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台風情報

第3回  台風第11号接近時の大雨を中心とした情報

執筆者

市澤 成介
元気象庁予報課長
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相次ぐ台風の発生と台風第11号の上陸

2015年7月の日本の南海上はにぎやかでした。月初めには3つの台風が相次いで発生し、10日には台風第9号が沖縄本島と宮古島の間を通って東シナ海に進みました。続いて台風第11号が日本の南海上をゆっくり北上して16日夜、四国に上陸しました。さらに、ハワイの南西海上で発生した熱帯低気圧が東経域に進んで台風第12号となり、西進を続け、26日に長崎県に上陸しました(図1)。この中で最も影響の大きかった台風第11号について、上陸前日から上陸前後の状況を、特に大雨について、徳島県を中心に発表された情報にも触れながら述べたいと思います。

上陸を目前にして発表された雨・風・波に対する警戒情報

7月15日夕刻、気象衛星は台風第11号が四国の南海上を北に進んでいる様子を捉えており、レーダーによる観測では、台風の最も外側の雨雲が紀伊半島南端にかかり始めていました(図2)。
15日昼前に気象庁予報部から、台風第11号に関する警戒を喚起する情報が発表され、「雨・風・波に警戒を要する期間」が示されています。これは、台風の影響が大きく現れる地方ごとに、警報級の現象が現れる危険性が高い時間帯を示したものです(図3)。この情報によると、早くから影響が現れるのは高波(図中・青色の矢印)で、次に雨や風への警戒が必要となるとしています(同・赤い矢印、黄色い矢印)。この中で、大雨への警戒が必要な地域は、台風の中心からかなり離れた関東地方にも及んでいます。台風進路予報では、大雨に関する警戒範囲を特定することができないため、大雨に備えてこのような情報に注意しなければならないのです。

気象庁予報部からは、防災事項を盛り込んだ情報も発表されますが、地方別の概略しか示されません。そのため雨・風の詳しい状況については、各地の地方気象台が発表する最新の気象情報に注意する必要があります。
一例として、徳島地方気象台が16時31分に発表した情報の一部を抜粋したものをご紹介しましょう(図4)。情報に示された600㎜や800㎜という雨量は、大雨の降りやすい四国東部でも記録的な大雨となることを予想したものです。この情報から、雨への備えや避難についても早めに行動をとる必要性があることが読み取れます。1時間あたり雨量も60mmや80mmと非常に激しい雨が予想されており、短時間強雨に対して警戒が必要であることがわかります。

台風が直撃、激しい雨が続く

台風に伴う雨雲は16日早朝から四国東部にかかり始め、昼前から1時間あたり10㎜を超えるやや強い雨が降り出しました。夕方になると一段と激しさを増し、1時間あたり50㎜を超える非常に激しい雨が降り続いています(図5)。特に激しく降ったのは台風の進行方向の前面で、台風に巻き込む風が山の斜面にぶつかる地域が中心でした。台風は、23時頃に高知県室戸市付近に上陸し、徳島県西部を北上しましたが、この中心の通過に伴って、風向きが変わり雨は峠を越えました。降り始めからの雨量は多い所で500㎜を超えています。この大雨により、徳島県では、土砂災害や浸水害が発生し、通行止め等の被害も出ました。
大雨時にはさまざまな情報が発表されますが、特に注意してほしい情報は次の3点です。

1.警報の発表状況の確認
第一は、地元気象台が発表する警報・注意報です。徳島地方気象台は先行して雨が降り続いていた一部市町村に17日6時30分に大雨警報を、11時20分には県内全体に暴風警報、大雨警報、洪水警報を発表し、台風襲来への厳重な警戒を呼び掛けています。
なお、台風の接近時、警報に先立って発表される注意報の中で、「警報発表の可能性」を示していることがありチェックする必要があります。
また、「台風第11号に関する徳島県気象情報」も随時発表され、台風の状況と、各地の雨風の状況等を伝えており、これにより今後の見通しなどを知ることができます。このほかにも1時間あたり100㎜前後の猛烈な雨が降ったときに発表される「記録的短時間大雨情報」にも注意が必要です。

2.土砂災害警戒情報
次にチェックが必要な情報は「土砂災害警戒情報」です。都道府県と地方気象台が共同で土砂災害の危険度が高まった市町村・地域を特定して発表します。この情報が発表される状況では土砂災害の危険度がかなり高くなっているため、急傾斜地の近くに住んでいる人は、すぐに適切な行動を取る必要があります。ただし、外に出ることが危険な場合もあるので、屋内で最も安全な場所に移動することも考えなければなりません。

3.指定河川洪水予報
もう一つ重要な情報は、主要な河川において、洪水の危険度が高まる場合に発表される「洪水予報」です。この情報は川を管理する国土交通省の機関あるいは県と気象台が共同で行うもので、特定の河川名を付して発表されます。台風第11号の大雨では、16日23時10分に「勝浦川水系勝浦川はん濫危険情報」、 17日02時20分に「那賀川はん濫危険情報」が発表されました。
河川名を付して発表されるのは大きな河川に限られます。そのため、この情報が発表される状況では、周囲の小河川もはん濫の危険性が高くなっている恐れがあると考え、この情報をチェックしてください。

台風の直撃を受ける場合、気象台からは大雨警報、洪水警報、暴風警報、波浪警報、高潮警報の5種類の警報が発表される地域があります。今回は、7月に発生した台風11号について主に大雨に関連した情報を取り上げましたが、その他の現象についても、気象台から発表される警報・注意報、情報を用いて、防災のための最善の対策を講じていただきたいと思います。

(2015年8月31日 更新)