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川崎の学校給食で豚肉の産地偽装問題 元社員が語る手口は 困惑する自治体

  • 2024年3月7日

去年川崎市の学校給食で明らかになった、豚肉の産地偽装。
納入した食品会社には警察が捜索に入り、捜査が続いています。
かつて子会社で肉の加工や配送などを担っていた男性が取材に応じ、偽装の手口を語りました。
「偽装を見抜くのは難しい」。自治体は困惑しています。

産地偽装「10年以上前から」

川崎市の学校給食で、豚肉の産地偽装が明らかになったのは2023年10月でした。

検査した給食/写真提供:川崎市教育委員会事務局

川崎市教育委員会は学校給食の定期検査で、相模原市の食品加工会社「寿食品」が加工し、都内の業者を通じて納入した食材の豚肉を調べたところ、外国産の可能性が高いことが分かったと発表したのです。
市教委の聞き取りに対し、会社側は偽装を認め「利益を確保するため安い外国産の豚肉を混ぜた。10年以上前から続けていた」 という趣旨の説明をしました。

各地で偽装発覚 警察が捜索

寿食品の産地偽装はその後、横浜市や相模原市、海老名市、厚木市、大和市、座間市の給食についても行われていたことが明らかになりました。

警察の捜索

警察は11月1日、不正競争防止法違反の疑いで、寿食品の本社や、厚木市にある食品加工工場などを捜索しました。
押収した資料を分析するなどして、実態やいきさつを詳しく調べています。

元社員「上司の指示だった」

この問題の取材を続ける中で、寿食品子会社の元社員の男性に話を聞くことができました。
7年ほど前まで、肉の加工や配送を担当していたといいます。

子会社の社員だった男性
少なくとも私が入社した当時から偽装は行われていました。入札の時に提出するサンプルは完全に国産肉で、落札したあとは安い外国産肉を使って納品していました。偽装は当時の営業部長の指示で行い『学校側には国産肉と言ってるけども、実際にうちで使っているのは冷凍の肉(外国産肉)だから、学校に怪しまれたらとりあえず国産肉に切り替えて対応してくれ』とか『肉のことでわらからないことがあれば会社に連絡して確認してくださいと伝えろ』と現場で対応を合わせるように言われていました。

「ヤバ校」にだけ国産肉を

寿食品

男性は川崎市の給食について、チェックが厳しい学校には国産肉を入れるというように、学校によって対応を分けていたといいます。

子会社の社員だった男性
栄養士がしっかりしていて、ちゃんと確認する学校が川崎市には5校か6校あって、私たちの間では『別件校』とか『ヤバ校』と呼んで、その学校だけはすべて国産の生肉を納品していました。国産肉のみを入れた箱は梱包する際のテープの色をピンク色にして、偽装した肉と区別できるようにしていました。

偽装の肉納入の自治体は

海老名市の給食センター

海老名市では、寿食品とおよそ50年にわたって取り引きしていました。
寿食品は海老名市に対しても、給食用に納入した豚肉に外国産のものを混入させたことを認めています。
今回の問題を受けて、海老名市は寿食品との契約を打ち切りました。
海老名市教育委員会の担当者は、怒りに近い感情を抱いていると明かしました。

就学支援課 山﨑淳学校給食担当課長
信頼をして納品を受けて調理するという関係を築いてきたので、それが覆されたと感じました。
ルールを守っていただけなかったと、非常に残念に思っています。

対策には限界

海老名市では、給食へ食材を納入する業者に産地証明の提出を求めたり、現地に出向いて調査したりしてきました。

給食用食材の選定会議

毎月、管理栄養士が参加して給食食材の選定会議を開き、安全な食材かどうかなどを検討しています。
しかし、サンプルの肉を見ても外国産かどうかを見抜くことは難しいといいます。

管理栄養士
自分たちが作っている給食の中で、このようなことが起こってしまうということは、 とても衝撃的でした。私の目では見抜けないですし、 納品された状態で現場の調理員たちも見抜くことは無理だと思います。

この事件を受けて、海老名市は給食の食材の産地を、抜き打ちで検査するための費用およそ20万円を、新年度予算案に計上しました。
山﨑課長は、「安全安心で温かい給食を食べていただくため、業者との信頼関係をしっかり築いていきたい」と話していました。

子どもたちをだましてしまった

寿食品の子会社で働いていた男性は、悪いことをしてしまったと感じているといいます。

子会社の社員だった男性
こんなことをやっていいのかなと思う時もありました。ただ当時は、少ない人数で売り上げを上げようとして1日14時間、15時間労働があたり前でした。上司に言えば、会社の利益だからしょうがないと怒鳴り散らされて作業が中断し、業務時間が長くなるだけだったので、従わざるを得ない状況でした。
給食を楽しみにしている子どもたちを、だましてしまったと思っています。

  • 古市悠

    横浜放送局 記者

    古市悠

    2010年入局。大阪局、科学・文化部などを経て 横浜局。医療や科学に関心を持って取材。

  • 高橋 哉至

    横浜放送局 厚木支局記者

    高橋 哉至

    平成30年(中途採用で)入局。 初任地は宇都宮。厚木支局で地域の課題やスポーツ関連の話題を取材。

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