鈴木 直人
トレードは成功?!
3月15日(月)
NBAトレード期限ぎりぎりの2月18日。NBAファンをびっくりさせる発表がありました。
ニューヨーク・ニックスと、ヒューストン・ロケッツ、サクラメント・キングスの三角トレードで、リーグ屈指の得点マシン、トレーシー・マグレイディ選手のニックス入団が決まったからです。
ニックスが獲得したのは、ロケッツからのマグレイディはじめ6選手。その見返りとして、ニックスは、ラリー・ヒューズ選手、ネイト・ロビンソン選手といった主力プレーヤーはじめ6人を放出するとともに、将来のドラフト指名権まで手放すことになりました。
ニューヨークの地元メディアは、今回のトレードに関して「ニックスは、シーズンオフに、レブロン・ジェームズ選手などの大物FA選手を獲得したい。だからサラリーキャップ枠を拡大するためだけにトレードを行った」とか「マグレイディ選手は、2011年と2012年のドラフト指名権を事実上放棄してまで獲得しなければならなかったプレーヤーなのか」といった、厳しいコメントが相次ぎました。
マグレイディ選手は、1997年、トロント・ラプターズにドラフト1巡目で入団し、オーランド・マジックやヒューストン・ロケッツなどでエースとして活躍してきました。
得点王2回、オールスターゲーム出場7回と、2000年代を代表するNBAスタープレーヤーの一人です。
しかし、昨シーズンからけがや体調不良などで試合出場も限られ、「ピークは過ぎた」とささやかれています。
「ニューヨークに来られて、とても興奮しているよ」
「(今は厳しい状況の)チームのプレーオフ進出ができることを証明したい」と入団会見で語ったマグレイディ選手。
背番号は“3”。彼のトレードマークでもあり、NBA入団以来ずっとつけていた背番号“1”にしなった理由については「チームメート(デュホン選手)が、すでにつけている番号だからね」と、チームの“和”を重視する姿勢も見せています。
高い得点・運動能力とリーダーシップでチームを勝利に導く期待が寄せられていたマグレイディ選手の加入。
しかし、ニックスはなかなか波に乗れず、23勝43敗でイースタンカンファレンス11位(3月13日現在)。
8位までのプレーオフ進出は、ほぼ絶望的だと言われています。
また、早くもチームは、球団ワーストとなる9シーズン連続負け越しという不名誉な記録まで塗り替えてしまっているのです。
“目が肥えている”という地元ファンたちに、今回のトレードをどう見ているか聞いてみると「成功だと思う。今シーズンはあきらめなければならないかもしれないが、来シーズンは凄く良いチームになる」と、みな冷静に分析していました。
レギュラーシーズンも、残り約1ヶ月。
マグレイディ選手から刺激を注入されたニックスがプレーオフ進出をもぎ取ったとき、彼が慕うニックスのヘッドコーチ、マイク・ダントーニ氏のモットーが大きく花開くことでしょう。
“Each individual performance is only as good as it enhances the team’s performance”
(個人のパフォーマンスは、チームのパフォーマンスの向上につながってこそ価値がある)。
【著者】鈴木直人(すずき なおと)
アメリカ、ニューヨーク在住。
1996年からアメリカのメジャースポーツの取材や中継に携わる。
出身地は北海道。特技は空手。