地球の7割を占める広大な海。そのなかで最も豊かな海が広がるのが、陸沿いに広がる沿岸だ。海全体のわずか8%にしかならないが、サンゴ礁、巨大な海藻の海など、多様な海の生き物の多くが集中している。特に深海の栄養がわきあがってくる「湧昇域」では、おびただしい魚の群が、磁石のように捕食者を呼び寄せる。熱帯の海から極地まで大回遊するザトウクジラ母子の旅。インドネシアのサンゴ礁に繰り出す謎のウミヘビの群れ。オットセイを狙う海のハンター・ホオジロザメなど沿岸の海にひしめく命が繰り広げるドラマを描く。
南太平洋、トンガでザトウクジラの親子の撮影に挑んだのは、カメラマン、ダグ・アランと妻のスー・フラッド。撮影中に飛んでもないハプニングが起こった。好奇心旺盛な子クジラが、スーさんに近づいてきて、なんとドンとぶつかったのだ。「クジラは新生児でも体重は1トン以上。大型ハンマーで打ちつけられるような感じだった。足首と太ももを強く打ち骨折したかと思った。あまりに痛さに、思わずカメラを手放してしまった。」
南太平洋の青く澄み切った海に落下していくハイビジョンカメラ。そして傷ついた妻。どちらから先に助けるべきか?夫のダグ・アランは究極の選択を迫られた。なんとダグはカメラを選んだ。
「水の透明度も高く、クジラ親子の状態がよかったからね。またというチャンスを逃すわけにはいかない。」とダグ。幸いスーさんの怪我は打撲程度だった。でも、その後、夫婦仲はどうなったのだろうか