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台風情報

第1回  台風予報図の見方

執筆者

市澤 成介
元気象庁予報課長
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台風予報図の表記

台風の動向を知るには、台風予報図を利用するのが一番です。ここに示す台風予報図(図1)は標準的な表示例(気象庁ホームページ版)ですが、気象情報を提供している機関によっては、これとは異なる表示をしているものも多くあります。しかし、基本となる要素の意味を理解していれば、どのような表現方法を取った図でも必要な情報を読み取ることができます。

台風予報図に示されている円や線は次のような意味を持っています。
【予報円】対象とする予報時間に台風の中心が進むと予想される範囲を円で表したもので、台風中心が予報円に入る確率はおよそ70%としています。この円の外に出る場合もあるのです。
【予報円中心】対象とする予報時間に台風の中心が進むと予想される範囲の中心を示すものです。ここで注意しておいてほしいのは、台風は必ずこの中心に進むものではありません。予報円内のどこに進んでもいいように対応することが大切です。
【暴風域】台風の周辺で、平均風速が毎秒25メートル以上の風が吹いているか、地形の影響などがない場合に吹く可能性のある領域を表します。平均風速が毎秒25メートル以上では、街路樹の倒木等も起こるような状況で、車の運転も困難となります。
【強風域】台風の周辺で、平均風速が毎秒15メートル以上の風が吹いているか、地形の影響などがない場合に、吹く可能性のある領域を表します。平均風速が毎秒15メートルでは、風に向かって歩けないほどの風です。台風の影響範囲として強風域を目安に使っており、強風域の半径が500キロメートル以上、800キロメートル未満の広がりを持つ台風を「大型台風」と言い、800キロメートルを超えるものを「超大型台風」と言います。
【暴風警戒域】台風中心が予報円内に進んだときに、暴風域に入るおそれのある領域を示します。気象庁ホームページ版の台風予報図には、予報円の外側を囲い込む形で示しますが、予報時間ごとに予報円の外側に、暴風警戒域を円で示す表現もあります。予報時間と共に暴風警戒域が広がっていますが、これは予報としての範囲が広がったもので、台風が勢力を増すことを表現するものではありません。予報時間の暴風域の大きさは、予報円半径と暴風警戒域半径との差(台風予報図で暴風警戒域の線と予報円の線の距離)で知ることができます。

台風進路予報の精度

24時間先の台風の予想位置は予報円を使って表現しています。これは、台風予報の精度を考慮して表現しているのです。台風は数100キロメートルの広がりをもつ現象で、中心部ほど現象が激しくなる特徴を持っています。このため、中心を特定することが大事ですが、反面、中心がずれることの影響も甚大です。よって予報精度に見合った予報円を使って、幅のある対応を行っているのです。
台風予報の精度の経年変化を見ると着実に向上していることがわかりますが、24時間予想で約100キロメートル程度の誤差幅を持っています。予報円半径はこの近年の精度を目安として、移動速度や存在する緯度帯等も考慮して決められています。

台風5日予報とは

日本付近で発現する気象現象の中で最強のものが台風と言えます。よって、台風の直撃を受ければ大きな被害が出る恐れがあります。このため、台風に対する備えに万全を期す必要があります。台風5日予報を活用することで、4日先、5日先の早い段階から台風の来襲への準備を始めることもできます。
しかし、現在の台風予報は72時間(3日)先までの進路予報と強度予報を行っていますが、4日先と、5日先については進路予報のみしか行っておらず、強度の予報は行っていません。このため、3日先までの予報に暴風警戒域があっても、5日予報図には暴風警戒域の表示はしません。これは、3日先に暴風域を伴う台風が4日先になくなるかの誤解を生まないよう、初めから表示しないのです。
表示方式の異なる2つの台風進路予報図を短絡的に重ねると、下の図のように暴風域を伴っていた台風が4日先に日本列島に接近するころには暴風域がなくなると誤解を生むような図となります。4日先の強度予報を行っていないことが明記されない限り、このような重ね合わせた表示はしないでいただきたいものです。

24時間詳細予報とは

台風が日本付近に接近すると偏西風の流れに乗って加速を始めることが多くなります。通常は12時間先と24時間先の予想位置を示していますが、接近し速度が速くなった台風の予報では自分の地域の上を飛び越える予報が出ることがあります。いつごろ最も近づくかがわかるよう3時間刻みの予想位置を示す、「24時間詳細予報」も発表しています。
3時間刻みの予報円を描くと予報円が8個並ぶ形になり、速度が遅いと予報円が重なりあって、どの円が何時間先の状況を示しているか読み取るのが難しくなります。このため、気象庁ホームページでは、この詳細予報については、下の2つの図を用意しています。一つは、6時間刻みの予報円を表現したものです、もう一つは、3時間毎の予報円中心を●で示し、予報円は24時間予報のみ描画し、中間の7つの予報円は省略し、進行方向に対して各予報時刻の予報円の右端と左端を包絡線で連ねて、70%予報円の範囲を示す方法を取っています。この予報によって、台風が自分の地域に最も近づく時間帯を押さえることができ、危険度の高まる時間帯には屋外の行動を控える等の効果的な対策が可能となります。

(2015年5月31日 更新)