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三浦市 神奈川県版ライドシェアの実証実験開始

  • 2024年4月22日

一般のドライバーが自家用車を使って人を有料で運ぶ「ライドシェア」。
都内など一部の地域でことし4月から始まる中、神奈川県と三浦市は、地域のニーズや課題を把握した上で本格的な導入を目指すため、実証実験を開始しました。

神奈川県で実証実験がスタート

4月17日。
神奈川県三浦市の三崎港近くの観光施設で、「ライドシェア」の実証実験の出発式が行われました。

式の中で黒岩知事は次のようにあいさつしました。

黒岩知事
神奈川県と三浦市が一緒になって切り開いた新たなライドシェアの世界が、いよいよきょうから始まる。夜飲みに行こうと思っても、「帰りのタクシーがないからやめとこうかな」と思ってた人が、帰りの足はライドシェアで確保できるということで、どんどん飲みに出かけてくれるということになれば、町がどんどんどんどん活性化してくる。そんな流れをぜひ皆さんとともに作っていきたい。この神奈川版ライドシェア、皆さんとともに育てていきたい。

このあと、実際にアプリを使ってライドシェアで配車を依頼し、自家用車に乗り込む実演が行われました。
タクシー会社の運行管理のもと午後7時から午前1時までの間、稼働します。

なぜ三浦市で?

こうして始まった、三浦市での夜間のライドシェア。
主体となって行う三浦市が目指しているのは、地域経済の活性化です。

三浦市はマグロの水揚げで有名な三崎港がある人気の観光地です。
しかし、採算がとれないなどやむにやまれぬ事情から、2年前地元のタクシー会社のうち1社が夜間の営業から撤退しました。
港近くの飲食店を中心に影響を受けているのです。

ドライバーを担うのは“地元民”

三浦市で始まった今回のライドシェアのドライバーを担うのは、市内在住か市内で働いている地元の人に限られます。

研修を受ける出口さん

そのひとり、出口彩さんです。
出口さんは三浦市で暮らし、ふだんは看護師として働いています。
夜勤がない日など空いた時間ならライドシェアのドライバーをできると考え、応募しました。

出口さん

夜勤もしているので夜は強いほうだと思います。三浦の町がすごく好きなので、三浦のためになるのであればちょっとやってみようかと思いました。クレームになりやすいところをちょっと気をつけたいというのと、あとは防犯面というか、いろいろなトラブルがあった時にどうするかっていうのは頭にいれておかないといけないと思いました。

出口さんら今回ドライバーを務める人は皆、自家用車を使って有償で人を運んだ経験はないため、事前にタクシー会社による研修を受けました。 

タクシー会社による研修会

研修会では、接客する時の注意点や、トラブルへの対応のしかたなどについて指導を受けました。

ドライバー初日

そして、実証実験が始まった4月17日。 

出口さんは、マイカーにマグネットタイプのステッカーを貼り、アルコールチェックと体温の計測を行ってから勤務に入りました。
配車はアプリで行われるため、ドライバーは自宅や、市内に設けられた専用の待機場所などで配車の依頼を待つことができます。 

出口さんのもとになかなか依頼は届きませんでしたが、待機を始めてから2時間余りが過ぎた午後9時45分ごろ、ようやく初めての依頼が来ました。 

出口さんは飲食店まで乗客を迎えに行き、事前にアプリ上で指定された目的地まで無事に送り届けていました。

出口彩さん
お客さんを乗せることやアプリの操作は初めてなので慣れないところもありましたが、わりとスムーズにできました。ただ、ふだんの運転とは違うということを意識しながら運転するので少し緊張もしました。子どもがいる私でも隙間時間で街のためにできることがあれば頑張りたいです。

「行政がモデル示して」

今回、三浦市で始まった「ライドシェア」の実証実験について、地域の交通計画に詳しい日本大学の大沢昌玄教授に話を聞きました。 

大沢昌玄 教授

大沢教授は、三浦市が設置した「ライドシェア」に関する会議の会長を務めていて、まず三浦市の現状について、次のように指摘しています。

大沢教授

残念ながら夜間人口で見ると元気がない状況になっています。電車で来たとしても観光施設がある三崎港までバスに乗って10分から20分程度移動しないといけないので、交通の便が担保されなければ、観光地としての三浦も危うくなってしまいます。

そうした中でライドシェアの実証実験が行われることについては、地域経済の観点から期待感を示しています。

移動できる担保があることによって外出して、さらに外出先から家に帰れる担保もあることによって経済活動が回る。ライドシェアを活用することによって経済や観光が回るとういうのは三浦市らしい取り組みではないでしょうか。

そのうえで、今月から都内などで始まったタクシー会社が運営主体となるライドシェアとは違って、県や市が関与して実証実験を行うという今回の手法については、今後、ほかの自治体にとってよきモデルケースになりうると話しています。

今回のような事業は、民間のタクシー会社にとって、最初のハードルが高くなかなか最初の一歩を踏み出すのが難しい。そういった中で、行政が最初に支援することによって民間が高いと感じるハードルをまず低くする。それがうまくいったら行政が手を引いて民間主体で行う。交通分野の官民連携がうまくとれたよいケースになるのではないかと考えています。

  • 関口裕也

    横浜局記者

    関口裕也

    2010年入局。福島局、横浜局、政治部を経て、2022年8月から再び横浜局。神奈川県政を中心に取材。

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