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台風の基礎知識

第2回  台風に関する情報

執筆者

市澤 成介
元気象庁予報課長
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台風情報は切迫度に応じて発表される

「日本の南海上には非常に強い台風第〇〇号があって北西に進んでいます。台風は今後、次第に北に向きを変え、明後日以降日本列島に接近・上陸の恐れがあります」。こんなニュースを聞くことがあります。こんな時、台風の情報を正確に読み取ることが、その後の備えには重要です。
気象庁が発表する台風情報は、日本列島への接近に合わせて情報量が増大します。遠く離れた台風に比べ、接近・上陸が迫った状況では台風情報で知らせるべき事柄が多くなるためです。台風が発生してから、接近し上陸する。そして内陸部を進んでから海上へと進み、次第に遠ざかっていく。各段階でどのような情報が出されるのでしょうか(図1)。

台風発生時の情報

気象庁は北西太平洋域に台風が発生すると、台風情報第1号を発表し、「台風が発生した」ことをお知らせします。この時点で4、5日先までに日本付近に接近の可能性が無い台風については、海上を航行する船舶に対する情報を主に提供します。台風情報は、台風が発生した時点から3時間ごとに台風の中心位置や勢力の現況と24時間先までの進路予報を行います。また、6時間ごとに5日先までの進路予報も行います(第1回コラム「台風予報図」参照)。陸上や近海への影響がないため、一般向けには積極的な情報提供は行いませんが、台風の動向を知りたい場合は、気象庁ホームページや天気情報を提供しているホームページ等で見ることができます。

日本周辺に台風の接近が予想される場合の情報

日本周辺海域に台風の接近が予想されるようになると、気象庁の一般向けの台風情報の提供が始まります。台風の強さや影響の度合いに応じて、台風進路と強度の予想に加えて、雨、風、波などの影響が懸念される海域や地域に対する警戒を呼びかける情報も提供します。また、予報区ごとの暴風域に入る確率の時系列図の提供も始まります。一般の方々は、これを活用すると、暴風域を伴う台風がいつごろ接近するかも確認できます。
この時期からテレビのニュースや天気予報の時間でも台風情報が伝えられます。影響度が増大する状況では情報の発表間隔も密になりますから、常に最新の情報を使って適切な防災対策を講じてください。

接近・上陸の恐れが高まる場合の情報

台風の接近・上陸により、暴風・大雨・高波・高潮等によって被害が発生する恐れが高くなると、気象庁本庁の台風情報には、毎時ごとに台風位置の発表が始まり、12時間あるいは24時間刻みの進路予報に加え、3時間刻みの予想位置の提供を始めます。さらに各地の気象台からも情報や警報・注意報で台風への警戒を呼びかけます。
同じ勢力の台風が接近しても、例えば、日本付近に前線があるかないかで、雨の降り方が違ってきます。台風の進路とその地域の地理的環境によっても雨の降り方が違います。このため、気象庁本庁から発表される台風情報で、それぞれの地方の暴風や大雨の概略を把握するとともに、地元の地方気象台が発表する警報・注意報、情報により、暴風や大雨の地域的な偏りや激しくなる時間帯などを把握する必要があります。台風情報により台風中心の動きや勢いの盛衰を把握することができても、その地域で台風の影響を大きく受ける時間とは連動しないことがあるので、必ず地元気象台からの呼びかけに留意して適時、適切な台風に対する備えをしてください。
台風の接近・上陸の恐れが高い状況になると、テレビ等では台風のための特別番組や、文字スーパー(画面に表示される文字情報)などを使って刻々と変化する台風の現況と進路予報を知らせるほか、雨風が激しくなっていることも知らせます。
なお、台風の中心位置と進路予報の発表は観測時刻からおおむね50分程度後となっています。テレビ等で一般に向けて放送される際に、1時間前の台風の位置情報では防災対応上遅れが出かねないので、気象庁では、観測時刻から1時間後の推定位置を付加して発表します。テレビ等では、この1時間後の推定位置を使って「現在、○○市付近を通過中です」といった形で放送します。
台風の動きに合わせて刻々と変化する状況についても、情報に盛り込んでいます。九州、四国、本州、北海道に台風が上陸した場合や、島しょ部を台風が直撃した場合には、速やかにその旨を速報しています。

台風が通過した後の情報提供

台風一過と言われるように、台風の通過後は、急速な天気の回復が見られることがあります。しかし、雨が上がっても暴風や高波の影響が残ります。土砂災害の危険性が急になくなるわけではありません。このため、「まだ気を抜かないで」という情報の提供を続けます。一般向けの情報提供が終了するのは、台風による土砂災害や高波等の危険性が弱まったときです。
台風が温帯低気圧に変わることもあります。しかし、温帯低気圧に変わっても暴風が収まるわけではないので、「台風から変わった発達した低気圧に関する情報」等により、引き続き厳重な警戒をするよう呼びかけを続けます。

(2015年7月31日 更新)