No.125 2011年1月発行

特殊情報入力デバイス技術 特集号

※PDFで公開しています。

巻頭言

  • 放送技術から医療へ
    国立成育医療研究センター臨床研究センター副センター長
    千葉敏雄
    PDF ↓概要

    概要
    私は長年医療のみに携わってきた者である。従って,本稿のタイトルにある「放送技術」と「医療」とのかかわりと言われても,あまりピンとくる者ではない。しかし,放送技術と医療という,いずれも常に技術的な進化が求められる2つの領域は,本来,相互に極めて密接であるべき,あるいは,融合していくべき分野だったのである。そして,しばらく前であればあまり関心を呼ぶこともなかったこの概念は,今や単純な事実となっている。そのことに多少とも関与しえた我々は奇跡的に幸運であった。

解説

  • 超高感度HARP撮像デバイスの医療応用
    久保田節/江上典文
    PDF ↓概要

    概要
    夜間の緊急報道や自然科学番組の制作に不可欠な超高感度ハイビジョンカメラの実現に 向けて,アモルファスセレン(a-Se)におけるアバランシェ増倍現象を利用したHARP (High-gain Avalanche Rushing amorphous Photoconductor)光電変換膜の研究開発 を進めている。HARP光電変換膜を適用した撮像デバイスは超高感度と高画質を両立で きるので,放送用途だけでなく,さまざまな分野から注目を集めている。本稿では, HARP撮像デバイスの医療分野での応用例とHARP光電変換膜の最新の研究開発状況に ついて紹介する。
  • 超高速度カメラの科学番組応用
    大竹浩
    PDF ↓概要

    概要
    超高速度カメラは人の目には見えない一瞬の現象をとらえ,スローモーション映像とし て可視化することのできるカメラである。当所では,これまでに,1秒間に100万枚の画 像を撮影することのできる超高速度CCD(Charge Coupled Device)とそれを用いた小 型のカラーカメラを開発し,科学番組や教育番組など,さまざまな番組の制作に利用し てきた。本稿では,超高速度CCDとそれを適用したカメラの開発概要ならびに科学番組 制作への応用例について紹介する。また,超高速度CCDの性能改善に向けた最新の研究 開発状況について報告する。
  • シリコンマイクの番組応用
    井口義則
    PDF ↓概要

    概要
    優れた音響特性と耐環境性とを兼ね備えた次世代のマイクロホンの実現を目指して,シ リコンマイクの研究開発に取り組んでいる。シリコンマイクは化学的に安定な単結晶シ リコンを素材としている。湿気や熱に強く,強じんなので,従来のマイクロホンが苦手 としていた高温・多湿・酸性雰囲気といった過酷な環境でも明りょうに収音することが できる。本稿では,シリコンマイクの概要と番組制作への代表的な応用例について述べ る。また,シリコンマイクの性能改善に向けた最近の研究開発状況について報告する。

報告

  • 温度制御による赤色光増感型HARP膜の画面キズ抑制
    大川裕司/宮川和典/松原智樹/菊地健司/谷岡健吉/久保田節/江上典文
    NHK-ES
    PDF ↓概要

    概要
    アモルファスセレン(a-Se)を主成分とするHARP(High-gain Avalanche Rushing amorphous Photoconductor)光電変換膜は波長620nm以上の光に対してはほとんど感度を持たないので, カラーカメラの赤チャンネルに使用する膜にはテルル(Te)を添加して赤色光に対する感度を高 めている。しかし,電子を捕獲しやすい性質を持つTeの添加量を増やすほど,Te添加領域によ り多くの電子が捕獲されて強い電界集中が生じ,この電界によって正孔注入阻止構造が破壊さ れ,画面キズが生じるという問題があった。そこで,キズの発生を抑制するために,52.5℃と 32.5℃~37.5℃の2段階から成る温度制御を考案し,その効果を確認した。また,この温度制御 によって,既に捕獲されていた電子が解放されること,撮影中には捕獲される電子の数が抑制さ れることを明らかにした。
  • ビームスプリッターを用いた超高速度カメラ
    林田哲哉/北村和也/新井俊希/米内淳/丸山裕孝†2
    NHK-ES †2NHK放送技術局
    PDF ↓概要

