横浜市有数の観光名所の「山下公園」や「港の見える丘公園」。
市はこうした公園を含む、管理するすべての公園2700か所について、来年4月から全面的に禁煙にする方針案をまとめました。 背景や街の人たちの受け止めは?
横浜市の方針案によりますと、全面禁煙の対象は、子どもを含め多くの人でにぎわう「山下公園」や「港の見える丘公園」など、市が管理するすべての公園でおよそ2700か所に上ります。
市は今後、公園条例を改正して禁止行為の項目に「喫煙」を盛り込み、来年4月から全面禁煙にするとしています。
違反した場合は、5万円の過料を納める罰則の対象になります。
なぜ、公園を全面禁煙にするのか。
大きな理由は、横浜市が、子育てしやすい街づくりを進めていることです。
公園は、小さな子どもがいる家族連れなどが利用することも多い場所。
子どもたちが安全に、安心して遊べる環境にしようと、今回、全面禁煙に踏み切ることになりました。
横浜市の全面禁煙の方針について、「山下公園」を訪れる人たちからは、歓迎する声が多く聞かれました。
近くに住む、1歳の子どもがいる30代女性
「子どもへのたばこの煙の影響がすごく心配でした。
子どもを遊ばせていて煙が流れてくると場所を移動することもありました。
公園を禁煙にするのはすごくいいことだと思う」
ジョギングでよく訪れる、市内の60代男性
「最近は減ってきたが、近くでたばこを吸っている人がいるとすごく気になる。時代の流れからすればもっと早くやってほしかったが、今からでも、ぜひ全面禁煙にしてほしい」
仙台から観光で訪れた19歳大学生
「たばこの煙は、健康への影響が心配です。
公園には親子連れなどもいて周囲への迷惑を考えると、たばこを吸うのは遠慮してほしい」
一方、喫煙習慣のある人からはこんな声も聞かれました。
喫煙歴30年以上 50代男性
「たばこを楽しめる場所が少なくなるので、喫煙者にとっては非常につらい。
せめて吸えるスペースをつくってくれればいいが、禁煙は時代の流れだからしょうがない。
ふだんは、公園ではほとんど吸わず、ビルのかげなどで申し訳ない気持ちでこっそりと吸っています」
横浜市は現在、横浜駅周辺やみなとみらい地区など8か所で喫煙禁止地区を設けています。
しかし、公園については子どもや遊具のそばでたばこを吸わないなどの”配慮”を求めているだけです。
駅前にある公園の中には、市民から喫煙マナーの改善が要望されている場所もありました。
そこで市は、受動喫煙対策の参考にするため、去年10月から11月にかけて、山下公園など市内5か所の公園を全面禁煙にする実証実験を実施。
2000人余りの利用者にアンケートしたところ、対策の強化を求める多くの声が寄せられたということです。
公園の受動喫煙対策をめぐっては、全面禁煙など、対策の強化に踏み切る動きが広がっています。
都内では、▼板橋区が3年前、条例の改正ですべての区立公園を全面禁煙にしました。
違反した場合は2000円以下の過料を納める罰則もあります。
また、▼江東区は、おととし1月からほとんどの区立公園を全面禁煙にしました。
▼新宿区は10年以上前から、小規模の区立公園を中心に禁煙を呼びかけています。
神奈川県内では、▼相模原市が去年10月から市が管理する公園について、禁煙や分煙にしているほか、▼川崎市が3月から市内6つの公園を禁煙にする試みを行っていて、今後の対策を検討することにしています。
このほか、▼千葉市は、市が管理する公園について、一部を除いて禁煙を呼びかけています。
▼さいたま市は、去年4月から市が管理する公園のほとんどを全面禁煙にする試みを行っていて、対策の検討を進めています。
市は、3月中に全面禁煙の方針案を公表したうえで、市民から意見を募るなど、条例の改正に必要な手続きを進めたいとしています。導入にあたっては、対策の実効性を担保するため、十分に周知期間を設けるということです。