No.892012/08

連載 スーパーハイビジョン開発機器〜ロンドン五輪公開上映に向けて〜(全3回)
この連載では、ロンドン五輪期間中に予定しているスーパーハイビジョンの公開上映に向けて開発した機器を紹介します。

第3回   ロンドン五輪SHV制作と公開上映のための
22.2マルチチャンネル音響機器
テレビ方式研究部  濱崎 公男
 ロンドン五輪のSHV制作では、22.2マルチチャンネル音響方式(以下、22.2ch音響)による3次元音響でライブ中継と上映番組制作を行います。ライブ中継では、技研が開発した直径45cmの22.2ch音響小型球形ワンポイントマイクロホン(写真1)をスポーツイベント会場の客席近くに置き、観客の声援や熱狂を3次元音響で収音します。また、ライブ中継を行う音声中継車の中では、技研開発の3次元音像パンニング技術(3次元空間の任意の場所から音が聞こえるように制御する技術)を導入したライブ中継用ミキシング卓(たくさんのマイクロホンの信号を混ぜ合わせて番組音を制作する機器)と、技研が開発した3次元残響付加装置(音の響きを生成する機器)が使用されます。これらの音響機器によって、あたかもオリンピック会場の中にいるような臨場感のある音を制作します。

写真1:22.2音響小形球形マイクロホン

 BBCテレビジョンセンター内に仮設したSHV編集スタジオでは、オリンピック会場で収録された22.2ch音響素材を編集して公開上映用の番組を制作します。22.2ch音響編集には、技研が開発している22.2ch音響制作システム(写真2)が使用されます。
 イギリスのグラスゴー、ブラッドフォード、ロンドンや東京、福島のSHV公開上映会場では、SHVプロジェクターを用いた大画面スクリーンとシアター用22.2ch音響再生システムでロンドン五輪を楽しんでいただきます。一方、オリンピック会場内国際放送センター(IBC)では、145インチSHV PDPとPDP用22.2ch音響再生システム(写真3)でロンドン五輪を上映します。これらの22.2ch音響再生システムの仕様を表1に示します。イギリスの会場で使用する音響再生システムは、BBCスタッフによる運営が行われるため、上映前の音響再生確認や上映時の操作を簡易化したものになっています。

写真2:3次元音響制作システム
写真3:145インチPDP用22.2ch音響再生システム

表1:22.2ch音響再生システム

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技研だより NHK放送技術研究所