No.502009/05

IPネットワークを利用した中継伝送技術
システム 小田 周平

 光ファイバーの普及が進み、手軽に高速のIPネットワーク*を利用できるようになりました。IPネットワークには、専用線のように高価ではあるものの伝送帯域が保証されるものと、他の利用者との共用により、安価で手軽に利用できるものの伝送帯域が保証されないものとがあります。このようなネットワークを利用しても、高画質映像を長時間途切れることなく安定して伝送することを目指した研究を進めています。

IPネットワークで映像を伝送するときの課題
 高画質な映像伝送には、映像の圧縮率を低く抑えて、できるだけ高いビットレートで伝送する必要があります。しかし、この場合には伝送路の混雑等により伝送帯域が不足すると映像が途切れてしまう問題があります。これを避けるためには、混雑時の伝送帯域に収まる範囲でビットレートを設定する必要がありますが、IPネットワークの混雑状況は予測できないため、伝送に先立って適切な圧縮率を選定することができません。

開発した中継伝送装置
 そこで、IPネットワークでのパケットロス発生状況等を観測することにより、混雑に応じて変化するネットワークにおいて伝送可能なビットレートを推定し、この値をもとに適応的に映像信号の圧縮率を変化させるIPネットワーク用中継伝送装置を開発しました(図1)。この装置は、ネットワークが空いているときには低い圧縮率で映像を伝送し、ネットワークが混雑すると、圧縮率を高くして伝送するデータ量を減らすとともにパケットロス対策を強化します。このとき画質は若干劣化しますが、映像が途切れたりノイズが入るなどの決定的な破綻を避けることができます。


混雑に応じて伝送データ量を調節する中継伝送装置

今後に向けて
 今回紹介した伝送装置を平成20年1月から報道拠点と放送局を結ぶ中継伝送に使用し、年間を通じて安定に運用できることを確認しました。今後、さまざまな環境での使用を想定して、レート制御の高速化や複数の伝送装置の協調制御などの高機能化を進めていきます。

* IPネットワーク:IP(Internet Protocol)を用いた通信ネットワーク



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