放送した内容・危険度チェック結果

ふだんは穏やかな血圧が、まるで大波のように変動し血管にダメージを与える“血圧サージ”。大切な臓器にダメージを与え、命にかかわる病気のリスクを高めることが明らかになってきました。どう予防・対策すれば良いのでしょうか?

(注)番組では、通常の変動とはタイミング・大きさが異なる血圧の変動のことを総称して“血圧サージ”と呼んでいます。医療用語ではありません。

健康診断ではわからない?“血圧サージ”とは

健康診断や医療機関での測定などで、血圧が一定値を超えると診断される「高血圧」。ところが、健康診断では正常なのに、一日のあるタイミングだけ血圧が異常な上昇・下降を繰り返すことがあり、それが病のリスクとなっていることが分かってきました。
健康な人でも、血圧は1日のなかでゆるやかに変動しています。朝から日中にかけては、体を活動しやすくするために上昇、夜は休息のために低下します。
この変化を司る「交感神経」の働きが何らかの要因で異常になると、朝に必要以上に血圧が高まったり、休むべき夜に下がらなかったりしてしまいます。その結果、異常な乱高下が生み出されてしまうのです。

脳卒中・心臓病の引き金に?

“血圧サージ”は一回起きたからといって何らかの病気になってしまうわけではありません。しかし最近の研究で、“血圧サージ”が長い期間にわたって頻繁に繰り返されると、脳や心臓に関わる病気のリスクが高まることがわかってきました。
3年前に発表された、日本全国の21000人以上を調べた研究(※1)では、日中の血圧だけが高い、いわゆる高血圧の人の場合、脳卒中や心筋梗塞のリスクは正常のおよそ1.4倍でした。
ところが、日中の血圧は正常にもかかわらず朝だけ高い“血圧サージ”が疑われる人の場合、リスクはおよそ2.5倍になることがわかったのです。

どう見極める“血圧サージ”

健康診断や医療機関の血圧測定では見つからないこともある“血圧サージ”。自分におきているかどうか、どうすればわかるのでしょうか?
最良の方法は、家庭で自分の血圧を測ってみることです。
測定のタイミングは、交感神経が活性化しやすく、“血圧サージ”が起きやすい早朝がオススメです。
朝、目覚めた後にトイレを済ませ、起床後1時間以内に血圧を2回測り、その平均値を記録します。最高(収縮期血圧)が135mmHg以上、最低(拡張期血圧)が85mmHg以上の数値がひんぱんに出るようであれば、リスクがあるといえます。 後段でご紹介する”血圧サージ”の対策を試してみることをお勧めします。

さらに、もともと高血圧のかたは“血圧サージ”の影響がでやすいので要注意。5日間、朝に血圧を測り、最も高い値と低い値の差が20mmHg以上あるようなら注意が必要です。のちほどご紹介する対策を実行していただくほか、記録を持って医療機関で専門家の指導をうけてみられても良いかもしれません。

今回、NHKでは専門家の協力を得て、自分の“血圧サージ”危険度を調べられるチェックテストを作成しました。もし、このテストでリスクありと出た場合、ぜひ「家庭での血圧測定」を行ってみてください。

どう対策する“血圧サージ”

まず大事なのは、自分の血圧がどんな状態にあるか、把握することです。ご自宅で定期的に朝などに血圧を測定すると、”血圧サージ”がおきているかどうか、どんなときに起こりやすいかが見えてきます。

そのうえで対策としては、いわゆる高血圧の改善に効果があるとされる「有酸素運動」や「減塩」などを心がけることが基本になります。また、今回取材した専門家によれば、“血圧サージ”が起きやすい「朝の生活習慣に気をつける」ことも有効だということです。
「食事」「急な運動」「ストレス」などは、ともに交感神経の活動を高めます。そのため、例えば平日の朝に「ギリギリまで寝て、食事をかきこんで走って駅まで行き、満員電車でストレスを感じる」ような場合、交感神経を興奮させる引き金が重なるので、血圧が大幅に高まって“血圧サージ”を引き起こしかねません。
そこで対策として、ほんの少しだけ早起きして、食事をとったあと一服のお茶でリラックスしてみてはいかがでしょうか。いちど交感神経の興奮が収まるので、血圧の急激な上昇を防げると期待されます。

また番組では、いま注目される血圧の改善法として、「ハンドグリップ法」を紹介しました。全力の30%の力で何かを握ることにより血圧を改善する方法で、アメリカ心臓学会の運動療法などのガイドライン(※3)でも「グレードⅡB(さらなるデータの蓄積が求められるが、おそらく推奨できる)」と位置づけられています。
番組で取材した専門家は、折りたたんだタオルを握ることで全力の20~30%になることを突き止め、実際の高血圧患者への指導に活用しています。詳しい方法は、下記の画像を参考にしてください。


(監修:久代登志男さん 日本大学客員教授)

ここに注意!

握る際に呼吸を止めないでください。息をとめて力むと血圧が上がってしまう恐れがあります。


タオルは縦30cm・横80cmの一般的なフェイスタオルを使用


横に2回、縦に1回折る


丸めて握る。親指と他の指がつかないようにするのがポイント。

握るのは1回2分。それを、左手と右手で2回ずつ行います。それを2日に1回、4週間以上続けると効果が期待できるようです。

参考文献など

※1 Home blood pressure and cardiovascular outcomes in patients during antihypertensive therapy: primary results of HONEST, a large-scale prospective, real-world observational study.
Kario K et al. Hypertension. 2014 Nov;64(5):989-96.

※2 Impact of Ambulatory Blood Pressure Variability on Cerebral Small Vessel Disease Progression and Cognitive Decline in Community-Based Elderly Japanese
Yamaguchi Y et al. Am J Hypertens. 2014 Oct;27(10):1257-67.

※3 Beyond medications and diet: alternative approaches to lowering blood pressure: a scientific statement from the american heart association.

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