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【詳報】神奈川県真鶴町 町長リコールで賛成過半数 町長選挙へ

  • 2023年09月25日

真鶴町の松本一彦町長が、選挙人名簿を持ち出して自分の選挙に利用したことが発端の問題。
町長に対するリコール=解職請求の賛否を問う住民投票は、9月24日に投票が行われ、賛成が過半数を占めました。
町長は失職し、今後町長選挙が行われることになりました。

町長の解職に賛成 過半数に

9月24日に行われた、真鶴町長のリコール=解職請求の賛否を問う住民投票。
投票の結果

▼賛成2204票
▼反対1378票でした。

賛成が過半数を占め、町長は失職しました。
投票率は59.40%でした。

開票の様子

松本町長「次の選挙には出ない」

住民投票の結果失職した松本町長は、24日会見を開き、
次の町長選挙には立候補しないと述べました。

松本氏
これまで支援してくださった町民、後援会、家族に感謝する。次の町長選挙には出馬しない。今後の活動については、頭の中をリセットする必要があり、今のところ未定だ。
住民投票が行われる原因を作ったのは私であり、申し訳なかったという気持ちがある。不正が発覚したあとの2年間は苦しい状況で、やりたかったことに着手しようとしたが、私の力不足でなかなかうまくいかなかった。
真鶴町は過疎化が進むなど、争いをしているほど悠長な状況にはない。今回で対立を最後にして元気な町になってほしい。

住民「未来に向けての第一歩」

リコールに向けて署名を集めた住民グループは、結果を受けて会見を開きました。

青木巌代表
町長が選挙人名簿について不正をしたということが、リコール運動を通じて町民に伝わり、民意が反映されたと考えている。
開票結果は、これから真鶴町が将来・未来に向けて進んでいくための、第一歩だと思う。町を分断するのではなく、この結果を踏まえて、一つになって町を前に進めていきたい

名簿不正使用問題とは?

問題が発覚したのは2021年10月でした。

会見する松本町長

松本町長が急きょ記者会見を開き、町長になる前、町の職員だったときに選挙人名簿を不正にコピーして持ち出し、自身の選挙に利用したと明らかにしたのです。
町長はあわせて辞意を表明しました。
12月に選挙が行われることになりましたが、「『もう1回頑張ってくれ』という町民の声に応える」として立候補、元町長や新人を破って再び当選したのです。

町職員相次ぎ辞職 混乱収まらず

真鶴町役場

しかし、その後も町政の混乱が続きます。
不正に持ち出した名簿のコピーを、自身の支援者に閲覧させていたことなど、選挙後に新たな問題が発覚。
批判はやまず、去年2022年9月に実施された町の職員へのアンケートでは、8割余りが「町政は混乱していると思う」と回答し、その理由として「町長と職員の信頼関係の構築が困難」とか、「次々と新しい事実が出てきて、何を信用すればいいのかわからない」といった意見が寄せられました。
問題が明らかになった2021年10月以降、2023年8月末までに職員の5分の1にあたる24人が辞職し、今では入庁5年目までの職員が全体の4割余りを占めています。

相次ぐミスも

水道事業の会計や、斎場の運営委託をめぐってミスが相次いだほか、これまで町が県から委託を受けて管理してきた真鶴港について、県は8月「混乱が続いていて今の町に任せることは難しい」として、来年度から直接管理することを表明しました。

真鶴港

こうした混乱を受けて、町議会が辞職勧告を決議したほか、町が町長を刑事告発する異例の事態になりました。
2022年12月には町議会に町長の不信任決議案が提出され、町議9人のうち6人が賛成、3人が反対しました。
可決に必要な4分の3には届かず、不信任決議案は否決されました。

住民団体がリコール求め署名活動

2023年5月には住民団体がリコールに向けた署名集めを開始。

有権者の3分の1を上回る2350人の有効署名が集まり、住民投票が行われることになりました。

県内では17年ぶり

神奈川県内で自治体の首長のリコールの賛否を問う住民投票が行われるのは、自治体の合併協議をめぐって、今の相模原市の一部にあたる旧城山町で行われて以来17年ぶりです。
住民からはさまざまな声が聞かれました。

悪い意味で真鶴町が目立ってしまって恥ずかしいです。
住民投票になる前に、町長にはけじめをつけてほしかったです。
今後は、正しく町政を行える人にリーダーになってほしいです。

ここ数年で、何度も選挙などをやっているので、もうちょっと今の町長に続けてほしいです。

町長「どうか続けさせて」

松本一彦町長は弁明書を公開しました。

松本一彦町長
コピーを入手することとしたのは私の対応の誤りであり、深く反省しております。
町長就任後、新型コロナのワクチン接種を進めるとともに、空き家対策などに一定の成果を出してきました。
真鶴町の未来のために、町長としてやるべきことがまだまだあります。どうか私に町長を続けさせてください。

住民団体「誠実謙虚な町長を」

リコールに向けて署名を集めた住民グループは、町内で投票を呼びかけました。

青木巌代表
勇気ある町民のおかげで2350人分の署名が集まり、告示の日を迎えることができて感激しています。
電話をしたりチラシを配ったりして、町の隅々まで投票を呼びかけていきます。
これからは誠実で謙虚で、行動力ある人がリーダーになるべきです。

50日以内に町長選挙 町の課題は

真鶴町は神奈川県内では唯一、過疎地域に指定されていて人口減少対策が喫緊の課題となっているほか、主な産業は漁業と石材業で、新たな産業振興をどう進めるかも急務です。

次の町長を選ぶ選挙は50日以内に行われ、現在のところ新人1人が立候補の意向を表明しています。
町内の融和を図り、どう町政を前に進めていくのか。
引き続き注目したいと思います。

  • 北村基

    横浜放送局 小田原支局記者

    北村基

    2017年入局。宇都宮局を経て、2022年8月から横浜局小田原支局。南関東の空気に馴染むべく、目下、歴史を勉強中です。

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