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NHKスポーツオンライン

    • 2018年01月29日(月)

    "がん"からの復活を 広島カープ 赤松真人選手

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プロ野球は2月1日に一斉にキャンプイン。

 

セ・リーグ3連覇と34年ぶりの日本一を狙う広島には、"がん"からの復活を目指す選手がいます。


走りと守りのスペシャリスト、赤松真人選手。35歳。


日常生活を送ることすらままらなかった苦しい時期を乗り越え、キャンプでは2軍のメンバー入りを果たしました。


これまでになかった思いが自分自身を奮い立たせていると言います。

 

(広島放送局 坂梨宏和記者)

 

 

 


俊足と守備で25年ぶりのリーグ優勝に貢献!

 

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赤松選手は平成16年にドラフト6位で立命館大学から阪神に入団。

 

3年目のシーズンオフにフリーエージェントの権利を行使して広島から阪神に移籍した新井貴浩選手の補償として広島に移りました。

 

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移籍1年目の平成20年から俊足と守備力の高さを評価されて125試合でプレー。


続く2シーズンも100試合以上に出場し、チームに欠かせない戦力となりました。

 

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おととしは、試合終盤の競った展開で代走や守備固めとして起用され、いぶし銀の活躍で25年ぶりのリーグ優勝に貢献しました。

 

 

 

胃がんが発覚 復帰を諦めようとしたことも

 

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ところが歓喜の瞬間を味わったその年の12月、妻に誘われて人生で初めて受診した人間ドックで胃がんであることがわかりました。

 

「自覚症状がなかったので、信じられなかった」

 

翌月には手術で胃の半分を摘出


"がん"はリンパ節に転移していて、医師からはこのままだと5年後の生存率が50%程度と告知されました。


すぐに抗がん剤の治療を始めましたが、この副作用が強烈で何度も復帰を諦めようと考えたといいます。


抗がん剤治療は、効果がある半面、副作用も強いとされる点滴と飲み薬を併用するものでした。


治療した半年間は体がだるく、1日中、横になったままだったり、突然、吐き気に襲われたりと日常生活もままなりませんでした。


そして去年夏にはプロ野球選手としては細身の赤松選手の体重が10キロ近く落ち、70キロを割り込みました。

 

「胃を切ってご飯食べるのだけでもしんどいんですよね。そこに抗がん剤なんですよ。ご飯も食べられないし、でも食べないとやせるし、食べたら吐いちゃうし、食べておなかの中にたまってもすぐ下痢になっちゃうし。その繰り返しですよね。そして高熱も出るし」

 

 

 

闘病生活を支えたのが同じ病気を持つ人からの励まし

 

「ご退院おめでとうございます。 さすがアスリート!ご退院も早いですね。地元カープファンであり、今回、ご病気を公にされてから、手術の成功、ご回復をずっと祈ってました。私も34歳で胃がんが発覚、初期でしたが「印環細胞がん」というちょっと悪いタイプのがんだったので胃を半分とり、もう10年たちます。食べることの苦労がしばらく続かれると思いますが、持ち前のアスリート魂で克服してまた私達ファンの前にお元気な姿でカッコよく戻って来てください。赤松さん、ファイト!

(赤松選手のブログに寄せられたコメントより)

 

そんな苦しい闘病生活を支えたのは、赤松選手と同じように大きな病気を患った人からの励ましでした。


赤松選手のブログには、ファンだけでなく、数多くの闘病中の人からもコメントが寄せられました。

 

注目されるプロ野球選手だからこそ、がんを克服し、グラウンドで元気な姿を見せたい。

 

そうすることで、病気を患っていて、社会復帰を目指す人を勇気づけられるのではないかと考えるようになりました。

 

「同じ病気とかそれ以上の病気をされている方々もすごいたくさんおられるんですけど、そういう人たちのためにも僕が頑張らないといけない。代表して背負うと言うわけではないですけど、僕の動いている姿を見て『あいつ頑張っているから頑張ろうかな』と少しでも思ってくれればいいなと、勇気を与えられる存在になるというのが僕の目標ですよね」

 

 

 

体力面で不安 それでもチームは戦力として契約

 

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抗がん剤治療を終えた赤松選手は去年7月、球団施設でリハビリを兼ねた練習を再開。

 

自分が想定していたよりも早く打撃練習を始めることができました。


ただ胃を半分切除したことなどで体力面に不安を感じています。


球団は、「チームは1つの家族。がんという大きな病気からの復帰を後押ししたい」として、戦力とみなし支配下登録の選手として今シーズンも契約を結びました。

 

「昨シーズン、何の戦力にもなってない男、病気の選手に対して契約をしてくれるっていうのは ありがたいことですよね」

 

 


再び1軍の戦力へ 強い思いでキャンプへ

 

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赤松選手は今月、手術後、初めての内視鏡を使った検査などでがんの再発は見られず、2月1日から始まる春のキャンプに2軍のメンバーとして参加することが決まりました。

 

"がん"からの復活に向けスタートを切った赤松選手の最終的な目標は再び1軍の戦力になることです。


そして闘病中の人やファンのために、"本拠地・マツダスタジアムで持ち味の俊足を生かして盗塁を決める姿を見せたい"と、プロ14年目のベテランは強い思いでキャンプに臨みます。

 

「今はみんなと野球ができるというわくわく感がある。ただキャンプが始まると、ホテルの部屋に1人になることもあるので、体調が悪くなったらどうしようという気持ちも正直ある。キャンプでは全体練習に、自分がついていけるかどうかが一番のポイント。自主トレーニングだと、しんどいと思った時には自分の判断で休むことができるが、キャンプではそうはいかない。期間中にひとつずつ階段を上がっていって、次の目標を見つけていくようにしたい」

 

  • 坂梨宏和記者

    • 坂梨宏和記者
    • 広島放送局記者  平成21年入局 福岡県出身  去年7月から広島局で広島カープを中心にスポーツ取材を行う