基調講演・研究発表・シンポジウム

5月25日(木) 研究発表 場所:技研講堂

研究発表

午後1:00 ~ 1:30

テレビ映像における顔認識技術

ネットサービス基盤研究部 上級研究員 河合 吉彦

近年、機械学習、ビッグデータ解析など、人工知能(AI)を活用して映像を解析する技術が大きく進展し、放送分野やネットサービスへの応用の期待が高まっている。技研では、番組制作の高度な支援やアーカイブス映像の有効活用を目指し、テレビ映像の内容に関するさまざまな情報(メタデータ)を自動付与する映像解析技術の研究を進めている。メタデータを使うことで、素材映像の中から特定のシーンを素早く検索することや、番組を短くまとめた要約映像を自動生成するなどの応用を目指している。

本報告では、テレビ映像に映る人物が誰であるのかを判別する顔認識技術を紹介する。セキュリティゲートでの顔認証に比べ、テレビ映像では照明条件や出演者の表情、顔の向きが大きく変動するため、十分な認識精度を得ることが難しいという課題がある。本報告では、目鼻や口などの大まかな位置関係を考慮した画像特徴を利用することで各種変動の影響を軽減し、認識精度を改善する技術について説明する。また、変動によって顔特徴点の位置が正確に検出できない場合でも、細かな小領域から求めた画像特徴を段階的に統合していくことで、精度よく個人の差異を判別できる技術についても説明する。

研究発表

午後1:30 ~ 2:00

番組制作システムのIP化へ向けた技術開発

伝送システム研究部 小山 智史

放送局設備にIP(Internet Protocol)ネットワークを活用する動き(IP化)は、編集システムから始まり、現在では番組制作システムに及んできている。IPネットワークを用いることで、映像と音声、データなどの異なる種類の信号や、ハイビジョンとスーパーハイビジョンといった異なる解像度の映像信号を単一のネットワークで伝送できることから、放送局設備をシンプルで効率的な構成にできる。さらには、番組のリモート制作や機器の自動制御などの新しいワークフローを実現する可能性も秘めている。

本報告では、まず番組制作システムのIP化に放送局が期待するメリットや、実用化のための課題、外部動向等を整理する。その上で、IP化を実現するために技研で研究開発を進める技術として、複数のスタジオ間で番組制作設備を共有し効率的な設備運用を実現する「リソースプロバイダ」、IPネットワーク上で8K映像素材信号を低遅延伝送することが可能な「8Kスーパーハイビジョン IP変換装置」、専用の無線IP回線で中継現場と放送局を接続し高速ファイル伝送やリモート制御を実現する「スマートFPU」を紹介する。

研究発表

午後2:00 ~ 2:30* 午後2:30~3:00は休憩時間です。

実用的なフルスペック8Kカメラの実現を目指して

テレビ方式研究部 中村 友洋

フルスペック8Kスーパーハイビジョン(フルスペック8K)は、最上位の8K映像システムであり、RGBともに3,300万画素のフル解像度、フレーム周波数120 Hz、階調12 bit、広色域表色系、ハイダイナミックレンジ(HDR)に対応している。技研では、フレーム周波数120Hzに対応した撮像素子の開発や、今後開発される8Kカメラの基準となる撮像性能を優先させた3板式フルスペック8Kカメラなどを開発してきた。

本報告では、これまでに開発した8Kカメラの概要と、実用的なフルスペック8Kカメラの実現を目指した研究開発の方向性について説明する。また、カメラの小型化とフルスペック化の両立を目指して開発した、1億3,300万画素撮像素子を用いた単板式ポータブルカメラシステムについて紹介する。本カメラシステムは60Hzで動作するが、多画素の撮像素子を用いることで、これまで3板式でしか実現できなかったフル解像度を、初めて単板式で実現した。さらに、2ラインごとにスキップして2倍のフレーム周波数で読み出すことにより、120Hzでの撮影にも対応した。本報告では、撮像素子の概要と駆動方法、ライン補間手法、撮像特性の評価結果などについて紹介する。

研究発表

午後3:00 ~ 3:30

スポーツ番組を解説する「音声ガイド」生成技術

ヒューマンインターフェース研究部 主任研究員 熊野 正

視覚に障害を持つ方がテレビ番組を楽しむためのサービスとして、画面に映っている内容をアナウンサー等が言葉で説明する解説放送を、放送局は実施している。しかし、制作には多くの人手がかかるため、解説放送の割合はNHK総合で10%程度にとどまっている。また、生放送番組に対しては、人手を介しても解説放送を制作することが難しい。そこで技研では、スポーツ競技で大会主催者やスポーツ情報配信会社などからリアルタイムに配信されているデータを用いて、スポーツ中継番組に自動で音声による説明を付与する新しいサービス「音声ガイド」の研究開発を進めている。

本報告では、配信されるデータから試合の経過や今の状況を説明する言葉を生成し、それを合成音声により伝える音声ガイド自動生成の仕組みと、その要素技術である説明生成・音声合成の技術課題について報告する。また、リオオリンピック・パラリンピックを対象とした大規模な音声ガイド自動生成実験の結果を紹介し、2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ向けた展望を述べる。

研究発表

午後3:30 ~ 4:00

空間認知特性に基づいた自然なインテグラル立体表示技術

立体映像研究部 澤畠 康仁

技研では、次世代の放送サービスを担う新しいメディアとして、インテグラル方式による立体テレビの研究に取り組んでいる。特別なめがねを必要とせず、あたかもその場に物体や空間があるかのような、自然な立体像の表示ができる本方式は、高精細ディスプレーとレンズアレーを組み合わせ、多方向に光線を再現することで立体像を表示する。しかし、実際に再現できる光線数には限りがあるため、特にディスプレー手前や奥の像がぼやけてしまうことがある。すなわち、奥行きの深いシーンの高画質な表示に課題がある。

そこで、現在の放送で見られるような奥行きのある多様なシーンを、インテグラル立体テレビでも高画質で違和感なく立体表示するための研究を進めている。ものの長さや大きさを高精度に測る測定器とは異なり、人は必ずしも実際のものを正確に知覚・認知するわけではない。本報告では、人の空間認知特性を概説するとともに、その特性に基づきインテグラル立体テレビで再現できる奥行きの範囲を仮想的に拡大することで、奥行きのあるシーンを自然かつ高画質に表示できることを紹介する。

研究発表

午後4:00 ~ 4:30

高色純度緑色有機ELデバイスの研究開発

新機能デバイス研究部 深川 弘彦

スーパーハイビジョン放送では、現行放送では表現できない、より鮮やかな色も忠実に再現できる広色域表色系が採用されており、この表示に適したディスプレーの実現が求められている。有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーは、優れた応答速度と高いコントラスト比が特徴であるが、発光波長の広がりが大きいため色純度が十分ではなく、特に緑色有機ELデバイスの高色純度化が課題となっていた。

本報告では、デバイス内に用いる有機材料を抜本的に見直すことで、現行の有機ELデバイスに比べ発光波長の広がりを大幅に低減し、加えて理論上の上限に近い発光効率を両立できることを示す。さらに、光学シミュレーション結果を基にデバイス構造を工夫し、デバイス内の電極間における光の共振現象を利用することで、高色純度化を妨げる発光成分を抑制でき、有機ELデバイスとしては極めて色純度の高い緑色発光が得られたことを紹介する。

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