No.702011/01


新年を迎えて
NHK放送技術研究所長 久保田 啓一

 新年明けましておめでとうございます。

 今年7月、アナログテレビ放送が終了し、デジタル放送への移行が完了します。これまで、近い将来のこととして語られてきたアナログ放送終了が、いよいよ現実になる年です。デジタル放送方式の研究開発を担当してきた放送技術研究所(技研)にとって、今年は、これまでの研究開発の節目の年となります。

 このような時期だからこそ、10年後、20年後に実現すべきサービスについて、長期的な視点を持って研究開発することが重要であるということを、私は繰り返し言ってきました。また、そのために、技研では、スーパーハイビジョンや像再生型立体テレビの実現に向けた広範な研究開発を、フラッグシップ的な位置づけで進めてきましたし、これからも継続して取り組むことはもちろんです。

 一方、このような時期だからこそ、別の問いが生じます。それは、「これから長期間にわたって継続されるデジタル放送の枠組みの中で、どのような新しい魅力的なサービスを開発し導入していくのか」という問いです。アナログテレビ放送では、その58年の歴史の中で、数々の革新的技術が導入され、サービスの充実が図られてきました。デジタル放送ではどうなるのかという問いです。

 この問いに対するひとつの答えとして挙げられるのが、いわゆる放送・通信融合サービスです。しかし、この融合サービスがどんなサービスなのか、人によって考え方が違います。融合サービスとは、放送コンテンツとインターネットコンテンツが連携するサービスと考える人もいれば、ネットに接続されたテレビに、放送コンテンツとインターネットコンテンツが表示されれば、それで融合サービスと考える人もいます。これはどちらが正しいということではなく、どちらが視聴者に受け入れられるのかということだと思います。今後デジタル放送の枠組みの中でどのようなサービスが開発・導入され、それが視聴者に受け入れられていくのか、幅広い視点で研究開発を進めなければならないと考えます。

 そのとき、私がこれまでの経験から確信を持って言えることは、新しいサービスが視聴者に受け入れられるためにもっとも大切なことは、そのサービスを導入するタイミングだということです。つまり、研究開発成果を出すタイミングがこれまで以上に重要になるということです。

 デジタル放送への移行が完了するいま、デジタル放送を今後どう進化・成熟させていくのかということは、直近の課題でもあり、同時に継続的に取り組まなければならない課題です。これまで以上に、短期的課題と長期的課題に向けたバランスのとれた取り組みが求められると考えています。ことしもご指導ご鞭撻いただきますよう、お願い申し上げます。





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