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「数々のドラマを生んだアイランドグリーン」
5月11日(月)
TPCソウグラス17番のアイランドグリーン                     〜写真撮影:森永 晃〜
TPCソウグラス17番のアイランドグリーン                     〜写真撮影:森永 晃〜
5月7日から開催された
ザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップ。
この大会は
第5のメージャーとも呼ばれる大きな大会だ。
参加選手も前週のクエイル・ホローから引き続き、
世界のトッププレーヤー達が参戦した。
日本からは今田竜二が出場。

舞台となるのは
フロリダ州ポンテベドラビーチにあるTPCソウグラス。
有名なコースデザイナー、ピート・ダイの手による
ツアーでも屈指のタフなコース。
各ホールとも気の抜けない難関が続くが、
特に有名なのがアイランドグリーンの17番PAR3。

137ヤードと距離は短いが、風の予測が難しく、
プレーヤーを惑わすこのホールは
その美しい景観とは裏腹に、魔物が潜むとも言われている。
ティーグランドに立った時に
持つ番手を一番悩むホールだろう。
特に優勝争いをしている選手にとっては、
もしここで池に入れてしまえばダブルボギーもあり、優勝争いから脱落してしまう。

これまでにも何人もの選手が魔物の餌食になってきた。
首位を走っていてこの17番でトリプルボギーをたたき、優勝争いから脱落したアロン・オーバーホルサー、
ミケルソンと優勝争いをしていたのに、ここで2発池に入れて7をたたき転落したショーン・オヘア。
今田選手も昨年はこの17番で池に落としてダブルボギーをたたき、予選落ちしている。
またグリーンに乗ったボールを鳥がくわえて池に落とすといった珍事もあった。

この17番ホールにまつわる面白い数字がある。

【1】 パーとなったホールインワンの数が1。
   これは1999年の大会でフレッド・カプルスが1打目を池に入れ、
   打ち直した3打目がカップインしてパー。これにはギャラリーも大喜びで拍手かっさいだった。

【2】 これまでの優勝者の中で最終日に17番でボギーをたたいて優勝した選手が2人。
   ちなみにこの2人は1991年優勝のスティーブ・エルキントンと2005年優勝のフレッド・ファンク。

【6】 大会の歴史の中でホールインワンした選手が6名。
   2002年にスペインのヒメネスが達成したのが最後になっている。
   PGAツアープロ以外では45人がホールインワンしている。

【12】2005年の第3ラウンドでのボブ・ツエーのスコア。かなりの強風が吹いていた。

【66】1985年に開催された「最も下手だけど熱心なゴルファー選手権」で
   一人のアマチュアが打った打数。
   31歳のこのアマチュアゴルファーは何と27回池に入れたそうだ。
   見るに見かねた競技委員がパターを使って転がしていくように指示したとのこと。
   ちなみに彼は「257」というスコアで見事優勝したそうだ。

【120,000】 1年間で池に入るボールの数。
   それにしても凄い数が飲み込まれている。
   池に入ったボールは年に4回、ダイバーが潜って回収し、中古ボールとして販売される。

PGAのサイトではこの17番の様子をライブで伝え、
「スプラッシュ・カウンター」なるものが設置されて池に入ったボールの数をカウントしている。
見ているほうはワクワクで楽しんでいるけれど、
プレーする選手はかなりのプレッシャーと戦っているに違いない。

日本人選手としてただ一人参戦した今田選手は初日は無事に1オンしてパー。
2日目は左ギリギリに乗せ、スピンで少し戻ってあわや池。
ピート・ダイ特有の枕木の杭に掛ってかろうじて止まった。
杭の上にアドレスする無理な姿勢から、持ち味のショートゲームのうまさでパーをセーブした。

しかし3日目に魔物に捕まった。
第3ラウンド、今田選手はジム・フューリックとラウンド。
17番では打順はフューリックが先だったが、
フォローの風を計算し、9番アイアンからピッチングウェッジに持ち替えた。
しかしボールはピンをはるかにオーバーし、島とコースを結ぶ通路で止まった。
これを見た今田選手は完全に混乱。
はっきりと頭の中で決まらないまま、半信半疑で打った球はわずかに島に届かずに池に吸い込まれた。
このホール、ダブルボギーをたたいてしまう。

「17番は本当に風が読みにくい。ジムが打ったのを見て完全に分からなくなりました。
風がコロコロ変わっているんでしょうね」と今田選手は語っていた。

優勝したのはスウェーデンのヘンリック・ステンソン。
最終日ノーボギー、6バーディーの66という素晴らしいスコアで回り、今年の大会を制した。
ステンソンが17番に来た時には2位と4打差。
気持ちに余裕があったのかもしれないが、無難にグリーンに乗せてパーをセーブ。
4打差のまま最終18番へ向かった。

2位タイで最終日に臨んだタイガーは、猛チャージが期待されたが、
最終日は3バーディー、4ボギーで1オーバー。
ショットが安定していない様子でトータル5アンダー、8位で終了した。

今大会で17番の池が飲み込んだボールの数は
初日が16個、2日目が6個、3日目が4個、そして最終日には6個の合計32個だった。
今年は4日間を通して風があまり強くなく、2003年の29個に近い少ない数字となった。

それにしてもこの17番は普段の遊びのゴルフでもかなり緊張するティーショットになるが、
優勝争いをしている時の17番はかなりのプレッシャーに違いない。
プロの精神力に今さらながら感心させられた。


【著者】森永 晃
アメリカ・ロサンゼルス在住。長年カメラマンとしてPGAツアーの取材に携わり、
丸山茂樹選手が2000年に参戦してからは、ほぼ専属でともに転戦の毎日。
2005年からはカメラをマイクに持ち替えて現地からの情報を伝える仕事に転職(?)
公私ともにゴルフ漬けの毎日。
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