No.372008/04

連載 チャレンジ「デジタル放送時代の情報セキュリティ技術」(全6回)
 連載チャレンジシリーズ第5回は、コンテンツの著作権を保護し、契約者のみが放送を視聴できる限定受信システムを提供する、デジタル放送のセキュリティ技術であるCAS(Conditional Access Sytem)技術を紹介します。

第5回 CAS(Conditional Access System)技術
システム 西本 友成
衛星デジタル放送や地上デジタル放送のためのCAS技術
 CAS技術は、衛星デジタル放送や地上デジタル放送(ワンセグを除く)を実現する基盤要素の一つで、有料放送技術やコンテンツの著作権保護技術として利用されています。放送の視聴を契約者に限定するために、放送コンテンツの暗号化機能と、契約者のみが暗号を解き放送コンテンツを視聴できる機能を提供します。放送コンテンツの暗号化では、安全性を高めるために、コンテンツを暗号化する「暗号鍵」を数秒ごとに変更します。この「暗号鍵」は、契約者のみに与える「契約鍵」で暗号化して、暗号化コンテンツと併せてすべての受信機に送出します。そして、この「契約鍵」は、受信機毎に割り当てられている「認証鍵」で暗号化し、契約した受信機のみに『視聴ライセンス』として放送で配送するため、契約者だけが放送コンテンツを視聴することができます。このようにCAS技術は有料放送技術として利用されているだけではなく、コンテンツを暗号化して伝送することで、著作権保護技術としても利用されています。
将来のCAS技術
 現在、新たな放送サービスを提供する衛星デジタル放送やモバイル放送が検討されています。また、コンテンツを一旦蓄積して楽しむダウンロード型の放送も検討されています。
 しかし、現在のCAS技術は、視聴ライセンスを受信機に配送するために常時300kbps程度の放送帯域を必要とするため、300〜400kbpsの狭い帯域のモバイル放送には適用できません。そのため、技研では、モバイル放送における有料放送の実現やコンテンツの著作権保護に向けて、複数の視聴ライセンスをまとめて配送することで視聴ライセンスの送出量を低減する配送技術を考案し、視聴ライセンスを数kbps〜数十kbpsで伝送できるCAS技術を開発してきました。
 また、ダウンロード型の放送に適用するために、放送受信時およびコンテンツ再生時に映像品質を制御できるスクランブル技術を開発しています。これにより、利用者は、映像を部分的に秘匿(品質を劣化)したコンテンツを視聴した上で、コンテンツの購入を判断することができます。

CAS技術の仕組み



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技研だより NHK放送技術研究所