    概要
    超高速度カメラの性能改善を目的として,光学レンズを通過した光をビームスプリッターで2分 岐し,それらの光を2つの30万画素超高速度CCDでそれぞれ撮影する超高速度カメラを試作し た。2つのCCDの駆動方法を変更することで,撮影枚数または最高撮影速度を従来のカメラの 2倍にすることが可能である。また,2つのCCDの配置を空間的にずらすことで解像度の改善 ができることや,CCDにマイクロレンズを付けることでビームスプリッターの適用による入射 光量の減衰を補償できることを確認した。
  • 電荷蓄積型シリコンマイクの実現に向けた軟X線照射によるエレクトレットの作製
    後藤正英/萩原啓/井口義則/田島利文
    NHK-ES
    PDF ↓概要

    概要
    シリコンマイクの機動性を高めるために,バイアス電圧が不要な電荷蓄積型シリコンマイクの開 発に取り組んでいる。このマイクロホンを開発するためには,電荷を蓄積したエレクトレットを マイクロホンの内部に作製することが重要な課題となる。今回,マイクロホンの内部に形成した 無機材料の誘電体に,外部から軟X線を照射することで電荷を蓄積する技術を開発した。原理検 証実験の結果,この技術を用いることで,マイクロホンの内部に電荷を蓄積したエレクトレット を形成できること,形成したエレクトレットは優れた電荷保持特性と耐熱性を持つことが確認で き,電荷蓄積型シリコンマイクの開発に見通しを得た。

研究所の動き

  • 人と人,人と番組を結ぶテレビ局サービス
    プラットホームteleda(テレダ)
    PDF ↓概要

    概要
    テレビ局のサービスは視聴者に一斉に番組を送り届ける単方向の同報サービスが基本であった。しかし,近年はビデオオンデマンド(VOD)など,視聴者と放送局の間で双方向のやり取りをするサービスが充実してきている。当所では,同報と双方向サービスだけでなく,人と人,人と社会を結ぶ「公共の広場」を提供することを目的とした放送局サービスプラットホームteleda(テレダ)を開発した。
  • NHK全国学校音楽コンクールにおけるP2Pライブ配信方式 PDF ↓概要

    概要
    インターネットで同時に多数の視聴者に向けてライブ映像を配信する技術として,ピアツーピア(P2P)技術を用いたライブ配信方式の研究開発を進めている。開発したシステムの実用性を検証するために,NHK全国学校音楽コンクール(四国ブロック大会)のライブ中継を実施し,会場に来ることのできなかった2,000人以上の方に安定した映像をご覧いただいた。

発明と考案

  • 裏面照射型撮像素子の製造方法及び裏面照射型撮像素子 PDF ↓概要

    概要

    特徴と利用分野

    本発明は,低ノイズ化裏面照射型撮像素子の製造法にかかわるものである。本発明により,裏面照射型撮像素子のチップ切断面にp-n二重エピ層*1の界面が露出することで発生するノイズを抑止することができる。
  • エレクトレット構造及びその形成方法並びにエレクトレット型静電容量センサ PDF ↓概要

    概要

    特徴と利用分野

    本発明は,シリコン系の無機材料に安定して電荷を蓄積できる構造と,その製作技術にかかわるものである。電荷蓄積型シリコンマイクなど,デバイス内部に電荷を蓄積させておいて動作させるエレクトレット型静電容量センサーに本発明を用いることで,蓄積電荷の放電を防ぎ,デバイスを安定に動作させることができる。

論文紹介

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  • 研究会・年次大会発表一覧 PDF