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豪雪災害

第1回  最近の雪の降り方とその備え

執筆者

上石 勲
防災科学技術研究所雪氷防災研究センター センター長
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過去50年の日本各地の積雪傾向

図1a~dは、その年で最も多く積もった雪の深さ(最大積雪深)についての、気象庁の観測点における過去50年分の記録です。山陰・北陸(図1a)、東海・甲信(図1b)、東北(図1c)、北海道地方(図1d)と地方ごとに示しました。昭和38年(1963年)には山陰(鳥取県米子市)、北陸(福井県福井市・富山県富山市)、東北地方で記録的な豪雪となっています。山陰や北陸では昭和61年(1986年)ごろまで雪の多かった年もあったのですが、平成(1980年代後半)になってから雪が少ない時期が続きました。特に新潟県上越市(高田)ではその傾向が強いようです。しかし、平成17年(2005年)からは雪が多くなり、平成18年豪雪(2005~2006年)、平成22~26年(2010~2014年)の大雪など、比較的雪の多い年が続いています。また、北海道では徐々に雪が増えているように見えます。

積雪に伴う災害(雪害)の実態

図2に示すように、今から10年前の平成18年豪雪(2005~2006年)では、雪の影響により281人の方が犠牲となりました(交通事故を含む、防災科学技術研究所調べ)。その3分の2は65歳以上の高齢者で、多くは除雪中の事故です。その前に比較的雪の少ない年が続いていたことも原因であると考えられます。
最近では、平成23~25年(2011~2013年)も3年続きの大雪となりました。このときも、平成18年豪雪と同様に、屋根に積もった雪を除雪する際の犠牲者が多くなっています。平成23年の大雪では、福井県や福島県で年末・年始に大雪となり、幹線道路(国道)が一時的に通行できなくなるなどの支障が出ました。

また、東日本大震災の翌日、平成23年(2011年)3月12日早朝には長野県北部地震が発生して、雪崩が同時多発するなど大雪と地震の複合災害となり、平成25年(2013年)3月には北海道で吹雪によって多くの犠牲者が出ています。さらに、平成26年(2014年)2月には、関東甲信地方から東北地方太平洋側、北海道道東地方の広い範囲で大雪となり、死者26人、負傷者1,000人以上、約1,700億円の農業被害、数千箇所の建物被害、150万戸の停電、130地区以上の長期孤立など、人的にも、物的にも、経済的にも大きな被害となりました。また、平成26年(2014年)12月には、徳島県や岐阜県高山市で例年に比べて早めの大雪となり、樹木が多く倒れるなどの被害も出ています。

過去のデータだけにとらわれず大雪の備えは万全に

図3は、新潟県長岡市の雪氷防災研究センターで測定している積雪深と積雪の重さの記録です。積雪深とは地面に雪がどれだけ積もっているか、積雪重量は、1m×1mの地面にどれだけの重さの雪があるかを測っているものです。平成26年(2014年)12月~平成27年(2015年)4月までの雪を見ると、積雪深は例年と変わらないのですが、積雪重量は過去の大雪の年よりも重たく、1月初めにはすでに、1平方メートルあたり400kgになりました。この重たい雪のために、全国で空き家が倒壊するなどの事故が発生しましたし、いつもより重い雪をスコップで除雪をして、腰を痛めた方も多かったと思います。
このように最近は、位置的にも時間的にも集中して大雪の災害が発生しています。過去の大雪災害の経験を生かしつつ、過去のデータを上回る大雪が降る可能性があることを意識して、雪害を少しでも軽減することが大切です。特に、冬の初めは、雪への準備が不十分であったり、雪に対する心構えができていない場合も多くあります。雪が降っても慌てないよう、冬用のタイヤへの交換や除雪道具の準備、防寒対策など早めの準備を進めましょう。

(2015年12月31日 更新)