堀江 慎吾
「ニューヨーク・ヤンキースとデレク・ジーター」
10月25日(月)
10月22日、アメリカン・リーグ優勝決定戦・第6戦でテキサス・レンジャースに敗れたニューヨーク・ヤンキースの2010年シーズンが終わった。
常に勝つことが求められるヤンキースにとって、28回目となるワールドシリーズ優勝を果たせなかった今年は、“不本意なシーズン”ということになる。
「シーズンの目標は?」と聞かれると、必ず「ワールドシリーズ優勝」と名言してきたチームキャプテン、デレク・ジーター選手にとっても、2010年は“消化不良のシーズン”となってしまった。
今シーズン、ジーターはバッティングで不振に陥ることが多かった。
レギュラーシーズン終了時の成績は、打率.270、ホームラン10本。前年の、打率.334、ホームラン18本からの大幅ダウンは、対戦する投手達に相当研究されたからと言えるのではないだろうか。
しかし、ジーターを語るにあたって見落としてはいけない面は多い。
例えば守備。シーズンの“守備成功率”は、98.9%。これは、ア・リーグトップだった。
ジーター本人はシーズン前、こう話していた。「毎試合、何らかの形でチームが勝てるように貢献することが大切だと思う」
自分の“打撃”が思うようにいかない時、“守備”や“走塁”さらには“チームの和”まで乱してしまう選手が、メジャー の一流プレーヤーにも少なくない。
しかし“名門球団・ヤンキースの主将“ジーターに関して言えば、自分自身の不振にとらわれず、様々な面でチームの勝利に貢献していく。
チームメートからの信頼が厚いジーター。
「手本となる姿勢を行動で示したい」と、普段は決して多くを言葉にしない。
ただし、こうきっぱり言い切る「チームが言葉を必要としている時は、しっかり口を開くよ」
試合中、投手が苦しんでいる時、絶妙なタイミングでマウンドに駆け寄り、一言二言投げかけ、ポンと背中を叩くジーターの姿をよく目にする。
「ジーターが話しをする時は、みんな黙るよね。絶対に大切なことを言うから」若手キャッチャーのセルベリ選手は、全幅の信頼を寄せる。
さらに、多くの選手がこう口をそろえる。
「ジーターはどんな時であっても態度が変わらない」
動揺を見せたり、わめき散らしたりは決してせず、常に冷静な姿を保ちつづけていることについて、ジーター本人は、こう語る。
「全ての試合が大一番だ、という姿勢で臨まないといけないと思っている。全試合、常に“優勝がかかった第7戦目だ”という考えでいれば、試合へ臨む態度や姿勢を何一つ変える必要がないということだからね」
確かに、毎試合、毎試合、“これで優勝が決まってしまう最後の試合”という姿勢で臨むことは、フィールド上でのプレーのみならず、試合までの準備、シーズン中の日々の過ごし方にまで、すべてつながると思う。
昨年まで、ジーターとチームメートだった松井秀喜選手も「選手として、人間として、本当にすごい人だと思う」と称賛していたことも、うなずける。
ジーターが、ヤンキースのレギュラーになったのは1996年。以来、チームがプレーオフ進出を逃したのは、2008年の1回だけ。その間、ワールドシリーズを5回も征している。
10年契約の最後となった2010年シーズンを終えたジーター。
彼との新しい契約を速やかに行なうことは、ヤンキースが今後も常勝軍団として君臨し続けるために、必要不可欠だろう。
【著者】堀江慎吾(ほりえ しんご)
アメリカ、ニューヨーク州在住。
メジャーリーグの取材、中継業務を中心に活動中。