小田原のあんこうをカレーに未利用魚で目指す人気商品

小田原の魚といえば脂ののったアジが有名ですが、実はアンコウもとれます。
ただ、とれるピークは鍋のシーズンが終わった春。
需要の少ない時期のアンコウを活用しようとする、漁業者や市の挑戦を取材しました。

時季外れのあんこう

相模湾の豊富な海の幸が水揚げされる小田原市。
特に有名なのが、脂ののったアジです。

ほとんど知られていませんが、実はあんこうも水揚げされます。

あんこうはふだん深海で暮らしていて、小田原の沿岸の漁ではあまりとれません。
ところが、暖かくなってくると、あんこうが産卵で水深が浅いところにやってきます。
すると、小田原でもとれることが増えて、漁獲量がピークになるのです。

ところが、鍋などで消費が増える冬ではないため、値段がつかずに海に返すこともあったといいます。

漁業者の鈴木大助さん
冬の食材というイメージがすごく強い魚なので、もうちょっと早くとれてくれないかなと思います。もったいなと感じますね。

時季外れのあんこうをなんとか利用できないか。
漁業者や市などが考えたのが、漁師飯として食べられていたあんこうカレーです。
季節を問わずに楽しめるのが決め手になりました。

どうやってPRしていくか、漁業者や市は集まって話し合いを重ねてきました。

クラウドファンディングで開発費などを調達し、手軽に食べられるようレトルトにしました。

アジしか知られてないんだから。
あんこうに小田原の漁業のPRに一役買ってもらおう。

カレーを食べに行くと、われわれはカツカレーとかハンバーグカレーとかを食べるよね。
揚げたあんこうを入れてカツカレーみたいにしてみたらどうか。

カレーには、たっぶりのあんこうの身と地元産のレモンを入れました。
話し合いで出たから揚げもトッピング。
ふわふわの身がカレーによく合うと、いい反応です。

小田原市水産海浜課山田宙さん
レモンが入って、さわやかな感じになったなと思います。から揚げが特においしいかったです。

自信作のあんこうカレーを広く知ってもらおうと、1月に池袋で行われた魚料理のイベント「Fish-1グランプリ」に出店しました。

珍しいあんこうのカレーを多くの人が次々に買い求めていきます。

家族連れ
すごくおいしいです。カレーに揚げたあんこうが入っていて。
あっという間に完食しました。

およそ600食が売れました。
審査員特別賞を受賞し、確かな手応えを感じています。

鍋じゃなくてもおいしいんだよと。
カレーであったりから揚げであったり、
おいしい食べ方があるんだよということをもっと多くの方に知っていただいて、
全国に小田原のあんこうの魅力を広げていけたらと思っています。

あんこうカレーは、小田原駅前の土産物店や市内の観光地で販売されています。
今は品薄の状況だということですが、3月にも追加で商品が置かれる予定だということです。
小田原市は今後も飲食店と協力して、あんこうの新たな活用法を考えていきたいとしています。