From The Side Line スポーツコラム
MLB
北舘 洋一郎
『NBAハードボイルドなプレーヤー』~ウエスタンカンファレンス・ファイナルはスパーズvsサンダー~
5月23日(水)
西部地区のベスト2が下馬評通りカンファレンス・ファイナルに駒を進めた。
セミファイナルでスパーズは4連勝であっさりとクリッパーズを破り、サンダーも第3戦を3点差で逃すも、レイカーズに苦戦する様子はまったくなく、4勝1敗で勝ち抜けた。

現地サンアントニオで5月27日からはじまるファイナル進出を決める戦いには大きく5つの見所がある。
まず、ひとつめは精度の高いオフェンス力。
両チームともに高得点を稼ぎだす個人能力とチームオフェンスを持っている。
レギュラーシーズン過去の対戦3試合でもサンダーが47.1%、スパーズが45.2%とフィールドゴール成功率がいい。
逆に言えば、ミスを多くしたチームが勝機を逃す確率も高くなるということだ。
レギュラーシーズンと違って、いくらこの2チームとはいえプレーオフで大量得点を挙げるのは難しい。
実力のきっ抗するこのカードは100点以上を稼ぎ、90点台で相手を抑えたチームが優位になるだろう。

そして2つめは両チームともに3ポイントシュートがキーファクターになる。
過去の対戦ではスパーズは51.9%、サンダーが35.4%の3ポイントシュート成功率を記録している。
スパーズの一番のウエポンともいえる3Pシュートをサンダーのディフェンスがどうやって封じるかも大きなキーポイントとなる。スパーズの若手、ニール、グリーン、レナードの3ポイントがいい。
スパーズはパーカーとダンカンの高い位置からのピックアンドロールを起点に、両コーナーにシューターを配置して、ボールをインサイドに入れては外にさばく縦のパスワーク。
そして、コーナーと45度、逆サイドの45度とコーナーの4スポットにシューターを配置して、横にパスをさばきながらシュートを狙うという大きく2つの3ポイントシュートのフォーメーションを持っている。
今シーズンはとにかく3ポイントシュートが好調で、選手たちもかなりの自信を持ってシュートを放っている様子がうかがえるだけにスパーズの3ポイントシュートはカァンファレンスファイナルを制するための武器であり、もし、ファイナルに進出した場合にも試合に大きな影響を与えることは間違いない。

サンダーの場合はデュラント、ウェストブルック、ハーデンの3人が試合のキワで効率的に3ポイントを決めれるかどうかが重要だ。
特にこの3人は個人能力で3ポイントを狙ってくるため、ある意味一か八かのところがある。
しかし、第4クォーターで勝負所に強いという過去の実績からみても、スパーズは僅差でむかえる第4クォーター終盤でのディフェンスを徹底的に研究してくるはずだ。

3つめは、リバウンド。
インサイドの両チームの布陣はほぼ互角と言っていいだろう。
しかし、ベンチメンバーまで含めるとスパーズの方が有利だ。
サンダーのイバカ、パーキンスは試合前半でファールを1つまでに抑えたい。
ファールトラブルでインサイドが脆弱するとサンダーの試合展開は安定しなくなる。
セミファイナルでバイナム、ガソールのレイカーズのツインタワーを完全にシャットアウトしたパーキンスとイバカだが、スパーズのインサイドはその2倍以上のタフさとフィジカルを持っているから一筋縄ではいかないはずだ。
なによりも、メンタルが弱いレイカーズのインサイド陣とはスパーズは真逆と思ってかからなければならない。

4つめはここずっとハイペースの試合展開を続けてきているデュラントがチーム内でのバランスをとりはじめたということにスパーズはおおきな注意を払う必要がある。
これはこのプレーオフに入ってはじめて見られる傾向だが、デュラントは特にウェストブルックとハーデンを上手に使うプレーを会得したようだ。
みずからが是が非でもボールを持って攻め込むよりも、ウェストブルックとハーデンにボールをシェアしてサンダーのオフェンスをコントロールし始めている。
本来はポイントガードであるウェストブルックがこの役目を担うのだろうが、プレーのスタイルや性格的にもウエストブルックは切り込み隊長の方がいいとデュラントは認めている。
いわば、レブロンのようなオールラウンダーなスタイルをデュラントがしはじめたということだ。
スパーズはこのデュラントのマッチアップにジノビリ、レナード、グリーンの3人でのぞむのだろう。
得点に夢中になってくるデュラントよりもボールをさばき始めたデュラントの方がスパーズにとってやっかいななずだ。

そして最後に、このシリーズの一番のファクターはスパーズのダンカンだと予想する。
1997年にドラフト全体1位でスパーズ入りしてからNBAのトップクラスを維持し、シーズンMVP2回、ファイナルMVP3回、もちろん優勝も4回経験しているベテランのダンカン。
まして、今シーズンはケガもせずにシーズンを通じいいプレーをしている。
特にセミファイナルのクリッパーズ戦では平均21得点をマークし、レギュラーシーズン平均15.4得点、ファーストラウンド14.3得点よりも大きくステップアップしている。
キャリア15年をむかえるダンカン自身も今シーズンこそがもう一度チャンピオンになれるかっこうのチャンスとばかりにその試合への集中力もすばらしい。
また、ダンカンが好調なのを察して、パーカーも以前にましてダンカンへのシュートにつながるパスを送り込んでいる。
ダンカンばかりではなく、パーカーとジノビリ、3人の百戦錬磨のベテランがいまだにチームの中心となってプレーしているスパーズ。
このベテランの活躍が目立ってくるようなことになればスパーズ有利の展開で試合は流れ、オフェンスの爆発力を第4クォーターに集約することのうまいサンダーが試合の序盤、中盤に崩れることなく僅差で残り時間3分までスパーズに食らいつければ、一気に勝利の女神はサンダーになびくのではないか。

NBAの中でもチームの実力として横綱クラスのトップ2のスパーズとサンダーの戦いは事実上の最高峰決戦といえる戦いだ。
【著者】北舘洋一郎(きただてよういちろう)
岩手県盛岡市生まれ。
1990年からNBAを取材し執筆活動を続ける。現在、NHK、BSでNBA解説も行う。
著者の北館洋一郎さん
著者の北館洋一郎さん

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