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豪雪災害

第5回  2018年初頭の大雪 ーその特徴と雪害ー

執筆者

上石 勲
防災科学技術研究所雪氷防災研究センター センター長
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福井県内の大雪と大きな被害

平成30年(2018年)の1月~2月、福井県などの北陸地方や新潟県、山形県や秋田県などの東北地方、北海道など各地で大雪となりました。

福井県内では、1月10日と2月8日前後に2回の大雪があり、どちらも大きな被害が出ました。気象庁のアメダスの福井観測点(福井市内)では、積雪深が140cmを超え、昭和56年(1981年)以来36年ぶりの大雪となりました。また、山間部の九頭竜(くずりゅう)観測点(福井県大野市九頭竜)では3mを超える積雪となりました。

福井県あわら市、坂井市では、2月6日から8日にかけての大雪で約1500台の車が立往生し、交通や物流に大きな影響をもたらしました。【写真1】は、立往生が解消した後のあわら市内の国道8号の状況です。両側が斜面となっていたり、家屋が連担(*1)していたりと、道路脇に除雪した雪を貯めておくスペースを確保できず、機械除雪しにくい道路の構造となっています。立往生が長期化した要因の一つは、このような道路の構造かも知れません。さらに福井市では、雪に埋まった車の中から、一酸化炭素中毒のため死亡していた運転者が発見されました。

(*1)区画をまたいで建築物や街区がつながっていること

福井市では2月16日の段階でも雪が道路脇にうず高く積まれ、自動車や歩行者の安全な通行が危ぶまれる状況が見られました。

気象庁のアメダス観測点の記録では、2月5日と6日に、1日の降雪量が50cmを超え、2日間で積雪が1m以上も増える集中的な降雪となっていました。この集中豪雪が、車の立往生、農業用のハウスや建物などの倒壊につながった直接的な原因です【図1】。

福井県の山間部でも大雪となり、大規模な雪崩も発生しました。雪崩は2月7日に発生し、道路を一部埋めています。雪崩はダム湖の上にも達し、流れた総距離は2kmを越えました【写真2】。

3月9日にも雪崩が発生したという情報があり、山間部では融雪期に入っても雪崩に留意することが必要だということです。

新潟県や北海道でも集中した大雪

今年の冬は、新潟県でも大雪となりました。
1月10日~12日は、新潟県の中越から下越(かえつ)にかけて大雪となり、新潟市では1月11日は45cm、12日には39cmと2日続いて大雪となり、最深積雪も80cmを記録しました。

1月11日には三条市内のJR信越本線で普通列車が大雪のため動けなくなり、15時間にわたり乗客が閉じ込められました。三条市内の降雪の記録を見ると、雪の降り方が1時間あたり3cm~7cmという非常に激しい状態で7時間以上継続したため、積雪も一挙に70cmとなっていました。福井県と同様に、このような「集中した降雪」がいろいろな影響や障害をもたらしたようです【図2】。

長岡市では1月末から2月初めにかけても大雪となり、長岡市にある雪氷防災研究センターでも2月7日の日降雪量は80cmと、過去48年間の冬期の記録としては5番目の多さとなりました【図3】。

2月9日には長岡市与板地区の市街地のアーケードが雪の重さによって倒壊しました【写真3】。

1月~2月にかけて、気温も低く、北西の風向よりも西寄りの強風が吹いたため、長岡市内の屋根に雪庇(せっぴ)が張り出しているところも多く見受けられました。

北海道でも大雪の所が多く、旭川市の隣の幌加内町(ほろかないちょう)では2月24日に313cmと、これまでの北海道の最深積雪記録を48年ぶりに更新しました【写真4】。

2018年3月8日現在の気象庁のアメダス観測点における今冬の総降雪量(日降雪量の累計)の平年比を見ると、前述した福井県や新潟県のほかに、山陰、東北地方、北海道などの各地でも平年より雪が多くなっています【図4】。

このような大雪の後は、急激に温度が上昇したり雨が降ったりすると、融雪(雪どけ)による住宅浸水や道路の冠水、雪崩の災害も起きやすくなります。大雪の状況だけではなく、その後の天候の変化にも留意することが必要なのです。

除雪中の事故を防ぐ取り組み

3月9日現在、この冬の大雪で全国では103人の方が死亡し、582人の重傷者が出ています(消防庁調べ)。このうちの大半は除雪中の事故によるものです。第3回コラム「雪の性質と最近の雪の災害」の第4章(*1)でも触れていますが、除雪作業を行なう際は、

・屋根雪などの落下や、屋根雪による建物倒壊を警戒する
・側溝は雪が降ると見えにくくなるので、転落に注意する

などの注意事項を、ぜひ守っていただくようお願いします。
また、防災科学技術研究所では「積雪の重さの情報も、事故を防ぐためには重要」と考え、いろいろな気象観測データから積雪重量を計算し、その結果を「雪おろシグナル(*2)」として公開を始めました(新潟県、新潟大学との共同研究)。まだ新潟県内だけの対応ですが、このような情報も幅広く公開できるよう研究を進めています。

参考文献:
(*1)第3回  雪の性質と最近の雪の災害/上石 勲
(*2)防災科学技術研究所 雪おろシグナル(新潟県、新潟大学との共同研究)
https://gisapps.bosai.go.jp/seppyo/snow-weight-niigata/

(2018年3月30日 更新)