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2019年8月24日(土)

菅野智之「高校野球への提言」

最速163キロの大船渡高校・佐々木朗希投手が岩手大会決勝で登板しなかったことなどから、ピッチャーの負担軽減が大きな議論となっています。巨人のエース・菅野智之投手は東海大相模高校時代の自身の経験を踏まえ、高校野球界が何を取り組むべきと考えるのか語りました。

マウンドに立つのがつらかった

菅野投手は高校3年生の夏、東海大相模のエースとして神奈川大会準決勝で168球、翌日の決勝でも169球を投げました。決勝で敗れ、甲子園出場はかないませんでしたが、それ以上にマウンドでの苦しみが記憶に残っているといいます。

菅野智之投手

本当につらかったですね。こんなこと言ったら申し訳ないですけど、勝ち負けを度外視してでも、早く終わってほしいと思いました。


マウンドに立っていることがつらくて。その思いしか残ってないです。ルールを設けることで手をさしのべないと選手を守ってあげられない。難しいところはありますけど。

菅野投手が見た"この夏の甲子園"

タイブレークの末、智弁和歌山にサヨナラ勝ちした星稜ナイン

令和最初の夏の甲子園では、決勝前日に大会期間中2日目となる休養日が新たに設けられました。去年から導入された延長13回からのタイブレークに続き、対策が進みつつあるように見えますが、菅野投手はこうした動きをどう考えているのでしょうか。

菅野智之投手

タイブレークはもう少し早く延長10回から始めてもいいのではないかと思います。金属ではなく木製のバットでやるのもひとつの手なのかなと。ただ木製は金属と違って折れるのでお金がかかる。


木製のバットを高校から使っていれば、野球の底辺の技術がどんどん高くなっていくと思います。大学、社会人、プロに入ってもすんなり木製のバットに対応できる気がするので、ひとつの案としてはいいのかなと。

選手の思いに寄り添ってほしい

また菅野投手は前提として、プレーする選手の声を反映させる必要があるといいます。

菅野智之投手

球数制限をしたほうがいいのか、日程はどれくらい、あけた方がいいのか、選手にアンケートをとるべきだと思います。


グラウンドに立ってやるのは選手ですし、自分たちが決めたことに責任を持たせることも必要。そういうふうになってきてもいいのかなと。

球数制限で"新たな才能が開花する"

そして、球数制限の導入が新たな才能の開花につながるなど多くのメリットがあると言います。

菅野智之投手

僕も強豪校といわれる東海大相模で3年間、やらせてもらいましたけど、高校野球のチームでプロ野球みたいに中継ぎだったり、抑えのスペシャリストがいたかなって。これまでの長い歴史をずっとたどって。高校野球でも分業制でやっているチームはありましたけど、すごいピッチャーが1人いると、監督もそのピッチャーを投げさせたいと思うでしょう。


ピッチャーは、部員の中で一番人数が多くてポジションに対する比率としては、たぶん一番倍率が高い。球数制限を導入したら、ちょっと言い方は悪いですけど2番手、3番手のピッチャーを育てざるを得なくなる。そうなってくると、じゃあエースの子は必ず6回までにして、7回8回9回は継投で、しっかり抑えのすごいピッチャーを作ろうということになる。先発ピッチャーとして長いイニングを投げることに対してはパフォーマンスを発揮できない選手もいると思うんですよね。
 

だからそういう選手が出てくれば、もっともっと野球界の発展というか、プロに入っても1年目から抑えをやったりとか、中継ぎのスペシャリストみたいな人が出てきてもおかしくない。球数制限をすることによって、そういう人たちの可能性を引き出してあげられるというところに、すごく注目したいです。

球数制限があることで、ピッチャー1人1人の適性を生かした役割がより明確となり、最大限に力を発揮することにつながるというのです。

菅野智之投手

正直、先発やる人のランニングなどトレーニングメニューは中継ぎと違う。先発はある程度、持久力が必要ですし、筋持久力も必要です。


でも中継ぎは持久力というよりも、瞬発力とか重いものをパッと上げるように一瞬で力を出し切るパワーが求められる。最初から中継ぎでやってみようと言われて、3年間そういうトレーニングをやると、ちょっと違ってくるのでなかなか面白くなると思うんですけどね。

強豪校以外にもメリット

さらに球数制限は、強豪校とは言えないチームの選手にとっても新たなチャンスが生まれると考えています。

菅野智之投手

ピッチャーが何人もいる強豪校ばかりじゃないというのはわかります。ただ試合に出られるのは1つのポジションで1人。野手では試合に出られない選手がいると思うんですよね。


そういうときにピッチャーだと可能性がある。球数制限で代わらなきゃいけないんだったら、そこに頑張れば食い込めるかもしれないと考えれば、選手ファーストというか、すごくいいアイデア。

菅野投手が語ったことばには、選手1人1人が試合で実力を存分に発揮できる環境の中で、3年間の高校野球を悔いがないようにしてほしいという願いが込められています。

林田健太

平成17年入局。横浜局、静岡局、大阪局を経て、スポーツニュース部。昨夏はサッカー担当としてワールドカップ日本代表を取材。今度は、巨人担当としてチーム7年ぶりの日本一を見届けることができるのか。

                   
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