NHKスペシャル

第48回科学技術映像祭 内閣総理大臣賞 アンコール
神秘の海 富山湾
海の中までアルプスがつづく

暗闇に光るイカ、一万年前の太古の姿を留める海中林など、多くの特異な自然現象で知られる富山湾。こうした現象だけでなく、「水を飲む魚」「竜宮からの使者」など幾つもの伝説が浜の漁師の間では語り伝えられ神秘あふれる海と言われてきた。
さまざまな不思議な現象や伝説をひも解くと、いずれも、標高三千メートルの北アルプスから続く急峻な斜面が深さ一千メートルという海の底まで一気に到達するという世界的に希な、ダイナミックな地形の構造に答えがあることが判ってきた。さらにこの高低差をつなぐ世界でも有数の量を誇る湧水などの影響が加わり、数百種類とされる富山湾の豊かな生態系を生み出すのではという研究も進んでいる。
去年、全国から研究者が富山湾に集結。暗闇での微細な観察を可能にする高精細感度ハイビジョンカメラを備えた無人潜航機「ハイパ-ドルフィン」による調査が史上初めて実施され、世界でまだ2例しか確認されていない珍しい深海生物など新たな研究成果をあげたが、まだまだ富山湾の海中世界の解明は道半ばである。
番組では、21世紀の科学でも未だに解ききれない、富山湾の神秘的な魅力をあますところなく描く。

※2006年3月11日に放送した番組です。