No.372008/04

高度BSデジタル放送技術
〜高品質かつ多様な放送サービスをめざして〜
システム 主任研究員 田中 祥次

 2011年の7月24日に、地上・BS放送ともに、アナログ放送が終了します。BS放送については、現在アナログ放送に使用されているチャンネル(BS-5, 7, 11ch)と2000年に新たに日本に割り当てられたチャンネル(17, 19, 21, 23ch)の計7チャンネルがデジタル放送に利用可能となります。(社)電波産業会(ARIB)では、これらのチャンネルに導入可能な放送方式について検討を進めており、今年1月にはARIBから情報通信審議会に暫定方式案が中間報告されました。

高度BSデジタル放送の暫定方式案
 ARIBでの方式検討においては、伝送路符号化、映像符号化、音声符号化、多重化、データ放送の各分野について提案募集がなされ、NHKなどからの提案方式に基づき審議が行われ、暫定方式案がまとめられました。
 暫定方式の特長としては、伝送路符号化方式では、従来のBS放送と同じ帯域幅と降雨減衰耐性を維持しつつ、情報の伝送容量を従来の52Mbpsから70Mbpsまで拡大したこと、高感度アンテナを利用した場合には、APSKという高能率の変調方式を利用することで127Mbpsという大容量伝送も可能としたこと、さらに複数のチャンネルを使って大容量伝送を行うバルク伝送が可能なこと、などがあげられます。映像符号化については、MPEG-2よりも圧縮効率の高いH.264 /MPEG-4 AVCを採用し、ハイビジョンを超える超高精細度映像(3840×2160/60P)のサービスを可能としています。また、実験用として7680×4320/60Pのスーパーハイビジョンも含まれています。映像信号の高度化にあわせ、音声信号は最大22.2チャンネルまで対応しています。
 そのほか、多重化方式ではMPEG-2 TSに加えてIPパケットなど可変長パケットの伝送も可能としたほか、データ放送については、JavaをベースとしたARIB-Jと呼ばれるデータ放送方式を拡張し、ビデオレコーダ制御や宅内ネットワークアクセス機能などが追加されています。

今後の展開
 暫定方式案は、実証実験結果を踏まえて、ARIBでさらに審議された後、情報通信審議会へ報告されます。情報通信審議会での審議を経て、高度BSデジタル放送の方式として答申された後、総務省令・告示の改正により、正式に日本の放送方式となります。その後、ARIBでは、実際の運用に即した技術的条件の標準規格化が行われます。一方、総務省では、委託放送事業者の募集〜決定など放送開始に向けた手続きが進められます。




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技研だより NHK放送技術研究所