NHKスペシャル

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大アマゾン 最後の秘境

第4集 最後のイゾラド 森の果て 未知の人々

8月7日(日)午後9時00分

あなたは「イゾラド」を知っているか?アマゾンの密林に住む、文明を持たない最後の原住民たち

あなたは「イゾラド」という言葉を聞いたことがあるだろうか?

南米で「イゾラド」といえば、”隔絶された人々”という意味を持つ。そう、原初の先住民たちである。もっとも、「イゾラド」当人たちは自らがそのような名前で呼ばれていることを知らないだろう。

彼らは文明社会と一切の関わりを持たない。2016年においても、洋服を着ないし、武器は主に木製の弓矢か、槍を使っている。イギリスがEUを離脱したとか、世界中がポケモンに夢中になって歩きスマホが問題だとか……我々の耳に当たり前のように入ってくるありとあらゆることは、当然ながら一切知る由もない。

これが、かつて近隣の村人によって撮影された「イゾラド」たちの姿である。

彼らの住んでいるであろう集落から、ほかの「自分たちに似た生き物」がいることに気づき、男だけで「こちら側」に向かってくる。集落にいるはずの女や、幼い子どもはいない。だとすると、闘うつもりなのだろうか。しかし……あまりにも丸腰である。

……顔が、あまりにも似ていないだろうか?

この二人だけではない。みんな、区別がつかないほどにそっくりである。

それもそのはず。コロンブスがアメリカ大陸を発見したのが、1492年。

信じがたいけれども、そこから500年余り経過した今でも、外からの血が混ざることなく、近い親戚同士で子孫を育み続けているからであろう。日本でいえば、室町幕府の時代から現代に至るまでずっと、というだけの長い長い年月だ。

いや、500年どころではない。彼らが一体いつからここアマゾンの密林で暮らしているのかは、なにも明らかになってはいない。彼らを語るには、あらゆる事象を想像で補うことしか出来ない。

文明社会を襲う、イゾラドたち

この青年は、ブラジルの奥地にある集落に住んでいた。彼は、かつてイゾラドに襲われた。

この写真を見て欲しい。イゾラドの集団が、木製の矢を手にしている。部族によって形状は異なるが、彼らの武器はおおよそ「槍」か「矢」である。

青年の腹には、イゾラド放った矢によって射抜かれた跡が残っていた。腹から刺さった矢は、脇腹の方へと胴体を突き抜けたのだ。

矢には、毒が塗ってあったが、青年は奇跡的に一命をとりとめた。しかし、「やめてくれ、敵意はない!」という言葉すら、通じることのない相手である。青年はその後もずっと安眠することは出来ず、イゾラドに襲われる恐怖と隣り合わせで暮らしているという。

これは、イゾラドに襲われた小さな村の光景だ。村民たちが命からがら逃げた後……。

村民たちはイゾラドと出くわすと原住民の言葉で「友よ!」と叫ぶ。身振り手振りでコミュニケーションを試みる。親しくなれたと思うこともあったようだが、イゾラドたちの思考を理解することは出来ない。

侵略するのか、侵略されるのか

野蛮な原初の部族だと、恐れられるイゾラド。しかし500年以上前の南米は、様々な動物とイゾラドたちが自然のままに暮らす、楽園だったのだろう。

アメリカ大陸発見後。開拓民によって、不法な伐採業者によって、黄金を採掘するガリンペイロによって……イゾラドの生活圏は脅かされ、奪われてきた。

自らの村が侵略され続けるという歴史は、どんなに恐ろしかったことであろうか。彼らが、文明側の人間に向けてどんな気持ちを抱いているのだろうか。

500年前から今に至るまでの、イゾラドの生息地の減少はご覧の通りである。今、南米の5か所だけに確認されるイゾラドは、最後の生き残りだ。

過去に、ペルー政府は幾度となくイゾラドとの接触を試みている。果実を運び、近しい原住民の言葉や、ボディーランゲージを使ってコミュニケーションを取る。彼らを文明化社会に適応させよう、という動きもある。

しかし、文明社会と接してこなかった彼らは、文明側の人間と会話をすること、握手をすることも毒になり得る。免疫がなく、外界との交流によってイゾラドの一族を死に至らせてしまうこともあるのだ。

文明側の人間は、彼らにとって「敵」であるか「味方」であるか。

「イゾラド」と呼ばれる人々を、文明社会に取り込むことは、果たして正解なのだろうか。

「最後のイゾラド」

NHKスペシャルの取材班は「最後のイゾラド」とも言われている希少な存在を追うため、アマゾンの密林へと取材に行った。テレビ局が滞在するのは、空前の事態であった。

指揮をとるのは、150日間も南米の先住民族「ヤノマミ」と共同生活したり、黄金を求める無法者の集まり「ガリンペイロ」に密着取材を行ってきた、国分拓ディレクターだ。

南米での取材を長年共にしてきた菅井禎亮カメラマンと共に語る、彼らの命を懸けたイゾラドへの取材の日々は、こちらのインタビューで伝えている。

取材先は「未開の先住民族」。NHKのディレクターが挑む、アマゾンに暮らすイゾラドたちへの取材

これまで3回にわたって放送してきた「大アマゾン」の最終回を締めくくる、「最後のイゾラド 森の果て 未知の人々」は、8月7日(日)午後9時、NHK総合にて放送予定だ。(テキスト:塩谷舞)

8月7日(日)午後9時00分

第4集 最後のイゾラド 森の果て 未知の人々

NHKがこれまでに撮影した“元イゾラド”の映像はこちら

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