NHKスペシャル

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大アマゾン 最後の秘境

第2集 ガリンペイロ 黄金を求める男たち

5月8日(日)午後9時00分

娼婦と、食事係の女と、村に残してきた愛しい妻。

アマゾンの奥地、最後の街から舟で5日もかかる、とある場所。いくつもの滝を遡ってやっとたどり着くのが、ガリンペイロ(=金を掘る者ども)たちの集落です。

彼らは夜明けから日没までただひたすら黄金を探し、掘り続けます。夜は晩酌をする体力も残らず、明日の過酷な労働に向けて小屋で眠るのです。疲れ切った身体を休めるはずの小屋は、蚊やブヨ、白アリ、ゴキブリにサソリ、タランチュラ、そして毒蛇が現れるような劣悪な環境……。

テレビやパソコンはもちろん、携帯電話を持つガリンペイロもいません。外界とつながる電子機器といえば、ザーザーと雑音が混じるラジオと、何キロも離れた拠点にある1台の古いテレビだけ。毎日同じメニューの飯を食い、夜はただ疲れて眠るだけ、という環境の中 一生、訪れないかもしれない一獲千金を夢見て、何年も、何十年も、泥だらけになって穴を掘り続ける男たち。

欲望にとりつかれたような彼らのぎらぎらとした目は、そこにいる数少ない女たちに向けられます。ガリンペイロが接する女は、「娼婦」と「クイジネーラ」の二種類。前者はその名の通りですが、後者は料理係のこと。

ガリンペイロと女たちの間には、どんな物語があるのでしょうか。

カネの集まるところには女も集まる

1970年代後半に始まった、アマゾンの中で起きたゴールドラッシュ。

「スコップ一振りで2億円以上の金を当てたヤツがいるぞ!」

そんな嘘のような美味しい話にひきつけられて、100万人、いや200万人ともいわれる数の男たちがアマゾンに殺到しました。

それだけの男が集まれば、どこからともなくやって来るのが娼婦たち。ガリンペイロの拠点となる街では最盛期に1,000を越える娼館が立ち並び、瞬く間に「金鉱掘りと娼婦の街」が出来上がったといいます。

過酷な労働環境ながらも、街場で働く者よりもずっと羽振りが良いガリンペイロ。今も彼らの金を目当てに、日曜日になるとジャングルの奥深くにある集落に現れる女たちがいるのです。

「平日に稼いだ金は、すべて週末に使い切る」

それが、ガリンペイロの常識です。週末は一日中踊り、飲み狂い、夜になると気に入った女を選んで小屋に消えていきます。

穴だらけの小屋にカメラ向けても彼らは気にも留めません。その束の間の快楽に浸るだけのガリンペイロもいれば、一人の女を追い求め、プロポーズをするガリンペイロも……。

どれだけ酒と女とドラッグに溺れようと、ここでは誰も咎める者はいません。ただ、働かなければ仲間に殺られるかもしれない。それが彼らの日常です。

ガリンペイロたちに食事を作る、クイジネーラたち

ガリンペイロの集落で毎日働く女たちもいます。

彼女たちの総称は「クイジネーラ」。食事を作る賄い婦として、村から出稼ぎに来ている若い女性がほとんどです。

(c)Eduard MAKINO

取材班の食事係として、村から一緒に来てくれた40代後半の女性がいました。彼女は金鉱山に来るのは初めてでしたが、非常に気が強く「小屋だろうとジャングルだろうと勤め上げるわ!」と口にしていたものの、たった3日で音を上げて帰ってしまったのです。

(c)Eduard MAKINO

それもそのはず。ガリンペイロたちは、その女性を目にすると「あたらしい女が来た!」と喜び、彼女の横にハンモックを吊って、なんと全裸になったのです。それは 「お前が応じるまでここで待つ」という意思表示。毎日そんなアピールを受け続けては、彼女が退散してしまうのも仕方のないこと。

娯楽の少ないガリンペイロにとって、クイネジーラは興味関心の的。離れた場所にある集落に美人のクイネジーラが来たと聞けば、そこに引っ越すガリンペイロもいるし、一人のクイネジーラを取り合って殺人が起きることもあるんだとか……。

彼女たちには毎月約12万円が、黄金で支給されます。楽な仕事ではありませんが、アマゾンでは十分暮らしていける給料です。

ガリンペイロたちの噂話によると、だれもが虜になるほどの美貌の持ち主で、4000万円以上を稼いで金鉱山を買ってしまったという伝説のクイネジーラもいた……とのこと。

村に残してきた、愛しい妻

殺人などの罪を犯して社会からドロップアウトした結果ガリンペイロになった者もいれば、手取りの良い仕事目当てに単身赴任をしているガリンペイロもいます。

どんなガリンペイロも、集落にたどり着いて最初にやるべき仕事は、自らが住まう小屋作り。

とはいえ、森から木を切り倒して骨組みを作り、ビニールシート(思いの他高い値段で、集落にある売店で販売されている)を購入して天井にかぶせるだけ。半日ほどでその小屋は完成します。

(c)Eduard MAKINO

単身赴任でこの集落にやってきたばかりの若いガリンペイロは、取材班にこう言いました。

「今は小さく粗末な小屋だけど、ここで稼いで3倍くらいの小屋に建て替えたら、街で待っている妻を呼ぶんだ!」

その発言を聞いた年上のガリンペイロたちは大笑いし、「ここに嫁さんを連れて来きたら、すぐに男たちが手を出すぜ」と彼をからかい続けました。彼はまだ20歳。愛しい妻を1日でもはやくここに連れて来たい。でも、そうすると野蛮な男たちに奪われてしまう……そんな状況に塞ぎ込んでしまったのです。

しばらくして、気を取り直したのか、諦めたのか……若いガリンペイロはこう口にしました。

「もし浮気されたら、アイツはここで娼婦になればいいさ。取り分は俺が7でアイツが3だ。どんな手を使ってでも、俺はここでヘイ・ド・オーロ(金の帝王)になるんだよ」

5月8日(日)午後9時00分

第2集 ガリンペイロ 黄金を求める男たち

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