試作した受信装置に実装し,その評価結果について報告する。さらに,マクロダイバーシティー受信システムをSHF(Super High Frequency)帯のOFDM-FPUへ適用し,京都駅伝中継番組において,バイクから送信されたハイビジョン映像を全コースの約半分となる延べ20kmにわたり途切れずに安定して受信することに成功した結果についても述べる。
  • 低遅延型デジタル特定ラジオマイクの伝送方式
    田口誠
    PDF ↓概要

    概要
    現在,770-806MHzで使用されている特定ラジオマイクは周波数の移行が求められている。また,デジタル方式のラジオマイクが製品化されているが,アナログ方式のラジオマイクと比べ,3~5msの遅延を生じることが運用によっては課題となっていた。当所では,移行先の新たな周波数帯において,耐マルチパス特性に優れたOFDM変調を用いることを検討し,低遅延で高品質なラジオマイク音声信号を,安定して伝送できる低遅延型デジタル伝送方式を研究・開発してきた。低遅延伝送の工夫を含め,検討した伝送方式について報告する。

研究所の動き

  • トンネル効果を用いたスピン注入型光変調素子 PDF ↓概要

    概要
    将来の立体テレビの実現に向け,自然な立体像を再現できるホログラフィー用の表示デバイスとして,空間光変調器の開発に取り組んでいる。この空間光変調器は,光変調素子と呼ばれる微小な光学素子を2次元に複数個並べたデバイスで,光源から入射した光の振幅,位相,偏光などの空間的な分布を電気的に変化(変調)させて立体映像を表示する。
  • 多視点ロボットカメラシステム PDF ↓概要

    概要
    異なる場所に配置した複数のカメラで被写体を同時に撮影する多視点映像の制作や,将来の立体映像制作への応用を可能とする技術の研究を進めている。これまでの多視点映像は,一般的な三脚に据え置いたカメラを複数台用いた固定型のカメラシステムで撮影していたため,移動する被写体を追いかけて撮影することが難しかった。そこで,複数台のロボットカメラを連動して制御できる多視点ロボットカメラシステムを開発した。

発明と考案

  • 2013年9月~10月 PDF

論文紹介

  • 論文紹介 PDF

  • 究会・年次大会等発表一覧 PDF