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能登半島地震 石川県七尾港での給水支援 横浜海上保安部

巡視船「いず」で支援活動をした海上保安官に現地の様子について聞きました
  • 2024年3月1日

ことし1月に起きた能登半島地震を受け、横浜海上保安部に所属する巡視船「いず」が石川県の七尾港で給水支援などの任務を終え、2月12日に横浜に戻りました。
給水支援を行った海上保安官に現地の状況やどのように給水支援が行われたのかについて取材しました。

横浜放送局記者・小林奈央

現地の状況は

第三管区海上保安本部によりますと、活動にあたるためには大型の巡視船を受け入れることが可能な港が必要で、横浜海上保安部に所属する巡視船「いず」は、今回、接岸可能な石川県の七尾港に派遣されました。
今回、七尾港に派遣された海上保安官の小林優太さんに話を聞きました。

海上保安官の小林優太 航海士補
記者

どのくらいの期間、能登半島に派遣されていたのですか。

小林優太
航海士補
 

今回派遣された巡視船「いず」は1月30日に横浜を出発して、青森の津軽海峡を通り、3日間かけて石川県七尾市の七尾港に到着しました。

記者

現地の状況はいかがでしたか。

小林優太
航海士補

七尾港につくと岸壁も隆起していました。船内から町の様子を見たときに多くの家にブルーシートなどがかぶせられていて大きな被害があったのだと感じました。

岸壁のコンクリートが隆起した様子

「いず」の任務 給水支援について

石川県によりますと、能登半島地震による断水は、一時最大でおよそ11万戸にのぼりましたが、復旧作業が徐々に進み、2月29日時点で7つの市と町でおよそ1万8800戸となっています。
こうしたなか、現地に派遣された「いず」の最大の任務は給水支援でした。

記者

どんな給水支援をおこなったのですか。

小林優太
航海士補

「いず」は七尾港で給水支援を行いました。5日間でおよそ838.7トン、2リットルのペットボトルに換算するとおよそ42万本分の水を各地から集まった給水車に給水しました。その後、水は給水車で七尾市周辺の避難所や老人ホーム、さらに大きな病院に運ばれました。

給水車に給水する様子
記者

給水するための水はどこから運ぶのですか。

小林優太
航海士補

巡視船で片道およそ4時間をかけて七尾港から富山港に向かい、船のタンクに水を供給する作業を行いました。
午前3時に富山港を出て、午前8時ごろから七尾港で給水車への給水を開始し、日によっては夕方まで給水を行いました。

記者

船では一度にどのくらいの水を運ぶことができるのでしょうか。

小林優太
航海士補

巡視船「いず」の水のタンクの容量は、500トンです。巡視船の中では最も多く水を収納できます。海上保安庁の同じクラスの船で一度に運ぶことができる水の量は100トンほどなので、およそ5倍の量を運ぶことができます。

500トンの水を運ぶことのできる巡視船「いず」
記者

500トンの水をタンクに入れるだけでも相当な時間がかかりそうですね

小林優太
航海士補

4~5時間ほどかかります。

災害対応型の巡視船「いず」について

記者

巡視船「いず」は災害対応の巡視船として海上保安庁では最も大きな船と聞きました。

小林優太
航海士補

そうなんです。海上保安庁の災害対応の船として最も大きな巡視船で、阪神・淡路大震災を教訓に、大規模災害の発生時に被災地に救援物資を運搬したり、被災した人たちを安全な場所に避難させたりすることを目的に就役しました。そのため、ほかの巡視船と比べて水や物資などを多く運べるほか、噴火の災害などで人の避難が必要な際には、一度に多くの人を避難させることが可能な構造になっています。また、医務室なども完備されています。

巡視船「いず」

▼これまでの巡視船「いず」活動
平成9年  9月 就役
平成12年 3月 北海道有珠山噴火災害救援
6月 東京都三宅島噴火災害救援
平成15年 7月 宮城沖地震災害救援[物資輸送]
平成19年 7月 新潟県中越地震災害救援[給水活動]
平成23年   3月~ 東日本大震災対応
    [行方不明者の海上捜索、潜水捜査、病院患者を一時収容、搬送、海上ヘリポート]
平成25年  10月 伊豆大島土砂災害対応[行方不明者の海上捜索、潜水捜索]
令和3年 9月 静岡県伊豆山土砂災害対応[行方不明者の海上捜索、潜水捜索]
同年 11月 静岡県集中豪雨災害対応[断水地区における給水活動]

過去の災害派遣から見えた課題

令和3年11月に起きた静岡の集中豪雨災害の際も派遣された巡視船「いず」。
このとき、給水用のノズルはポリタンクに給水する大きさのものでしたが、被災者が持ってきた容器はポリタンクとは限らず、ペットボトルなどさまざまな容器だったことから、じょうごを使うなど、予想以上に時間がかかってしまったということです。
その経験を踏まえ、効率よく多くの人に給水を行うため、その後「いず」には蛇口部分が4つに分かれた器材が配置されたということです。

蛇口が4つに分かれている器材

支援を振り返って

記者

今回の支援を振り返って印象に残ったことはありますか。

小林優太
航海士補

今回の災害では陸上からの支援が難しく、海上からの支援が必要とされていると感じました。その中でたくさんの給水をすることができ、多くの方に水を届けることができたことを誇りに思います。
今回は津波の危険性から七尾港で被災者に直接給水するという活動はできず、全国各地から集まる給水車に水を供給しました。そうしたなかで、福島県いわき市から派遣された担当者に「困ったときはお互い様です。なのでお互いできるだけのことをやっていきましょう」と声をかけてもらったことが印象に残りました。その言葉のおかげで、任務に励むことができました。今後も引き続き支援を行っていきたいです。

給水支援の様子

第三管区海上保安本部警備救難部環境防災課 今野哲成課長
「災害によってどのような支援が必要かというニーズは異なってきている。今回現地に派遣された海上保安官などに話を聞いて被災地のニーズにあわせた支援活動に生かしていきたい」

  • 小林奈央

    横浜放送局記者

    小林奈央

    2022年入局。県警や海保などの担当として事件・事故の現場取材に駆け回っています。

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